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博物館の事務室の私の机の上の植物の実と種子は、年末にいったん整理しました。
ざっと40種類ほど集って、なかなかにぎやかでした。正月を迎えるに当たって、生
のハヤトウリだけを残しておいたのですが、ハヤトウリの芽が動き出して、新年に出
勤してくると10センチほども伸びていました。おまけにツルが伸びて、細いマキヒ
ゲを伸ばし出したのです。もちろん最初はまっすぐです。 念の為にハヤトウリのことを書いておきます。ハヤトウリって知ってますか。ウリ の仲間ですが、10センチほどの実から直接に芽が出てくるのです。たとえばキュウ リやスイカから直接に新しい大きな芽が出てきたら、とっても変でしょう。ハヤトウ リはそういう形で芽が出てくるのです。ハヤトウリはその実をそのまま土に埋めて、 芽を出させるのだそうです。話には聞いていましたが実際に芽がでるのを見るのは私 も初めてです。実の構造としては、大きな1個の種子があって、その種子を実の軟ら かい部分が覆っているわけですが、種子を全部覆ってしまわないで、その一部が裸で 外に出ているというような形です。そこで少しへこんだようになった場所から芽が出 てくるというわけです。 <右上へ> |
さて、ツルを伸ばしながら、長いマキヒゲを伸ばし始めます。これは前にヤブガラ
シで書いたのと同じなのですが、今回は机の上でじっくりと見ることができました。
節ごとに1枚の葉と芽とヒゲがでて、このヒゲは10センチほどまでまっすぐに伸び
てきます。そしてこのヒゲが旋回運動をするのがわかります。ツルからは2〜3セン
チの枝がでて、そこに小さなトゲのような物がでて、その先がヒゲになるようです。
小さなトゲのような物はおそらく葉が退化したようなものでしょうか。ですからこの
先の文書でヒゲと書いてあるのは、ツルからでた短い枝の先の部分ということです。 植物が成長するときにはまっすぐに伸びないで、ゆっくりと旋回する場合が多いこ とが知られています。これは軸の全面が同じように伸びないで、よく伸びる側が回転 していくために、結果として軸は先端が旋回するわけで、回転している様子がビデオ などでもきれいに撮影されているものがあります。 さてツルですが、旋回をしながら、つまりすこしづつ伸びながら、結果としてはツ ルの先に何かがぶつかって巻きつくことができる場所をさがしていることになります。 この旋回はちょうどトンボを <下へ> |
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捕まえるためにトンボの前で人差し指をゆっくり回すよ
うに時計まわりで動き、1回転は1時間弱ぐらいの時間がかかっていました。 かわいそうなので先に巻きつくことができる細い軸をおいてやりました。この軸は 最初は室内電話の金属のアンテナにしていたのですが、以外と巻きつくのが遅いので、 金属は嫌いなのかと思って、これも机の後に立てかけてあった部屋の天井に届くケナ フの枝を1本折り取ってペン立てに入れて使ってやりました。これには巻きつきまし たが、思っていたよりも時間がかかり、40分程度で先が1周しました。実はもっと 早いのではないかと思っていたのです。 ヒゲの先が当たる程度にケナフの枝を置いたので、先が1重に回るだけでヒゲを固 定してしまいました。そして次にゆっくりとマキヒゲを作り始めました。この時、ツ ルの本体からヒゲが真っ直ぐに伸びた位置にケナフを置いたので、マキヒゲを作りに くかったようです。真ん中よりもヒゲ先側が中心になって巻き出しました。5日の早 朝に2巻の緩いリングができていましたが、近づけてやると朝のうちに4巻、昼には 5巻、夕方には8巻、翌日の朝には11巻、最終的には13巻となり、それでヒゲの 端から端までがマキヒゲになってしまいました。 <右下へ> |
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さて、その上の節から出ているヒゲも基本的に同じ経過ですが、元のツルとケナフ
とが近付いているので、伸ばしたヒゲの端ではなく、やや中側がケナフに当たってい
ました。するとこのヒゲのケナフの枝を5巻しました。ヒゲの先はやはり巻きつくこ
とができるのです。つまり残っているだけのヒゲ先がすべて巻いてしまったというこ
とになります。そして先を固定してからは真ん中から巻き始めるというのは同じです。
真ん中から巻き始めるので、真ん中からの両側のマキヒゲの向きは右巻と左巻の両方
になることは、前にヤブガラシで書いたとおりです。このヒゲはまる1日で約4セン
チ伸びてその長さの状態でケナフの枝に当たり、最終的には8巻のマキヒゲを作って
終わりました。 下から3番目のヒゲもまったく同様ですが、ツル全体がマキヒゲで近付いているた めに、ツルと同じ方向に真っ直ぐに伸ばしたようにマキヒゲを止めてしまいました。 今(1月11日)は4番目のヒゲをゆっくり伸ばしつつあります。 この観察は私の机の上でのことなので、例によって博物館の職員が見にきていまし たが、マキヒゲがどのようにしてできていくのかを知らない人が大半でした。 (布谷 知夫) |
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