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審査要望の対象となる手続きについて
平成13年10月17日東京都国分寺市開発指導課にて、国分寺市が東京建物株式会社に対して行う国分寺市開発指導要綱に基づく審査について。
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審査要望書を提出する日
平成13年10月17日
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審査要望の趣旨
1記載の審査について、審査期日を延期を要望する。 そして、延期日までに環境行政ならびに開発行政の趣旨に照らして、当該開発行為に対する慎重な検討の実施を行うこと。
ならびに業者側には計画の再検討作業と、近隣住民に対する全体的な説明会の開催を求める。
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審査に対する要望の理由
(1)審査に対する要望をするに至った経過は下記のとおりである。
本件処分に係る土地の所在は、国分寺市内藤1丁目3番1他の地区であり、開発対象面積は6,973.40平方メートル(以下「本件土地」という。)である。事業者は、本件につき6階建、地下1階の共同住宅を建設、分譲する目的をもって開発行為をなそうとしている。
本件土地は武蔵野台地の古来からの原生林を今なお残し、国分寺市にとってもその緑の重要性については認識されている地区である。
周知のように東京都は、景観条例に基づき、国分寺崖線の自然、文化、地域性に配慮した景観づくりの基準を示した「国分寺崖線景観基本軸」を施行している。
これは、立川市から大田区までの国分寺崖線の緑や地形や湧水など、貴重な「緑の景観遺産」と位置付けし、崖線とその周辺の「国分寺崖線と一体となって景観をつくり出している地域」を指定地域としたものであり、開発行為などに際しては既存の景観に配慮した計画を求めるものである。
行政が、事業者側の請求にしたがってただ安直にこれらの審査を行うことは、このような現況及び将来予測を踏まえた総合判断を行ったものとは言えず、事業者の身勝手な開発行為が、東京都民の財産を侵害することは明白である。
よって、現行の環境行政の精神、そしてかかる環境条例から指定された「国分寺崖線景観基本軸」についての精神を鑑み、その違法性、不当性及び影響の重大性について事業者に訴え、計画を見直すよう強く要望するものであり、行政に対しては審査手続きの延期を強く行政側に対しては要望するものである。
特に、審査行政および開発業者にとっては、環境保護条例による遺跡発掘という手続きがあるため格段急ぐ必要がない。
にも拘わらず、事業計画は一切の検討や修正の過程を経ることなく本件土地購入から約3か月という短い時間で開始されようとしている。事業者は計画どおりに建設することを前提にして性急に開発行為の手続きを進めており、これらの姿勢は付近の環境を考慮したものではない。
請求人等はこれらの事実を踏まえ、審査の延期と、開発事業者との一連の慎重な検討を踏まえた形で審査請求に応じることを要望するものである。
(2)本件の開発許可につながる指導要綱審査には下記の理由により違法又は著しい不当性がある。
ア 第一種低層住居専用地域に居住する請求人等は、都市計画法第9条第1項に規定する「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」であることを第一の理由として、すなわち、低層住宅で構成される静かな住環境を求め、今後ともそれが継続することを法が保護しているのを最大の拠り所として当地に住居を定めている。
本件土地に、事業者が計画するような大規模かつ既存の緑地環境を破壊するような共同住宅が建設されることを前提としてなされる開発行為は、請求人等が法の下に当然、かつ、一般的に期待する住環境を著しく悪化させるものである。したがって、民法第90条に規定する公序良俗に違反する行為であり無効である。
イ 本件土地を含め、事業者が開発行為を進める延べ床面積は10,000uを超えるものであり、それは現在行政側によって進められている「環境に配慮した住宅づくり」の適用範囲内となる。
しかしながら、事業者は地形や外観、その他なんらの必然性も妥当性も認められない形で線引きを施し、極めて窮屈な形態で開発対象地を決定している。
これは近年の規制緩和に伴う住環境の品質の向上をうたってきた東京都ならびに国分寺市行政側の目指すものと著しく異なる計画であるとの疑念も伴う。
このような開発行為が何ら住民や市民の参加なく無条件に許可されるならば、どんな大規模な緑地であっても事業者の勝手な開発が行われ、結果として後世に残すべき遺産を破壊し、劣悪な環境の住宅環境が創出されることとなる。
このことは、都市計画法第1条に規定する「都市の健全な発展と秩序ある整備」という目的に沿って規定されている関連法例、基準等を有名無実とする脱法行為であり、かかる本件の審査についてはそもそも審査請求をするまでの期間が短く、十分な検討がなされるとは言えない違法なものである。
ウ 都市計画法第33条第1項第2号では「開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていること」と規定している。この規定が、開発によって生じる周辺地域の道路交通への影響を最小限に抑制しようとする趣旨であることは言うまでもない。
行政もこれを受けて、「開発許可の基準」で、開発規模に応じた具体的な幅員を定めている。(基準では「地区幹線道路」及び「接続道路」という名称。)
本件土地の場合、相当規模の道路は、国分寺市崖線下を通る道路があるが、そこへの用地の直接の接続はなされていず、わずかに避難路として遊歩道が接続されている。
自動車を含むほとんどの住民は北側国分寺線に接続した一箇所の出入り口を通じて出入りする計画となっている。
しかし、当該道路は、一部の幅員が3メートル前後しかなく、交通の便も悪いことから119戸という大規模開発に際しては交通への配慮をした上で開発行為に着手するのが当然である。
こうした交通量の問題でも十分な検討が加えられるべきであり、ここで安易に判断が下されてしまうのであれば、本件土地とは全く無縁の遠方住民にまで、交通量の増加による危険、騒音等の悪影響が及ぶことになり、前記趣旨がまったく解されない結果となることは明らかである。
よって、この点でも都市計画法、同法施行令、国分寺市開発許可の基準等の著しい曲解と言わざるをえず、解釈適用を誤った違法なものである。
エ 本件土地及び開発予定部分は、緑豊かな傾斜地である。特に、前記イのとおり事業者が開発により推し進めようとしている緑地の伐採は、傾斜地の崩壊等の危険についての慎重な審査がされたことはなく、また事業者はこれの対策について住民側に何ら代案や対案を一切示していない。
ましてや「国分寺崖線景観基本軸」に照らした開発計画とはなっていない。
さらに、この緑地をなぜ全面的に伐採することとしたのか、分譲地がなぜこれだけ大規模に崖線を侵食するような利用計画となったのか、将来の分譲により所有者の居住を想定した地域環境との共存などについて、明確な説明は一切なされていない。
こうした問題がありながら、開発認可に結びつく本件の審査を行うのは、都市計画の本旨を解しない者であり、著しく不当である。
オ 本件土地付近は、アで述べたとおり一低住専である。したがって下水道を始めとする公共施設は、これを前提に設備されている。しかし、本件処分に伴って建設されようとしている119戸の共同住宅は、一低住専として想定される住宅戸数を大きく上回るものである。さらに、将来において原生樹林によって維持されてきた本件のような地盤面がどのように変化するかについても一切の見当がなされていない。
またそれらの検討について住民への説明行為がされていない。
カ これについて、審査に対する要望人その他の近隣住民等に対して開発行為に対する周知や環境への影響などの説明は十分に行われていず、「住民を集めての説明会が開かれる予定」はないと事業者代理の説明人らは明言している。
開発行為に際しては住民への説明を行うよう法令によって定められているが、開発事業者は各戸別に住民宅を訪問し、個別の財産権に絡む話し合いとしてこの開発行為を乗り切ろうとしている。
現在も開発業者は文化財保護法に基づく遺跡調査を口実として実質の開発行為着手を前倒しですすめようとしていると考えざるを得ない。
これは開発行為に住民との調整が必要である前に、地域開発としてのコンセンサス育成が必要であることを無視しており、各個人の利害を越えた市民、ないし住民として近隣の住環境をどうするのかの話し合いが行われる必要がある。
(3)以上、(2)に列記した理由により、よって、指導要綱審査請求の審査日の延期を求めるため、本審査手続きに対する要望に及ぶ次第である。
(4)請求人等は、本件土地の隣接地に居住しており、本件処分に伴う土地の区画、形質の変更により、環境破壊、交通障害、騒音、崖地崩壊の危険等の点で重大な不利益を受けるものであるが、市民としての個人の利害以前に、まず指導要綱の精神、および「国分寺崖線景観基本軸」に照らして妥当であるか、審査する手続きにおいて住民ならびに都民の公益性に照らした検討がなされていないことを強く訴えるものである。
そして、期間的な不要不急の審査請求は著しく行政プロセスを歪めることから、市民として早急に要望書を提出するものである。