水鳥の市民公開シンポジウム

 今回のシンポジウムは、「沖縄と世界の水鳥環境の現状から私たちにできること」をテーマに、NGO実行委員会が主体となって、渡り性水鳥とその生息地保全に関する沖縄ワークショップの一環として行われました。



 「鳥の渡りと地球環境の保全」と題して基調講演をしていただいた、東京大学大学院の樋口広芳教授からは、人工衛星を使った鳥の追跡のしくみや、「渡り鳥を保全するためには繁殖地、越冬地の他、中継地も保全していく必要がある。人工衛星を使ったマナズルやコウノトリの調査では、南北朝鮮を隔てる非武装地帯でしばらくの間滞在し、繁殖地へ向かっていく。鳥たちには国境はない。」、「渡り鳥がいなければ、特定の生物種だけが増える可能性もある。渡り鳥の保全は、私たちの生活ひいては地球環境の保全にもつながっている。」などの話がありました。


樋口広芳教授



 各地の現状として、まずフィリピンのマリーン・メンドーサさんからは「フィリピンでは湿地の日は祝日になっている。」、「様々な人が湿地の重要性を認識し、その気持ちを行動に移し、次の世代へ受け継いでいかなければならない」等の話がありました。


マリーン・メンドーサさん(パネリスト)



 次に香港のリュー・ヤングさんからは「マイポでは陸化した場所をブルドーザーなどで堆積物を取り除き、湿地に戻そうという取り組みもある。」、「教育に力を入れている。この子供たちが成長すると湿地保全に関心のある大人になり、支援してくれる人が多くなることにつながっている。」などの話がありました。


リュー・ヤングさん(パネリスト)



 続いて日本の柏木実さんからは「みんなができることの一つに、データの収集がある。」、「市民みんなで集めたデータを示すことで、藤前干潟が守られた。」などの話がありました。


柏木実さん(パネリスト)



 沖縄の山城正邦さんからは「干潟の埋め立てがあちらこちらで行われているが、われわれ市民はきちんとチェックし、保全しなければならない理由を明確にする必要がある。」、「まず、自然に関心を持つことから次のステップが生まれてくる。」などの報告がありました。


山城正邦さん(パネリスト)



 最後に、漫湖の重要性を知り主体的に湿地の保全等に取り組むことを誓った「漫湖宣言」を採択しました。


中村玲子さん(コーディネーター)



漫湖宣言


 ここ沖縄で、「渡り性水鳥とその生息地保全に関する沖縄ワークショップ」が開催され、私たちは、アジア・太平洋地域の水鳥とその生息地の現状及びその保全に向けた国際的な取り組みを知る機会を得ました。

これまで私たちは、水鳥の生息にとって極めて重要な湿地を、無意識の内に水鳥が住みにくい環境に変え、日々の生活から水鳥とふれあう豊かな自然の潤いを失いつつあります。今ここで、水鳥が、地域の自然の豊かさを写し出すバロメーターであり、共に地球に生きるパートナーだということに気づくべきではないでしょうか!

 私たちは、改めて国内11番目のラムサール条約登録湿地「漫湖」の重要性を知り、強い誇りを感じるとともに、市民、NGO、企業、行政のパートナーシップ(協働関係)の下で、国際的な水鳥保護のネットワークを広げ、主体的に「湿地」の保全と環境浄化に取り組むことを、ここに宣言します。

1.私たちは、水鳥の生態の不思議を理解し、将来に渡って水鳥とが共生する環境を保護・保全するため、それぞれの立場でできることを実行します。

2.私たちは、湿地が育む貴重な生態系の役割と存在価値を理解し、湿地や周辺環 境の保護・保全のため、日々の生活の中でできることを実行します。

3.私たちは、沖縄県内の湿地が、東アジア・オーストラリア地域の水鳥の中継地 として特に重要であることを認識し、それぞれの湿地の固有な生態系を保護・保全するネットワークに参加します。

4.私たちは、ラムサール条約によって国際的に重要性が認知された「漫湖」を有することに誇りを持ち、今回の「渡り性水鳥とその生息地保全に関する沖縄ワークショップ」で策定される「第U期 アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」を、市民の立場から関心を持ち協力します。

2000年10月18日            
水鳥の市民公開シンポジウム参加者一同



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