国際湿地シンポジウムin沖縄


 日本湿地ネットワークの主催で2000年10月14・15日に行われたこのシンポジウムでは、埋め立てが目前となった泡瀬干潟などの湿地保全について、国内外の関係者が集まり話されました。
 講演者からは、「海草の移植を行うより保全を考えるべき」、「今回のアセス法では、市民の意見を聞き、計画をやり直すことも可能である。」などの意見が出ました。参加した沖縄市長からは「干潟や野鳥の保護など、自然環境を生かしていきたい。開発は中部全体の活性化につながる。」と理解を求めました。
 最後に、沖縄市、沖縄県、国に対して環境影響評価のやり直しを求める「泡瀬宣言」を採決しました。

主 催:日本湿地ネットワーク(JAWAN)
主幹団体:国際湿地シンポジウム沖縄実行委員会



泡瀬干潟(イメージ)



泡瀬宣言

 私たちは、2000年10月14日から15日にかけて、泡瀬干潟のある沖縄市に集い、国際湿地シンポジウムを開催した。そこで私たちは泡瀬干潟を通して、海草藻場の価値を再認識した。さらに国際的な視野から、日本の湿地の危機的現状を再認識し、これを打開する途を模索した。

干潟をはじめとした日本の湿地破壊の元凶は、いずれも大規模開発に偏重した過剰な公共事業である。日本の公共事業は、事業に対する責任の所在を欠いたまま、国家財政をも危機的な状況に追い込み、今ようやく見直しの機運が高まりつつある。しかしながら、政府が打ち出した公共事業の見直しは、中海干拓事業の中止や、吉野川可動堰計画の「白紙」化など、大きな意味のあるものもあるが、その多くは既に事実上停止している事業であり、真の見直しとは到底言えない。

環境影響評価(環境アセスメント)法の成立など、開発計画における環境保全の視点もようやく現れ始めた。しかしながらその一方で、地方分権一括法施行に伴う、国が直営で行う埋め立て事業に対する環境庁意見表明機会の喪失など、湿地保全の世界的動きに逆行した動きがみられ、泡瀬干潟の埋め立て計画はその制度の悪影響を受けた初めての事業である。

沖縄島で最大級の水鳥の渡来地である泡瀬干潟を一気に消滅させる沖縄県中城湾港公有水面埋立事業は、公共事業による乱開発の典型である。環境影響評価(環境アセスメント)法の成立にもかかわらず、環境影響評価は旧態依然としたずさんさを露呈している。さらに、埋め立ての目的についても合理性があるとは感じられない。代償措置として提案されている海草の移植は、移植先の選定や移植後の管理について科学的な見通しに乏しく、説得力を有しない。

私たちは、沖縄市、沖縄県、国に対し、中城湾港公有水面埋立事業に関する環境影響評価のやり直しを求める。そして、泡瀬干潟の重要性を再認識し、保全対策を執ることを求める。さらに日本政府に対しては、土木中心の「環境破壊型」の公共事業のあり方を一刻も早く是正し、ラムサール条約締約国として、湿地の長期的保全策の導入を求める。そして、当面する緊急課題として、諫早湾の水門の開放措置を執ることを求める。
  
明日、10月16日から19日まで、那覇市で「国際水鳥ワークショップ」が開催される。私たちは2001年から5年間の、水鳥とその生息地の保全戦略を考えるこのワークショップを通して、政府・NGO・研究者団体・企業などあらゆるセクターの協力による東アジア・オーストラリア地域の全ての湿地保全と国際協力が大きく前進することを心から期待する。

私たちは、去る7月21日に亡くなったゴールドマン環境賞受賞者故山下弘文氏の意思を引き継ぎ、日本、韓国はじめ東アジア、そして世界の湿地の保全とそれぞれの地域における湿地の賢明な利用のあり方を追求するとともに、湿地保全のための継続的な国内及び国際交流のネットワークを構築することができるよう、全力を尽くす決意である。


2000年10月15日
「国際湿地シンポジウムin沖縄」参加者一同