第2回学習会 平成9年7月29日

まちづくりの中での都市農業

東京都建設局 H主任


blue.gif都市緑地保全法の改正
 現在、東京都では「緑」を緑のマスタープランに位置づけている。緑のマスタープランは、都市における緑とオープン・スペースの総合的な整備・保全を図るための計画で、緑地についての規制・誘導・整備などを推進するための指針となるものである。都では、昭和56年に計画を策定し、これをもとに各施策を推進してきた。しかし、制定以来、15年が経つ。ちょうどいいタイミングで、都市緑地保全法が平成6年、7年と連続改正され、法制度が拡充された。連続で改正されるのは、めずらしいことなのだが。で、それにあわせて都でも緑のマスタープランをいま改正している。全体で30%の緑地を残す。この30%というのはずいぶんと多いように思われるが、山間部や河川域を含めると、それほどの量ではない。また、水系と地の系(台地の変化)とで緑を連続させる。こうすれば、緑の骨格づくりが出来る。
 さて、今回の改正の中での目玉は「緑の基本計画制度」が作られたことである。緑の基本計画とは、都市計画法に基づく、整備・開発の法律の一つのブランチ、枝である。今までは緑のマスタープランは、都道府県が策定していたのだが、法改正により、各区市町村が主体となって緑の基本計画として策定出来るようになった。区市町村の区域内の都市公園、緑地、風致地区、生産緑地などすべての緑の将来的な位置関係、将来の量などが定められ、緑の総合計画として位置づけられることとなる。性格的には、これまでの都市緑化と緑化重点地域を二つあわせたものといってもよい。策定するのには、あと5年位時間がかかるが、区市町村レベルでかなり細かい位置づけがなされる。

blue.gif市民緑地制度
 もうひとつの柱は市民緑地制度と緑地管理機構制度が創設されたことである。これまで区市町村の条例により民間の緑地を借地していた例はあったが、今回の法改正でこれが明確に位置づけられた。法律で制度化されたのは初めてのことである。都市計画税だけでなく、国税である相続税についても初めて軽減措置が行われることになった。いままで農地については、なりわいを保護する立場から納税猶予制度があったが、これが生産基盤を伴わない民間樹林地にも適用されるようになったのである。
また、緑地管理機構制度により、地方都市緑化基金などの公益法人が知事から指定を受け、地方自治体とともに緑の確保や買取・管理を直接行えるようになった。

blue.gif都市計画と都市農業
 次に生産緑地の現状と問題点ついて述べよう。おおまかには問題点は4つある。

(1)位置づけの不明確さ
第一は、都市計画の関連税制とのからみで生産緑地か宅地化農地かの選択を短い期間に農家へおしつけたことである。このため、都市計画として位置づけられたにもかかわらず、生産緑地と宅地化農地とが混在する形になっている。本来は、ここに農地が必要であることで指定すべきであったのだが、都市計画側に先行するプライオリティや「こうあるべきだ」という明確な方向性がなく、農業者の意向だけで指定されてしまっている。

 

(2)担保性の弱さ
第二は、農業従事者が高齢化していること。農業継続を義務づけているといっても、後継者の問題を含めて、おおよそ当初の30年維持をできるかわからないことである。農業サイドがこれに耐えられなくなっている。

 

(3)買取申し出
第三は、買取申し出に対応出来きないこと。だいたい、9%ちょっとしか買取れていない。また、買っているのも、道路、公園など位置づけがされている土地、市役所の近隣で駐車場になるものなどである。いちいち買取請求が出てきても、どれを買ったらよいのか明確な行政上の位置づけもない。このため制限解除で3ケ月に宅地あるいはその他に利用出来ることから、宅地化すべき農地よりも生産緑地が先に転用されているケースもある。

 

(4)区画整理事業との調整
第四は、区画整理事業との関係である。区画整理事業に乗れば、宅地化できるのではないかという希望で区画整理事業にのる農家も多いのだが、それによって公共減歩。大きいと4割が取られてしまう。つまり生産緑地が減ってしまう。事業そのものは土地価格があがることを前提にしているため、生産緑地は生産緑地のまま減っていく。

 最も減るといっても全然メリットがないことではなく生産緑地の集団化は出来るなど、メリットもある。農地を集団化させたところ、逆線引きをしてくれといってきている地域もある。また、現実問題としては、このように集団化した中でも相続税に対応できずスプロールが進んでいる地域もある。

blue.gifこれからの公園緑地と都市農地
 このように、生産緑地はせっかく都市計画上も制度化されたのに安定的ではなく、どんどん減っている。また、調整区域の農地についても、稲城市の坂浜・平尾地域が調整区域からはずされ、開発が予定されている。つまり、調整区域の農地といっても同じ運命である。首都機能の移転など大きな時代の潮流があればいいのだが、このままではどうも駄目である。
 そこで、どう農業保全をしていくのかが課題である。都市計画としては、先に触れた緑の基本計画の中に位置づけをして、プライオリティをつけておく。守るべき緑地として色分けをしておくことが必要である。
 もうひとつは、建設局としての立場から都市の環境を守る一つの事例として、「六仙公園」のことを話したい。「六仙公園」は、東久留米市内なのだが、二三の市が固まって計画を立てているので、東村山都市計画となっているのだが、ようはこの都市計画に位置づけた公園である。中心部に学校がありその周辺を農地が取り巻いている。このエリアをくくった。
 面白いのは、東久留米市そのものが農地を残した公園づくりをしていきたいとの意向を持っていることである。そこで、都市計画100年の計ではないが、事業計画そのものを20年後を見据えて考えた。例えば、中心部の学校だが、これも廃校が予定されていることを前提に考えている。さて、都市計画として位置づけたことによりこのエリア内の農地のプライオリティは高まった。そこで、相続の度に手放さなければならない農地を順番に都が買っていく。
 土地だけを購入し、市民農園としての貸し出すなどして、農業を継続している方と並列させてゆく。段階的に進めていく。
 そして20年先。ようやく私が都庁を卒業するころにすべての準備が整い、公園が出来る。今後の状況如何であるが、これほど大規模に打ち出した例は全国でもめずらしい。今後の一つの切口であるが、これがハードとしての都市農地の残し方である。
 ソフト系としては農業政策としての存続、農政としての農地のあり方があるのだろうが、これももう少し多面的な視点を持たないと存続しえない、レクリエーション、教育などの切口が必要になってくるのではないだろうか。


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