オイスカ ネグロス プロジェクト概要
 
《オイスカバゴ研修センター》
 ☆ 受入機関=バゴ市
 ☆ 規模=宿舎70名収容、水田22ha、畑2ha
 ☆ 日本人派遣団員
   ・渡辺重美 所長  (岐阜県出身)
   ・通次弘之 養蚕担当(石川県出身)
   ・小林 賢 農業担当(島根県出身)
 
★ プロジェクトの設立経緯
 1981年、当時オイスカ・フィリピン総局の会長であったLolenzo Teves(テベス)氏とバゴ市は農業復興のためオイスカに対して稲作、野菜、畜産のデモンストレーション農場の設置を提案した。ネグロスの他地区と同様バゴ市もサトウキビ農園が多く農村人口の大部分は農園労働者であった。サトウキビ農園では植え付けや収穫時に大変多くの働き手を必要とするが5月〜10月の間はあまり必要としない。この間労働主は農園の中で何か仕事を作って労働の場を与えるよう工夫する。農園は利益が出なくともロスが出ない程度で作付けを計画する。あるいは農場の一部を労働者家族に耕作させて食料の足しになるような作物を作らせる。いずれにしてもサトウキビ栽培をすることには長けていても他の農作物を作るには不得手な人たちばかりであった。そのためオイスカに稲作、陸稲、野菜栽培さらには家畜の飼育方法についてのデモンストレーションと農家あるいは労働者家族に対する指導を提案していた。この為テベス会長はバゴ市に所有していた27haの土地をオイスカ開発団に提供し農場農場プロジェクトを作ることを強く勧めた。オイスカはこの計画を検討しまず総合農場として経営的にも自立できることを目標にプロジェクトをスタートさせた。
 ところがマルコス政権からアキノ政権に変わった際、農場用地のオーナー テベス氏が東ネグロス州知事の座を降りた。土地を売って国外に出たいとのことで、もし買わない場合、オーナーがどこまで存続を認めてくれるか...今後、一年契約で借りるということにでもなると長期計画は立てられない状況に陥った。
 当時その状況を視察したオイスカ静岡県支部会員により、新研修センター建設支援活動(募金活動)が静岡県内で展開された。そして1988年、27haの土地購入資金1,100万円、研修センター建設資金700万円が静岡県民より寄せられ、土地購入、センター建設が実現した。
 1989年にはマングローブ植林を行う等、静岡県として特に力を注いだ地域。現在、見事に充実したプロジェクトとなっている。
 また、同センターはフィリピンビサヤ地域を統括しており、研修センターOBが中心となり、パナイ島、ボホール島等に植林プロジェクトを設けそれを中心に農村復興に務めている。
 昨年7月フィリピン大統領も、同センター内の養蚕センター開所式に急な要請にも関わらず特別大統領補佐官を派遣する等、特別な関心を示している。
 
★ プロジェクトの活動
@ 研修 
 研修は一年間の農業ジュニアコース、二年間のシニアコース、短期養蚕コースに分かれている。ハイスクールを卒業した子供達が多く来るが短大や四年制の農業科を卒業した若者も入っている。
 ◇ 研修を始めてから今までに205名の卒業生を送り出した。このうち58名が日本で研修   を受けた。帰国してからの動向は次の通りで、センターにスタッフとして働いているOB
   が最も多い。その中で養蚕、製糸関係が半分以上を占める。
@ オイスカ  23名
A 公務員    7
B 農業     6
C 自営     5
D 会社     4
E 主婦     4名
F 海外     3
F 再研修    3
H 先生     2
I 農園管理
 
A 農場
 農像では、稲作、養豚、養鶏、野菜、養蚕を行っている。稲作は12haで品種はフィリピン種のRC−4、同18、20、54等である。日本米も一部試験的に行っている。養豚では親豚50頭で子豚出荷をしている。養鶏は現在小規模であるが製糸場から良質のさなぎが生産されるため今後は飼料として利用し規模拡大をする予定である。
 
B 養蚕プロジェクト 
 砂糖の単一栽培に頼った単純な産業基盤のため、砂糖の国際価格の乱高下に翻弄されてきたネグロス島。オイスカでは1989年から砂糖に代わる産業として養蚕に着目、近隣の羽化への普及を推進してきた。そして一昨年には乾繭5トンを生産。さらに付加価値をつけるため、日本政府の草の根無償資金援助、国際協力財団、埼玉県、千葉県の支援を受けて製糸機械と乾燥機を設置し、昨年7月「ネグロス養蚕センター」が開所した。養蚕には高度な技術が必要とされるため、フィリピンでの普及には大変な困難が伴ったが、日本から派遣された技術者や日本で養蚕の研修を受けたオイスカ研修センターOB達の努力により現在では毎日15名が生産に携わっていて、煮繭機、繰糸機はじめ一連の機械操作に慣れて毎日25kgの乾繭を処理、10kgの生糸の生産をあげている。市場はマニラとイロイロ、アクランにある。徐々に産業基盤が整いつつある。一連の養蚕製糸技術の普及は、貧困に窮している農家の収入になるだけでなく、家内産業の普及、農村婦人への教育的効果等、多岐にわたった効果が期待できる。
 ☆ 開始=1991年4月
 ☆ 協力関連機関=西ネグロス州政府、東ネグロス州政府、ムルシア養蚕農業者協会
 ☆ 規模=50農家、桑園面積50ha
 
C デイケアープログラム(簡易保育園の普及) 
 このプログラムはDSWD(社会福祉開発省)とのタイアッププロジェクトで幼児教育のみならず託児による母親への協力も目的としている。テイケアーセンターには一人ずつ先生がいるが子供の数が50人を越えるところもあり世話することが大変な為、手の空いている母親達が交代でボランティアをしている。今までに日本のオイスカ支局、中華民国総局や他のグループから20のセンターが寄贈され運営されている。
 
D 婦人セミナー
 デイケアーセンターの先生達が若い母親や結婚を控えている女性達を推薦し、センターで週末に一泊二日のセミナーを実施している。内容は栄養、料理、家族計画、応急手当、家庭菜園などの講義とオイスカの話や環境、植林の話題も取り上げている。講師はスタッフのみならず市の職員や大学の先生にもお願いしている。母親達は一泊して家族の問題や体験談を語り合い互いの連帯の絆も生まれているようである。昨年は約200名の参加者があった。
 
E マングローブ植林プロジェクト 
 バゴ市の海岸のマングローブは1989年、オイスカ静岡県支部派遣植林チーム60名と共に植林が開始された。以後地元民の自発的な植林、そして補植作業、管理作業がなされ、現在では50m幅、約2kmの見事なマングローブ帯が出来ており、海岸線を保護している。
 また昨年より、静岡県支部 ネグロス農村訪問団(団長=奥之山隆)と共にバコロード市タゴッブ地区でもマングローブ植林を開始した。この地は空港に隣接している海岸地帯で漁民のマングローブ植林への理解が深く、村からの提案により始められた。今回この地で植林を行う。
 サガイ市モロカボック島のプロジェクトでも、以前植えた苗が4m程に成長し、それ以外に島民が自主的に植林、また利用出来るようになっている。島の回りがマングローブで覆われ、侵蝕を防いでいる。
 
F 子供の森 
 ビサヤ地域(ネグロス島、パナイ島、ボホール島、レイテ島等)の小中高校計220校、ネグロス島内では115校実施
 滅多に都会の人は行かない農村の学校でも実施している。また、当初はじめた学校では学校林だけでなく学校農園をつくり、世話をすることを毎朝の日課にしており、生き生きと子供達が、水やり・除草・整枝を行っていて、「学校の教育方針」にも取り上げられた『子供の森計画』の新たな効果が見られる。
 
★ プロジェクトと地域社会
 農業プロジェクト、研修プログラムに加えDay Care Program が始まった頃から地域社会との結びつきが良くでき、現在では婦人研修セミナー、子供の森計画、養豚普及、養蚕プロジェクトを通じてさらに地域との絆が深まっている。また研修修了生が地域に帰って活動していたり、奨学生が卒業後先生になったりしてオイスカ精神を持つ人たちが地域で行動を始めている。
 
 
《オイスカカンラオン研修センター》(古川一家の国際協力参照)
 
● 海抜 2,463 mの活火山、力ンラオン山のふもとに研修センターがある。古川外男一家が1971年より苦労を重ねた末、プロジェクトを軌道に乗せた。稲作に適した気候と肥沃な土壌、そして豊富な湧き水に恵まれ、1ha当り216力バン(1カバン≒50.21kg、10a当たり約18俵)というフィリピンの米の最高収量も記録した。
1982年4月、アシス夕ン卜として活躍してきた力ドハダ君がプロジェクトを引き継ぎ、彼のもとで多くの農村青年が技術研修を受け、地域開発のよき人材として育っている。1997年、農場内に灌漑を目的とした約1万平方メートルの溜め池が完成し、乾季の水不足を補う。また溜め池では養魚も行っており、池の隣にミミズを利用した稲わら堆肥製造所を作って水田の地力回復と魚の餌の確保を同時に行ってる。
 ☆ 設立=197I年7月
 ☆ 受入機関=フイリピン総局ビサヤ支局
 ☆ 規模=宿舎25名収容、水田55ha
 ☆ 気候=最低19℃〜最高32℃、降雨量1800〜2400mm
 ☆ 所長 カレル・カドハダ
 
 
《オイスカフィリピン開発団本部》
 
● 各プロジェクトの事業をスムーズに進めるため、フィリピン政府や日本大使館、国際機関などと緊密な連絡を取り、また、現地社会のナマの情報収集にも力を入れている。
 ☆ 設立=1973年12月
 ☆ 業務内容=
   @調査、開発計画の立案、および各プロジェクトとの業務調整
    Aプロジェクトの実施に伴う比国政府および力ウンターパートとの調整
    B技術協力に関する各種協約の締結
    C親善交流の促進とフィリピンを訪れるオイス力メンバー等への便宜供与
    D研修生OB組織の育成と活動支援
 ☆ 日本人派遣団員
   ・篠原和行 本部長(福岡県出身)          
   ・石橋幸裕 子供の森、ヌエバビスカヤ州担当(福岡県)