「心はどのように遺伝するか」 (2000) 安藤寿康 講談社ブルーバックス
読了2001.2.6

進化心理学と双子の学問と言われる人間行動遺伝学の本。

ヒトの心と行動は遺伝的である、ということを遺伝子の観点から統計的に示すのが行動遺伝学であるようだ。

「あの親子・兄弟は性格がそっくり、顔がそっくり、背格好がそっくりだ」とかの話題は誰もがしたことがあるだろう。

つまりそうした「そっくり」が遺伝の影響か環境の影響かを背丈、IQ、外向性などのいろいろな性格、

病気のなりやすさなどそれぞれの項目で統計的に調べる。

かたや進化心理学は主に実験的に示す。方法はちがえど目的は一緒だ。

著者の安藤先生は本を書くのが初めてらしく、文章はうまくない。何度も同じことを言っていたりする。

それでも人間行動遺伝学は優生学と違うということを慎重に述べ、

ヒトの心と行動に遺伝が少なからず関わっていることを実験例を用いて丁寧に解説してくれる




人間行動遺伝学の研究手段は双生児研究だ。

遺伝的に同一な双生児である一卵性双生児と遺伝的には半分しか同一でないが、

環境的には多くの部分が同一である二卵性双生児とを比較することによって遺伝の影響を知ることができる。

さらに、世の中には事情があって生まれてまもなく離ればなれに暮らしている一卵性双生児が何組かあり、

それを興味深いエピソードを交えて紹介している。

長年離れて暮らしていてお互いに交流がなくてもアンビリーバボーなほど多くの共通点を有している双生児の組みもあるという。



終わりの方ではこの学問研究が人類にどう貢献するかを書いている。

特に教育との関わりにはページを裂いていて、要は遺伝的資質の上に学習作用が重なって才能が開花するというわけだ。

どちらだけでも足りない。

最終章では豊かな遺伝観を持てと言っているが、まさしくそのとおり。

多くの人はゲノムプロジェクトのせいで遺伝子は医学的利用に有用といった印象を持っているだろうが、

ヒトがどのように進化してきたか、ヒトの形質特質のどの部分に遺伝が多く関わっているのかといったヒトの本質を知る手段としても重要だ。

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