都市農業研究 横浜市の都市農家


blue.gif都市の農家の販売形態別類型

横浜の都市農業を販売形態別に類型化すると次のようになる。

(1)直販(大熊農業専用地区)

 大半が兼業農家で担い手は女性である。もとから地神講、庚申講、念仏講といったムラ社会の結束が強かったことを生かして、それを近代的なサークルとして再構築。1975年ころから生活改善グループが直売(にこにこ市)を開始し、25年もの間実践を持続している。生活に密着した等身大の活動が、グループの絆になっている。外部的な支援組織は、行政、農協、地域の消費者などである。

(2)直販(鴨居・東本郷農業専用地区)

 露地野菜農家を中心に34戸からなる。うち、9戸が生協と産直提携を行っており、契約額はすべて200万以上であり、中には700万円を越す農家もあり、生協との提携が大きい。新住民と農業者が一体となって地域社会を支えている。農業者の自覚も高い。

(3)宅配型(平戸農業専用地区)

 もともと白菜、大根、里芋などを栽培する野菜地帯だったが、1955年に現在のリーダーが梨を植えたのが契機となり、1970年から本格的な果樹栽培を始めた。1980年には市街化区域からの逆線引を陳情。1974年に逆線引が認められ、1986年には農業専用地域の指定も受けている。現在、7名の農家が果樹を専門に栽培。傾斜地で経営面積も平均6反と小さいが、ライフサイクルを考えた労働・資本集約的な経営を行っている(2世帯を扶養する経営力がないため、後継者は定年で帰農することを前提に農外に勤務している)。各農家は500〜1000人の顧客を持ち、ダイレクトメールを中心に遠隔地の消費者と交流している。また、1980年以降、戸塚周辺の開発が進み、子供会、ボーイスカウトなど地域の都市住民との交流も始まっている。住民は「果樹の里」としての存続を希望している。

(4)市場出荷型(東俣野農業専用地区)

 露地栽培で面積も大きい農家数83戸からなる。春菊や軟弱野菜を作って鎌倉や藤沢市の地方卸売市場へ出荷している。あえて、地方卸売市場にこだわる理由は、小口産地にとって中央市場よりも地方卸売市場の方が有利なためである。とくに、鎌倉市場は高級品志向が強く、鮮度を高く評価してくれる。なお、キャパシテイが小さいために需給関係で取引価格が変動するリスクは、軟弱ものの回転率で補っている。地方市場は、人間のつながりがまだ非常に強いため、こうした人間関係を大事にしている。

 

blue.gif都市内発的主体性の強化と支援組織の充実

 これらはいづれも十年前に農専地区に指定され、ほ場・農道・畑地潅漑など土地基盤が整備された地区である。しかし、都市農業が持続していくためには、ゾーニングと基盤整備といった周辺環境の保全だけでは不十分である。それを支える社会環境、人間組織も必要である。今後の都市農業が持続できるかどうかのカギは、担い手と営農集団の充実を図り、いかに組織を強化できるか(農業専用地区内の農家のスムーズな世代交代)といった内発的な主体性の問題と、都市農業を外部から応援する支援団(生活クラブ生協などの消費者団体、農協、行政)のバックアップにかかっている。要するに、住民それぞれが農業の役割を認識しあい、互いの生活共通資源として大切にしてゆくという、顔の見える多面的なネットワークをいかに図るかが課題である。

 

【参考文献】

竹中久二雄「都市農業の持続的展開方向と支援組織の役割

『都市農業問題に関する研究』(1992)


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