来賓・中澤英雄 様(東京大学教授)の挨拶

 皆さま、おはようございます。本日はお忙しい中、この世界各国の平和を祈る集いにお 集まり下さいましてありがとうございます。

 本日は同時刻に、ハワイ真珠湾の戦艦ミズーリ号の上でも、世界各国の平和を祈る行事 が同時進行しております。皆さまもよくご存じのように、真珠湾は日米戦争の発端の地で あり、またミズーリ号は1945年に日本が連合国への降伏文書に署名・調印した船であ ります。日米関係にとってまことに因縁の深い場所で、現在、行事が開かれております。 そして広島もまた、原爆被災都市として日米関係にとって実に因縁の深い土地でありま す。広島の私たちの行事は、真珠湾の行事にリンクして、ともに世界平和と日米の友好を 祈ります。本日はここ広島だけではなく、日本各地で大勢の人びとが同時に世界平和を 祈って下さっております。

 さて、今年、西暦2000年も12月を迎え、あと1カ月を残すだけとなりました。来 年1月から、いよいよ21世紀に入るわけです。新しい世紀を直前にして、この20世紀 という時代がいかなる時代であったかと振り返ってみますと、この世紀が、2度の世界大 戦をはじめ、数多くの戦争紛争、破壊が繰り返された時代であったことを思わずにはいら れません。中東をはじめ、世界各地では今なお血なまぐさい紛争が続いております。この ような闘争と破壊に終止符を打ち、21世紀を平和な時代として私たちの子供たちに手渡 すことは、20世紀に生きてきた私たち大人の責任であると思います。

 このようなときにあたり、本日、広島とハワイ真珠湾において世界平和を祈る式典が同 時に開催されることは、たいへんに意義深いことであります。今から半世紀以上も前、日 本とアメリカは激しい戦争を戦いました。真珠湾と広島という地名は、日米戦争の記憶と 分かちがたく結びついております。しかし、日本とアメリカは戦後、友好と協力の道を歩 み、日米関係は現在、世界平和にとってもっとも重要な二国間関係である、と言われてお ります。日米の戦争から平和への歴史は、今なお紛争を続けている諸民族、諸国家も、い つかは和解と友好の道を歩むことができるのだ、という希望に満ちた模範となりうるもの であると考えます。

 本日、広島と真珠湾を結んでともに世界平和を祈るということは、戦争で命を落とした 両国民のすべてのみたまの平安、とくに真珠湾で戦死したアメリカ軍兵士と、原爆の犠牲 となった広島・長崎市民のみたまの平安を祈念すると同時に、過去の一切の戦争と殺戮 を、世界平和にいたるための人類の尊い学びのプロセスとしてお互いに赦しあい、明るい 未来の建設に心を向けていくということを意味していると思います。私どもは、本日の行 事の意義をしっかりと心にとめつつ、無限なる愛と赦しの心をもって、世界の平和を祈り たいと思います。そのとき、20世紀の戦争と破壊の象徴であった広島と真珠湾は、21 世紀の愛と平和の象徴へと生まれ変わることになるでしょう。ありがとうございました。

BACK