「文化心理学入門―子どもと教育」 (1997) 波多野誼余夫&高橋惠子著 岩波書店
読了 2000.12.26
文化心理学は近年新しく興隆してきた心理学の一領域であり、
進化心理学と相対する心理学と考えられているのでどういうものかと興味を持ち、読んでみた。
はじめの20ページでは、文化心理学はまず前提として
ヒトの心の発達には遺伝的素質による制限があり、また社会文化的状況が必要である
と考える。
そして
ヒトは長い進化の過程で学習することを獲得してきており、その結果文化によって異なる発達の結果が表れる
と考える
また、今までの心理学は心の普遍的な問題、つまり誰にでもある心のメカニズムを扱ってきた。
それらは社会心理学と認知心理学で別々に研究されてきたが、それを文化心理学は統合して研究しようとしているようだ。
認知心理学の現実場面での応用みたいなことを目指してもいるらしい。
以上がこの本の本質であり、最も面白いところだった。そこから先は…
文化心理学と進化心理学との最も大きな相違点は、両者とも文化人類学による知見を背景として人間の本質に迫るが、
その知見の使い方にあるようだ。
文化心理学は文化間で違った認識を持ったりすることを学習による差異ととらえ、
どういった学習の結果どういった認識を持つかを知ることが目的となる。
一方、進化心理学は、違う文化でも普遍的にあるヒトの性質を発見し、ヒトの持つ本質をとらえようとする。
一方は文化の持つ働きに重点を置き、もう一方は動物としてのヒトそのものの持つ性質に重点を置く。
その結果、意見の食い違いがおき、議論がかみ合わず、対立するのだと感じた。
本の内容は、2章から先は文化心理学的研究法とその成果が書かれてあるが、特筆する内容ではなかった。
進化心理学もそうだが、今後の研究と社会への還元が重要となってくるだろう。
あ、書き忘れた。文化心理学とは一言で言えば、心理学内の分野間で重なり合っている領域の研究といえるだろう。
どこに重なっているかは、さあ・・・