第4回学習会 平成8年11月25日
バブルで増えたゴミの量は札幌市一つ分
区部から排出されるゴミ量の年代ごとの推移を見てみると、50年代は、ほぼ安定していたのだが、59年のバブル時期から急激にゴミ排出量が増加し、以後元年度までの5年間でゴミ量はそれまでの380万トンから490万トンへと大幅に伸びている。この差額110万トンという数字は、札幌市が1年間に吐き出す量に匹敵するのであるから、大変な量である。つまり、バブルは札幌市一ケが出来たことに匹敵したわけである。
かくして昭和63年8月にゴミ増量対策委員会が作られ、平成2年にはゴミ問題緊急対策室が設けられた。
ゴミ量そのものは、その後のバブル崩壊と共に減って420万トン前後にはいったものの、現在の量といえども決して少ないとは言えない。もっと減らさなければならない。要するに、東京のゴミは経済に左右される。それはゴミの6割が事業系のゴミだからである。
すでにパンク状態
現在ある中央防波堤の処分場は来年の9月で満杯である。その沖合いに貿易検疫のための検査場所があるのだが、ここに新たに新海面処分場430ヘクタールが作られることになっている。千葉県との調整、漁業圏との調整もあって、やっと造成するところまでこぎ着けた。しかし、この新処分場ですら、現在のペースでゴミが排出され続けるともって15年、長くても20年といわれているのである。要するに、ゴミを減らさない限りどうにもならない。日量10キロまでは控除されていたのだが、それがなくなり、12月1日からゴミが有料化される背景にはこのような深刻な問題があるのである。
事業者の責務とリサイクル法
ゴミ減量で最も必要となるのが事業者の責務である。注目すべきなのは容器包装リサイクル法である。容器包装リサイクル法とは平成7年6月に制定された法律で、ゴミで容積で約6割を占める容器についての分別回収を義務づけた法律である。
では、都の条例はどうなっているのだろうか。東京都の廃棄物の処理及び再利用に関する条例では、ゴミをトータルに管理することを新たな視点として設け、生産・流通・消費の段階で発生をなるたけ抑え、出たゴミは再利用する。ライフサイクル・アナリシスの観点からも事業者に義務を課している。
さて、ゴミを減量化したリサイクルしたりするための経済的手法にはいくつかのメニューがある。排出に対して課徴金を課したり、あらかじめ製品に預り金を上乗せして販売(デポジット制度)したりする制度などである。
このうち、再生資源の需要拡大を公的介入によって拡大し、特定の業種に再生資源の利用計画を作成させようというのが、再生資源のリサイクル法である。そこで、いま注目を浴びているのが指定法人への委託である。
ゴミ減量化を考える東京懇談会。略称「ルール懇」と呼んでいるのだが、この懇談会が今年の8月1日に最終的まとめを出した。そこで、提唱されたのは三つのルールである。
一つは行政が回収するものである。23区内では週3回かゴミを回収しているのだが、それを2回にし、1回をリサイクルゴミとする。これが「東京ルール1」である。
次の「東京ルール2」は、ビンやカンをスーパーでリサイクルするなど事業者に自己回収を行わせるものである。
東京ルール2の対象となるビンやカンは6割と多いが、ペットボトルは1%程度しかない。そこで行政も関与すべく緊急的に出されたのが「東京ルール3」である。現在回収ルートがないために暫定的に行政が一時的に行うものであるが、将来的にはルール2の自主回収ルートにのせて行くものである。
廃棄物の問題の根源には経済システムの問題がある
廃棄物で一番問題になっているのは、多量のエネルギーと資源を使う現在のシステムである。この経済システムそのものからゴミ排出を最少化するシステムを作らなければならない。
現在、2割の先進国が世界の8割のエネルギーを利用しているといわれる。アメリカ人は4000億トンと日本人の倍ゴミを出しているといわれる。
その片方で、アジアでもいま凄まじい経済成長が進んでいる。もし、3%の増加率とすれば、50年倍で4倍。100年目で18.7倍になる。つまり、3%で成長していくと600年はあるといわれている再生資源も100年目でなくなってしまう。すなわち、石炭は100年、鉄なども100年でなくなってしまうこととなる。
人口も2030年で100億人になるといわれる。中国もエネルギー食糧の輸出国から輸入国になる。もしあらゆる国がアメリカ人と同じペースで資源を使用すると10年間と続かない。このままのシステムではローマクラブがいう成長の限界につきあたるであろう。つまり、資源と同時に水も貴重となるに違いない。食糧飢餓の前に水不足が来るのでないか。石油がなくなる前に水で世界は争うのでないか。
そこで、私がおそれるのは、ゴミの不法投棄で水源が汚染され飲めない水が出てくることである。
要するに、経済の効率化だけをやっていてはもはや駄目であって、大は世界貿易体制のシステムから、身近なライフスタイルに至るまで、いまのシステムのあり方そのものを見直すべきである。
求められる製造段階からの環境配慮
このような中で、持続可能な社会にするため産業界に求められるのは、環境管理に対する企業の前向きな取組みであろう。この秋から施行されるISO(アイソ)14000シリーズもそのような取組みの一つである。環境管理・監査システムとは経営システムの中に環境管理システムを組み込もうと言うもので、品質管理システムを用いた考えである。
もとより環境管理・監査は1970年代に化学系会社の内部監査などで実施されてきたが、企業と環境のあり方という形でこの概念が確立される契機となったのが、1989年にエクソン社のタンカーバルディーズ号が引き起こした原油流出事件である。これがきっかけで、NGOによって「バルディーズ原則」が作られたのである。
さて、1990年代に入ると環境管理・監査の規格化の検討が行われはじめた。これを一番最初に提唱したのが英国で、1992年には英国規格協会が環境管理システム規格BS7750を発表した。それを受け、1993寝ん意はECが「EC環境管理・監査スキーム規則(イーマス)」を出し、1995年4月から適用された。
こうした基準が各国バラバラでは不都合なので、国際企画が出来た。それが、ISO14000シリーズである。
ISO(International Organization for
Standardization)とは、工業製品の国際標準化、規格化を目的に1947年に設立された本部をジュネーブに置く国際機関のことであり、シリーズとなっているのは、14001が企業が環境問題に対応する場合の必要項目、14004がガイドラインなどそれぞれが規格名称になっているからである。
これまで日本はTQCが万全だと言うことでISOの9000シリーズは馬鹿にして、欧州企業から取り引き停止を受けるなど大変なしっぺ返しを受けた経験を持つ。このため、今回のISOに対しては結構前向きに取り組んでいる。
私が心配しているのは部品の調達先まで基準が求められ、どうも商工会議所も相手にしていないようだが、中小企業が影響を被るのでないかということである。いずれにせよ、ゴミを出さない企業はあるが、経営管理のことまでは考えていない。業者にまかせたり清掃にまかせたりしていて改善する意思が見られない。そこで見直しをしてでも廃棄物管理をやってもらいたいと考えている。
清掃局の全課題ではないがざっと話した。
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