「コインロッカー・ベイビーズ」 (1980) 村上龍
講談社文庫
読了2001.4
同じ日にコインロッカーで生まれた他人が兄弟として育てられ、大人になっていく物語。
率直な感想としては、つまらなくもないがおもしろくもない。
食べることに例えると、まずくはないんだが同じ金銭をかけるなら別のもっとおいしいものを食べられる、といった感じ。
食の文化の違いみたいな。
味でいうと食材そのものは薄味だがソースの味が濃くてソースを食べている感じがするというたとえが思い浮かぶ。
食材そのものが生きてこない。
今漠然としたたとえを用いたが、ここでいう食材とは題材として扱ったもののこと。
具体的にはコインロッカーで産まれた子供にとっての母親とは何か、その子たちと社会とのお互いの関係とは何か。
ソースは表現方法。
この作品では破壊というテーマ。
コインロッカーベイビーであり、主人公のひとりのキクは、「ダチュラ」という毒ガスで自分の外の世界を破壊しようと試みる。
一方同じくコインロッカーベイビーのハシは、自分を知ろうする事から対内的、心的崩壊をきたす。
この図式と2人の交錯はそれなりにおもしろい物だったが、
250ページの単行本上下巻分もの原稿を費やす必要があったのかどうかと思う。
ただ言えることは、娯楽としてはおもしろいんじゃないかということ。
このソースの味が好きな人は楽しめると思う。
何味かというと、1980年代風味だ。