冬峡

  【冬景】
 帝釈で見られるカエデ科の樹木は,14種類位ありますが,よく目につくのは,イタヤカエデ(板屋楓),メグスリノキ(目薬の木),ミツデカエデ(三手楓),チドリノキ(千鳥の木),オオモミジ(大紅葉),イロハモミジ(以呂波紅葉)などです。
 この内,メグスリノキとミツデカエデは,葉が複葉です。しかし,葉の形が違うので見間違うことはあまりありません。また,チドリノキは,カエデ科といっても葉の形が,いわゆる蛙手とは違うので一目で解ります。
 他に帝釈の名前を冠したタイシヤクイタヤ(帝釈板屋)があります。名前の通りイタヤカエデに似ていますが,葉の表面脈上と裏面全体に短毛があるのが特徴です。
 果実が秋に黒く熟すのが,エゾエノキ。果実が赤みを帯びた褐色に熟すのが,エノキです。遊歩道では,エゾエノキが目につき,エノキは少くなく感じられます。
 古歌に,エノキの実は色々な鳥が喫みに来てくれるのに,あなたは来てはくれないと詠まれ。エノキの実が冬鳥の格好の餌と思われていたようです。遊歩道でもツグミ,イカルなどが啄んでいるのを見ることができます。
 ヨコグラノキ(横倉の木,クロウメモドキ科)は,堀川芳雄・佐々木好之(1959)により,ヨコグラノキ−コクサギ群集とされた木です。ヨコグラとは,最初に発見された高知県の横倉山にちなんで命名されました。遊歩道に沿って比較的多く,高木も幼木も目にすることができます。ヨコグラノキと同じ科でよく似た木にネコノチチがあります。ネコノチチの葉は細鋸歯縁(葉にギザギザがある)なのに対して,ヨコグラノキの葉は全縁(葉にギザギザがない)になっています。
 帝釈峡のカバノキ科の樹木のうち,遊歩道で目につくのは,イヌシデ,アサダ,イワシデ,サワシバ等です。サワシバ(沢柴)は,東部においては,あまり目にすることのない樹木です。しかし,帝釈峡では,普通に見られます。一見するとカエデ科のチドリノキに似ていますが,枝の葉で見分けられます。互い違いに枝に葉が着いている(互生)のがサワシバ,対になって着いている(対生)のがチドリノキです。

 

撮影日1998年6月19日

タイシャクイタヤ

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