大阪連絡会情報誌・じねんじょレターズ

 <自然観察のテーマ・40>

木の成長を読み取る

布谷 知夫
 山で伐られた木が丸太状になっていて、積み重ねられたのに出会った時に、その木の 年輪の数を数えてみる、というのは、以前に書いたかもしれません。その発展形だと思 って下さい。

 木の片方の年輪の数を数えるのに時間がかかるので、待っている間にほかの人にその 反対側の年輪の数を数えてもらいます。そうすると同じ木なのに、たいていの場合には 年輪の数が違います。さて、これはなんでだろう、というわけですが、これに明確に応 えられる人が意外と少ないことは面白いところです。

 動物は成長する時に、体全体で細胞分裂が行われて、相似的に大きくなっていきます が、植物の場合、特に樹木の場合には、体の一番外側の数列の細胞だけが分裂して、内 側はまったく変らず、外側へと大きくなっていきます。樹木の細胞は、新しくできると 、その細胞の壁を固く丈夫にするために、リグニンというものを壁に沈着させるために 水を通さなくなり、細胞はすぐに死んでしまうのです。ですから木の幹の細胞は外側の 数列以外は、死んでしまった細胞の壁の集りといえるのです。

 タマネギの1枚1枚が丁度1年の成長で、その形が三角形の帽子のようになっている と考えれば分りやすいでしょうか。丸太の元と先とは年輪の数は違うのです。絵に描け ばすぐに分ると思います。これを中学生と一緒に実際に木を伐って確認する実習を行い ました。
   
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 2mほどの間伐材の丸太を用意し、まず両端を1cmほどほど切り取り、次に真ん中あた りを1cmほどに切り取ります。ノコギリを使ったことがない中学生では、これだけの作 業が大騒ぎになってしまいます。とにかくこれで木の円盤三枚が手にはいります。

 1.この円盤の髄の部分 を通る直線を1本引き、髄から一番外側までの長さをはかり、 両側の2本分の平均を出します。2.次に端(樹 皮)の側からその線の上で1年づつの年 輪の幅を読み取って記録をしていきます。同じ年輪の反対側との数字は平均価を出して おきましょう。図のようにまとめていくと後で便利です。

 三枚の円盤を上、中、下のものとすると、1. の価を横軸にして上、中下と、左から実 際の価の数倍くらいで点を打ちます。左端の直線が髄の位置、打った点が樹皮の位置に なります。そして打った点から2.の年輪幅の数 字を外側から順に左側へと打っていきます。

 全部の点を打ち終わると、右側の樹皮の側から同じ年輪の線をつないでいきます。上 が左の端までいっても、まだ中や下は年輪の点が残っているはずですから中と下も順に 線で結びます。そして、中と下しかない線はそのまま直線を左端の縦の直線にぶつかる ようにして延長します。下だけしかない点はその右側の線に平行の線をひいておきます 。

 作業はこれで終わりです。でき上がった図は丸太を縦に切り割った面での年輪の状態 であり、木材では柾目面とよばれるものを圧縮したように描かれていることになります 。そして左端の縦の直線が髄とすると、そこにぶつかる斜の年輪の線はその年輪を作っ た年の木の先端部であり、下の円盤が地票部で伐られていたのなら、木はこの高さであ ったということです。

 丸太の上の端と下の端とで年輪の数がなぜ違うのかが、この図を見ているとよく分る と思います。

 こんな形で中学生との実習を二度やってみたのですが、結構時間がかかります。もし 時間の制限があるようなら、上と下の二枚の円盤だけでも同じことができます。

 あるいはもっと簡便にやるなら、年輪幅は測らないで半径だけを測り、年輪数で割っ て点を打ち同じように図を描けば、成長のイメージは分ると思います。このようにする ならば、皆の前で大きな紙に描いてみれば、木がどういうふうに成長しているかは理解 できそうです。一度やってみて下さい。必要な道具はノコギリ、サシ、紙と鉛筆です。 (布谷)


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