マンションで暮らす知人宅を訪れて、盛大な窓の結露に驚いた。本人は「気密性がいいから仕方ないらしい」と、すっかりあきらめている。
けれども実は、窓のように「見える」結露よりも、壁の内側の「見えない」結露の方が、問題が大きいのだそうだ。カビが発生しやすいし、それを食べるダニの繁殖も勝手放題。建物そのものも弱っていく。たとえコンクリート製であっても、ひび割れから水が浸入すれば劣化する。
そうした結露を防ぐ方法として、「外断熱」という耳慣れないことばを聞いた。省エネルギーのために入れる断熱材を、建物の内側ではなく外側に置いて、全体をすっぽり包み込むようにする方法である。なるほど、こうすれば室内の暖かい空気が冷たい壁にぶつかることはなく、結露しない。断熱の効率もぐんと良くなる。
スウェーデンでは1973年のオイルショック直後、国を挙げて建物の省エネ対策を研究し、気象学や熱工学、微生物学、経済学などの専門家が4年がかりで具体策をまとめた。それ以来、外断熱が当たり前になったという(『日本のマンションにひそむ史上最大のミステーク』TBSブリタニカ)。
日本はといえば、ビルでも住宅でも外断熱工法はほとんど採用されていない。科学的な検討をする前に、柱と柱の間に断熱材を詰め込むやり方が広まってしまった。手間がかからず、費用も安くできるためらしい。例外の1人が、東京都小平市で工務店を経営する松井修三さんだ。9年前に外断熱の木造住宅を造ってみて良さを実感、以後はこれしかやらない。「断熱は寒冷地に限らず大事なことなのに、無関心な人があまりに多いですね」
スウェーデンでは省エネ対策を検討する際、あえて建築の専門家を入れなかった。慣習やしがらみを断ち切って、原理的にもっとも良い方法を探ろうとしたのだろう。