植物の開花時期と標高の関係


   植物の開花時期と標高の関係(平成11年度長野県科学作品展優良賞受賞)   
                  
小県郡  東部中学校
                   科学部自然課  長岡宏樹他18名
1.動機
 東部中学校科学部では、東部中学校付近のケヤキ林と、湯ノ丸高原、池ノ平湿原の動植物を調べています。サクラの花をみると、まず上田公園あたりで満開になり、ついで東部中学校付近、かなりおくれて奈良原のあたり、1か月以上もおくれて池ノ平で咲きます。他の植物についてもそういう傾向がみられます。そこで東部中学校付近、湯ノ丸高原に共通してみられる植物でどのくらいの早さで、標高の低い所から、高い所へ上がっていくのか調べてみたいと思い、今までの調査データから、研究することにしました。

2.研究問題
@開花時期が標高の低い方から高い方へ移っていく早さは、植物によってちがうのか。
A開花時期のちがいは、気温のちがいによるのか。
B開花時期が標高の高い方から低い方へ移っていく植物もあるのか。
C標高に関係なく、同時に咲く植物もあるのか。

3.予想
@ほとんどの植物は、開花時期が標高の低い方から高い方へ移動すると思われますが、植物の科ちがいにより、移動する速さがちがうと思われます。
Aやはり、気温の低い方が開花がおそいのではないかと思われます。
B秋に咲く植物の中には、気温が早く低くなる高原の方が先に咲く植物があるのではないかと予想できます。
C植物の種類によっては、標高にあまり関係なく、花を咲かせるものもあるかもしれまん。

4.方法 (研究問題ごと)
@いままでの観察データより、その植物の多くが花を開く時期(満開の時期)を標高ごとに調べ、開花時期と標高の関係をグラフに表す。
A東部中付近と新張、湯ノ丸高原のアメダスのデータから、ひとつの種類の植物の開花時期と気温の関係を調べる。
B@に同じ
C@に同じ

5.結果
@標高が高いほど開花がおそくなった植物
図−1 レンゲツツジの開花と標高の関係 図−2 ハリエンジュの開花と標高の関係
   
図−3 シモツケの開花と標高の関係 図−4 ヤブカンゾウの開花と標高の関係
    
※グラフの傾きを見ると、どの植物も、ほぼ同じ傾きになっており、植物の種類による標高の高い方へ開花が移動する早さのちがいはみられなかった。
                
A標高が高くても低くても開花がおなじであった植物
 
図−5 トモエソウの開花と標高の関係 図−6 ユウガギクの開花と標高の関係
   

B標高が低いほど開花のおそい植物
図−7 イヌタデの開花と標高の関係 図−8 オトコエシの開花と標高の関係
図−9 ツリフネソウの開花と標高の関係
  
 
図-10 上田市(501m)、東部町新張(950m)、菅平(1321m)の月平均気温
               
                                                                                  C標高の高い所ほど、開花がおそい植物のうち、ムラサキケマン、ヒメタガソデソウ、ヤブカンゾウの地区ごとの開花したときの気温を比べたところ、ムラサキケマンは約11℃の時、ヒメタガソデソウは、約25℃の時ヤブカンゾウは約23℃の時となり、開花し始める時の気温が、ほぼ等しいことがわかった。
 標高の低い所ほど、開花がおそい、ツリフネソウの場合は、標高800mの上田市黄金沢と標高1250mの菅平高原で開花気温に約5℃の差があった。

6.考察
@サクラ、ムラサキケマン、ハリエンジュ、レンゲツツジ、ヒメタガソデソウ、シモツケ、 ヤブカンゾウなど標高の高い所ほど開花のおそい植物は、春の花、夏の花とよばれるであった。各地区それぞれの開花する時期の気温を調べてみたところ、ほぼ一定であった。
 これらの植物は、気温がある温度に達すると、それがひきがねになって花を開くものと 思われる。
しかし、標高の高い所ほど、より低い温度でも花を開く傾向がある。
 標高の高い所では、夏でも平地ほど気温が上がらないため(図ー2)、より(低い)気温が上がらないため、より低い気温で花を開くのだと思われる。
Aトモエソウ、ユウガギクのように、平地でも標高の高い所でも、ほぼ同時に開花す植物は、1日の日の長さがある長さになると、それをひきがねに花を開くものと、予想できる。(図−3,4,5,6)
Bオトコエシ、ツリフネソウ、ゲンノショウコ、イヌタデなど標高の低い所ほど開花のおそい植物は、平地で秋の花とよばれる植物である。これらの植物は、標高の高い高原ほど早く咲くのがあきらかである(図−7,8)。
 図−10をみると菅平高原の8月の平均気温は、上田市の9月の平均気温より低いくらいである。したがって、平地で秋の花とよばれる植物は、高原では夏の植物とほぼ同時に咲くようになると考えられる。
 図−9のツリフネソウの結果より、平地でいえば秋の気温が大変短い高原では、開花する気温の設定が、平地より低くなっているものと思われる。この傾向は、池ノ平など高い所へいく程、大きいと思われる。 
 
7.まとめと反省
@植物は気温を感じて花を開きはじめるらしいことがわかった。したがって、春や夏の植物では、標高の高い所ほど開花がおそくなることがわかった。また、植物の中には、日の長さを感じとって標高に関係なく花をほぼ同時に開くものもあった。秋の植物は、冬のおとずれの早い、標高の高い所ほど開花が早かった。
Aこの研究では、気温をアメダスのデータから、もとめたが、植物観察をする時に実際の気温を計ってくれば、よりくわしく分析できたものと思う。
Bこの次は、開花時期だけでなく、開花期間も比べてみたいと思った。
C今までのケヤキ林や奈良原、地蔵峠、池ノ平湿原などでの自然観察のデータを使える研究ができてよかった



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