環境計画実習T 21世紀の早稲田らしさを追及する!
それでは、これまでの早稲田の森分析を踏まえ、
21世紀の早稲田らしさにつながる早稲田の緑地・環境計画を提案したいと思います。
提案1.今あるところはそのままに
これまでにみてきたように、早稲田界隈には、大隈庭園や戸山公園を始め、まとまったみどり
が点在しており、このエリアの景観の重要な構成要素となっています。
これらの多くは、いわば地域の顔になっているといえるのではないでしょうか?
大隈講堂や大隈銅像のない西早稲田キャンパスなんて考えられないように
これらの緑地がない早稲田界隈なんて早稲田じゃない!
考えられますか???
大隈庭園のない大隈ガーデンカフェテリア
バックに大隈庭園の木がない大隈講堂
桜のピンク色が消えた早稲田の春
イチョウの葉がはらはら落ちてこない早稲田の秋
戸山公園のない戸山キャンパス
穴八幡神社の鎮守の森のない馬場下交差点
etc
答え:こんなの絶対ありえない!
早稲田の森アンケートでも多くの人がこれらの緑地が早稲田らしさにつながっていると解答しています。
現在ある緑地が【早稲田の景観の重要な要素】だとの認識が多い以上、
いまある緑地はそのまま残していくべきだといえるでしょう。
早稲田の森の今 みてください!
提案2.さらに増やしたい!
先ほど触れたように早稲田界隈にはすでに数々の素敵な緑地があります。
ですが、これらに加えてさらに増やしても、いいのでは?
そんな私の普段からの思いから、この環境計画は始まりました。
緑地を増やす場合に、問題になるのは、何を目的にした緑地計画かということです。
目的によって、効果的な増やし方や場所、植物の種類や量など、すべてが変わってくるからです。
今計画で一番の重要なテーマは
【早稲田らしさの追求】
なわけですから、早稲田らしさをより実現する緑地計画とはどのようなものか
それをまず考えなくてはなりません。
【緑地増加と早稲田らしさ:プライベートイメージとパブリックイメージ】
緑地増加によって、より早稲田の森を前面に押し出せれば、早稲田らしさが強まるかどうかですが、
私は強まる!と思います。(プライベートイメージ)
今でこそ都心型キャンパスと称されることも多い早稲田大学ですが、
早稲田の森に大学作りました!とわざわざ校歌で宣言しているのも、
あえて洗練を選ばない、いなかっぺ集団(!)もシティーボーイも
なんでもひっくるめて全部取り込んでしまう包容力の大きさを、森という一種象徴的言葉で表現し、
同時に、大学設立当時はまだ多くあったみどりを【森】として読み込むことで、
大学自身の描写として最も適切だったのだろうと思います。
その、大学設立当時からの《らしさ》を、早稲田大学と早稲田界隈の環境遺伝子を追求するのに、
早稲田の森の存在は欠かせないんじゃないかと思います。
早稲田に、みんながこれだ!と自らのアイデンティティーの一部のように
親しみをもち早稲田の顔となる早稲田の森=早稲田の緑地を作り出すことは、
早稲田らしさの追求の観点からも意義のあることなんではないでしょうか?
この私のプライベートイメージが、はたしてどこまで早稲田界隈の皆さんと共有されているのか、
早稲田の森アンケートを実施してパブリックイメージを調査しました。
その結果:緑地が多いほうが早稲田らしさを強めることができるとの回答が62%
早稲田界隈に今よりもっと緑地が増えたほうがよいという回答が73%
これによって、早稲田にはもっと緑地が増えたほうがいいんじゃないか、
そのほうが早稲田らしさが強まるんじゃないかという私の考えがプライベートイメージ
で終わることなく、共有可能なものであるということがわかりました。
そこで自信を持って(?)増やすためにはどうしたらいいのかという計画作成段階に入りたいと思います。
提案3.増やし方の可能性
その1:平地面へのさらなる緑地の導入
【森】というイメージにより近づけることを考えるなら、一番効果の見えやすい方法だといえます。
地面があるということは、面積によっては将来高木となる種類のものを植えることも可能となり、
長いスパンで見た場合、大きな成果を挙げられるでしょう。
また、芝生などをいれれば、学生や近所の人の憩いの場とすることもでき、
それによってより早稲田らしい風景を作ることも可能になります。
〈問題点〉
新たに再開発でもしない限り場所が少ない
すでに建物が建て込んでいるところが多く、それらの建物がなくならない限り
まとまったスペースを緑地のためだけに用意するのはなかなか困難。
〈打開策〉
1.私有地を区・都・もしくは市民団体が買い上げまたは借り上げて、緑化対策地域とする。
早稲田界隈は大学などの教育機関の私有地と住宅等の私有地が占める割合が多いので、現実的な選択。
例)杉並区などでは私有地を区が借り上げて緑地・公園としている箇所が多数あります。
2.コンクリートの舗装をはがして草木を植える
例〉ヒートアイランド現象の緩和に取り組む都は、来年度から地上コンクリートの芝舗装化を進める方針を固めた。
来年度はモデル事業として、渋谷区の東京体育館前広場で実施
《できるとしたら》
それほど交通量の多くないわき道やキャンパス内のオープンスペース等、場所によっては可能なのでは?
たとえば:
中央図書館前の広場
14号館前広場 など
芝刈りや水遣りのメンテナンスの問題や踏圧の問題がありますが、部分的に飛び石を設けて
それ以外の部分に比較的乾燥に強いものを植えるなどでも大分変わるはず。
例)緑化コンクリート
コンクリートの上に芝などが植えられるようになったもので、斜面などでも植えやすく
手入れが楽という利点があります。
その2:屋上緑化
上記その1の場所がないという問題について、昨今都市の緑地不足を補うために話題となっている手法です。
特に都心部の地方自治体では建新たに土地を手当てして緑地を増やすのにくらべ、財政負担を抑えられる利点があります
同じみどりの課を持つ世田谷区や板橋区が、保全すべき緑が残っているのに対し、
新宿区は新たに緑をつくり出さなければならないと、屋上緑化に目をつけ昨年7月、
専門家による調査検討委員会を設置するなど、新宿区でも取り組みが盛んです。
新宿区の中でも、早稲田・戸塚地区のおとなりで、商業施設や集合住宅の多い箪笥・榎地域では
屋上緑化が盛んで、200箇所7,575u(新宿区みどりの調査報告書第五次より:2001年時点)となっています。
(ちなみに早稲田を含めた戸塚エリアは68箇所2,849u)
例)早稲田でもっとも代表的な屋上緑化の例はリーガロイヤルホテルの705uです。
〈問題点〉
メンテナンスが大変
早稲田界隈には箱型ビルが多く、パッと見た感じでは屋上緑化がいくらでもできそうなところがたくさんあるのですが…
水遣りや剪定の問題、排水溝のめずまり、屋上に人が出入りすることそのものに対する問題など。
上:14号館から見下ろした西早稲田キャンパス−屋上がいっぱい!
〈打開策〉
屋上緑化推進とともに、屋上緑化パトロールをするサークル〈市民団体〉を作ってしまう
そして彼らに屋上でのいっさいをまかせてしまう。
《できるとしたら》
西早稲田・戸山キャンパスの教育棟ビルの屋上のほとんどは、ただのデッドスペースになっています。
これらの積極的活用!がまず第一に考えられます。
次に、面積の大きな民間の大型事業所への屋上緑化の導入が、効果的では?
その3:壁面緑化
屋上緑化と並んで最近何かと話題の緑化方法。
緑化表面の反射効果に加え、植物や土壌の大気冷却作用で、一般のコンクリート壁面に比べ
外壁からの流入熱量を70%さえぎり、夏場の冷房負荷を低減でき、また
壁面緑化ならではの効果として、建物のデザイン性の向上があります。屋上緑化に比べて壁面は人目に触れやすいため、
緑化によって印象的な外観を作ることができます。
〈問題点〉
しかし、上のようなツル植物では成長に時間がかかる上に、縦横に不規則に伸びるために
定期的に剪定をしなくてはならず、維持管理に手間がかかります。
〈打開策〉
乾燥に強い植物の採用や肥料を配合した土壌、自動潅水システムの設備といった工夫をこらし、
成長した植物と土壌を収めたフレームを壁面に取り付けるパネル工法が多くのゼネコンにより考案されています。
取り付けが簡単な上に壁面をすぐ緑で覆うことができるメリットがあります。
製品例
大成建設《ソットピードマット》
などなど
《できるとしたら》
今すでにある建物へのこれからの導入:
1.西早稲田キャンパスを囲う塀にツタ・ツル植物はわせよう計画
たて看板の代わりにみどりで塀をおおってしまう計画。
日当たりの良いところも多いから植物も育ちやすいし、緑視率向上には相当効果的
2.ツタの似合いそうな建物1・2・7・6・10・11号館などを壁面緑化計画
落ち着いたどっしりした建物にはツタが似合う。年月をかけて成長するつたとともに
これらの建物の雰囲気・伝統ある趣と早稲田らしさをツタが演出してくれるかも。
実際、ツタ・ツル緑化の比較的おおい青学や東大の建物はどっしりとした伝統を感じさせます。
これからできる建物への導入:
3.八号館跡に建設中の新教育棟の壁面にパネル工法で緑化計画
莫大なお金かけてやっと建て替えているんだから、お金かかるついでに壁面も緑化してしまう計画。
数々の思い出とともに取り壊しになってしまったわれら法学部生の心を癒し、
新たな安住の地とするためにも、新ビルはほっと落ち着ける場所になってもらわないと困ります。
我が家の安心感をみどりが演出してくれる可能性に期待。
また、先ほど触れた壁面緑化のメリットにあったように、省エネの点からいっても、
早稲田の《先取の精神》を体現している?
などなど
その4:ベランダ緑化
これは、マンションなどの集合住宅に関連する事項を規律する「建物の区分所有等に関する法律」によれば、
マンションなどの空間は個人が占有的に使うことのできる専有部分と、
それ以外の、建物の中に住む人みんなのための空間である共有部分とに分けられます。
そのさい、ベランダはたいていの場合、共有部分となっています。
(非常時には避難経路となること、建物の外観の一部であることなどから)
詳しいことはあまりにも法律的になるのでここでは省略しますが、とにかく
共有部分である以上、管理者(そこに住む人たちの集合体である管理組合)に、どう使うか、
その権利と責任が存在します。
ここで、ベランダ緑化に対する何らかの《税金等》のメリットが存在すれば、
建物全体のベランダにみどりを導入することを管理者が選択し、そのメリットを皆が享受できるようになります。
早稲田界隈にはこのような集合住宅が多く存在することをかんがえれば、
このような形で一つ一つは小さいみどりであっても、全体では相当な量のみどりが導入できます。
まとめ:グラウンドワーク事業
グラウンドワーク事業とは、一言で言うと
《市民、企業と行政とがパートナーシップを築きつつ、都市の環境保全、修復および創出を目的に、
イギリスにおいて創設された、トラストや事業団による各種の事業》
のことで、1981年にリバプールに第一号が誕生して以来欧米では盛んな事業です。
グラウンドワークの主な事業内容
1.工場・企業等の修景緑化
2.広場や公園の整備
3.環境学習の視点を重視したフィールドの確保
4.都市近郊農地の保全
5.歴史的建造物の買取とトラスト事務所としての活用
6.植樹・河川浄化等のキャンペーンの実施
7.各種環境保全グループへの支援
これらの活動を早稲田地域を拠点にして行っている団体がないか調査してみましたが、
残念ながら見つけることができませんでした。
これは、大変意外でもありました。
早稲田界隈の環境対策・緑化事業をおもに管轄しているのは新宿区役所のみどり公園課です。
しかし、問い合わせでも、早稲田地域に特化しての計画作成や、
みどりの状態のコンスタントな監視・調査、および市民との意見交換等は特に行われてはいないとの回答でした。
より早稲田らしい景観・より良い早稲田の環境を追求しそれを現実のものとしていくには、
そこに生活する早稲田の人々と、行政、企業とのパートーなーシップが不可欠です。
早稲田らしい景観とは何か、緑地とは何か、そういうことを敏感にコンスタントに調査・意見交換
を行う団体の存在が、これまで見てきた計画案でもベースとなるべきではないでしょうか。
このような団体を作ることが、より《らしさ》を追及した、早稲田の森の将来の姿を
つくり、守っていく絶対不可欠の第一歩です。
感想
今回の早稲田の森計画の最大の壁は
フィールドが見つけられなかった事でした。
それゆえ、計画案を作成する際、自分がこうであったらいいなというきわめて主観的なものになりがちである
ということで頭を悩ませました。バランスをとるためにいろいろアンケートなども
とってみましたが、いかがだったでしょうか?私の計画。
フィールドがないなら作ってしまえ!ということで、
最後にグラウンドワークについてふれましたが、これって、これからの都市計画を考える上でも
とっても大事だと思います。
さらなる早稲田の森の発展にみんなで一肌脱いでみませんか?