「時計じかけのオレンジ」(1977)アントニイ・バージェス ハヤカワ文庫
読了2004.1
キューブリックの不朽の作品の原作。
映画の方は機会がなく見ていない。
と思っているうちにブックオフ100円コーナーで原作をみつけてしまい、読んでしまった。
以下、既読のヒトとあまり読むつもりは無いヒト向けのあらすじと感想なので、
映画を見てない・原作を読んでない方は読まない方がいいかも。
あらすじ
舞台は近未来。
主人公アレックスの青春?の話。
仲間とつるんで15歳のアレックス少年は世間の一般人に暴力をふるう。
圧倒的な暴力。
しかし、仲間に裏切られて捕まってしまい、刑務所送りとなる。
懲役14年。
途中、ムショ仲間をも撲殺してしまう。
そこで、人間を非暴力的つまり「時計じかけのオレンジ」にする機械によって従順な人間になる代わりに刑務所から出られるという条件をのむ。
そこで行われたことは、注射を打たれていすに縛り付けられ、まぶたすら閉じない状態にされたまま暴力的なシーンを見続けるというものだった。
2週間にわたってそれを見続けさせられた結果、アレックスは暴力に対して必要以上に臆病になっていった。
暴力的なイメージをしただけで死にたくなるような吐き気と気持ち悪さを伴う人間になっていた。
その状態で釈放されたアレックスは、以前の仲間であるディムや自分が暴力をふるった相手に仕返し似合う。
必要以上に暴力に対して免疫をつけられていた
アレックスはなすがままになってしまった。
ぼろぼろの状態を助けてくれたのは、「ホーム」という名の作家で、「時計じかけのオレンジ」の作者だった。
彼は現在の「政府」のやり方を全体主義だと批判し、その象徴としてアレックスを使おうとしていた。
アレックスをマンションの一室に閉じこめ、暴力シーンと同時に聞かされていたクラシック音楽を聴かせることで
アレックスを半狂乱にさせ、アレックスはマンションから飛び降りてしまう。
その後、病院で目覚めたアレックスは以前の自分に戻っていることに気づいたのだった。「自由になったのだ」(了)
小説はここで終わっている。
あまりに中途半端な終わり方であり納得がいかず、
また訳者の後書きに
「原作には最後の一章があるが、最新版では省かれていたため作者の意図を尊重して邦訳でも省いた」
と書いてあったこともあり、真相を知るためにネットで調べた。
すると、原作のイギリス版では幻の21章はふつうに存在し、
ただアメリカ版だけには出版社の都合上作者の意図に反してけずられてしまったとのこと。
日本語版はアメリカ版の版権を元にしているため、21章がないらしい。
イギリス版から最終章を訳したホームページがあったから参照。
../../../WallStreet/2973/cw21/cw21j.html
これをよんでやっとすっきりした。
最終章がないと作品として完成していないし、
アレックス少年の成長が、アレックス少年のような少年たちのモチーフとしての小説にならない。
作品の感想は、21章までをもって書く。
アレックス少年グループの超暴力は常軌を逸しているが、その心理描写は巧みでなかなかふつうではできない。
はじめはこの超暴力に怒りさえ覚えるが、のちにこの暴力を行うにいたる心理過程がわかってきて彼らに同情すら覚える。
アレックスが実験室のイスに縛りつけられて時計じかけのオレンジにされる場面は、
行動主義心理学の嫌悪学習理論をモチーフにしているのか。
ちょうど時代的にまだ行動主義が全盛期だった頃の作品のようだ。
時計じかけのオレンジにされたアレックス少年の後の顛末は強引にしてご都合主義的な展開を見せるが、ご愛敬。
テンポを出すためにそうしたともとれる。
近いうちに映画を見てみたい。
ただ、原作より面白い映画は見たことがないので、その点が心配。