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エビのオスメスの見分け方

 

ヌマエビ類に共通だと思われる雄雌の見分け方です。
ここで紹介するのは成熟個体のみの見分け方です。稚エビや未成熟個体は含んでおりません。
(クリスタルレッドシュリンプの雄・雌の見分け方はこちらへ
(ロックシュリンプの雄・雌はこちら
(スジエビの雄・雌はこちら


エビの雄・雌は、『第一触角の長さ』『卵巣の有無』『腹節下側の膨らみ』の三点で見分けるのが便利な方法です。
エビの体のつくりの詳しい説明は、kenken’s Home Page../../Outdoors/7766
川エビ雑話川エビの体、がオススメです。足先の爪一本に至るまで詳しく書かれています。

オスメスを見分ける前に、基本的な雌雄の方向性として、オスは「メスの居場所を探して交接する」ことに特化
メスは「卵を産み、孵化するまで大切に保護する」ことに特化していると頭に入れておくと楽かもしれません。

1.ヌマエビ類のオスメスの区別で最も簡単なのが抱卵している個体を見つけることです。
たくさんいる水槽の中から腹節の下にたくさん卵を抱えている個体を見つけられれば、それは間違いなくメスです。

おなかの下に卵をたくさん抱えたヌカエビの雌。
頭の後ろにも同色の卵巣が発達してきています。

2.次に簡単なのが抱卵していた個体を探すことです。産卵周期のヌマエビ類のメスは、
腹節の下側が伸びて卵を保護するための張り出しをおなかの下につくり、
そこに腹肢に付けた卵をおさめて孵化するまで保護するわけですが、
稚エビが孵化してしまった後も、その張り出しは次の脱皮を迎えるまでそのままなため、
ここが膨らんでいて体高が高くて寸胴な印象のある個体はメスと思って間違いないでしょう。
オスはそのようなつくりを持つ必要がないので腹節の下側は直線的でスマートです。
メスは一枚一枚の腹節が腹側の末端で山型になって、全体的にもこもこした山の連なりになります。
ただ、メスでも最初の産卵をするまで(生まれてはじめての産卵前脱皮を行なうまで)は体が大きくても、
この部分がオスと同じような形態ですから、オスと思っていた個体がある日突然抱卵している事があります。
CRS、ビーシュリンプなどの、模様が多くて卵巣が見えにくい種類では注意が必要です。

3.卵巣が発達した個体を探す
成熟したメスは背中の上側の頭胸甲と腹節にまたがるようにして卵巣が発達している場合が多いです。
エビギャラリーヌカエビ3を見ていただくと良く分かると思いますが、
メスはここに産む前の卵の準備をするわけです。
ミナミヌマエビやヌカエビ、ヤマトヌマエビなどの、体が透けて見える種類には極めて有効な見分け方です。
模様の多い種類でも、光に透かすなどすると、大きな影が横たわっているのを確認できます。
これはオスには全く無いものですから、ここが良く発達している個体があれば、
それはまずメスと思って間違いないです。
抱卵しているメスは産卵してすぐの場合、この卵巣は当然全くありません。
でも、稚エビが孵る頃には、また卵巣が発達してくるものです。
成熟したメスはこのサイクルを繰り返しますから、オスメスを見分けるのに大いに役立ちます。


産卵(抱卵)をしたばかりの♀(中央)は卵巣が小さいのが分かります。
左の大きさではまだ産卵しません。右の個体は産卵間近。

例外として、産卵してすぐ全て脱卵した場合は、体のどこにも卵はない事になります。
ちなみに、目のすぐ後ろから頭胸甲の中心部分に見える黒っぽい影は内臓諸器官の集まりだと思われ、
卵巣ではありません。これはオスにもメスにも共通に見られます。
卵巣はそのすぐ後ろに、背腸の上を覆うように大きく発達していきます。


以上の見分け方はオスメスの見分け方と言うよりも、「メスの探し方」と言ったほうがいいかもしれませんね。
実際に一番困るのは「オス」なのか「抱卵も卵巣の発達も無いメス」なのかの見分け方です。
ここからが問題です。私は大きな顕微鏡は持っていませんし、あったとしても、
水から掬って顕微鏡に縛り付けられたエビが元気に回復するとも思えませんし、
ショップに虫眼鏡を持って行って見る訳にもいきません。
以下の項目は、私が水槽に張りついて目視でいろいろ観察した結果から引き出した見分け方です。
目視でオスメスを見分けられるようになる事は、良い種親の選別、
無駄な個体を買うことや過剰交接からの共食いを防ぐ意味でも重要な知識ですので、
ぜひ皆さんもエビとガラス越しにキスするくらい水槽に張り付いて、
自分なりの見分け方をマスターしてください。

私は基本的にはオスとメスの「役割の違い」から生じた、体のつくりの違いと、行動の違いで見分けています。


4.ヒゲの長さで見分ける。(参考写真⇒CRSのおすめすの見分け方
ヌマエビ類には見た目6本の触角(ヒゲ)がありますが、
オスは「メスの居場所を探して交接すること」に特化していますので、
メスの匂いを嗅ぎ分けるために触角がメスより長く良く発達しているのが普通です。
特に鼻先にある上下の4本(第一触角)はメスの1.5倍に達するほど長い場合があります。
目のそばから出る良く動く触覚(太くて目立つヒゲです。こちらが第二触角)はオスもメスも長いのですが、
鼻先の4本はオスの「メス探しの生命線」のようで、太さも長さもメスを上回り、弓なりになる場合もあります。
4本のヒゲで鼻先の前方にロート状のレーダーをつくり、これで雌の居場所を的確に探索するためでしょう。
相対的な見分け方ですが、これが長くて体がスマートな個体であれば、オスの確率はかなり高いです。
特に成熟した大型の雄の個体には顕著になります。
「男はヒゲが濃い」と覚えておくと良いかもしれません。
逆に、雌の第一触角には雄ほどの役割はないため、形状が陳腐である場合が多いです。
上側の2本は、オスのヒゲがロート状を形成する為に斜め前向きに付いているのに比べ、
直角に真上に細くて短いものが付いている程度という印象が強いです。
下側の二本も下側にカールしている事もあり、重要視されていない事がありありです。

5.スマートさで見分ける。メスが卵をたくさん産むために体が寸胴で動きがのろい印象を受けるのに対し、
オスは泳ぎ回ってメスの居場所を探して、交接しなければならないため、体はスマートで無駄がなく、
敏捷性が高く、動きも軽やかです。そんな印象をもつ個体がいたら、それはオスである可能性が高いです。

6.足の長さで見分ける。オスは産卵前脱皮をしたメスの放つフェロモンをたよりに、
メスにたどり着くのですが、メスはそう簡単には交接させてくれません。
脱皮直後ならメスがまだ体の自由がきかず比較的簡単なのですが、
時間と共に回復するとメスは跳ねて逃げ回り、なかなか捕まりません。
これをオスは胸肢を使って捕獲して交接するのです。
ですからメスを捕まえやすい足の長く発達した個体が子孫を多く残してきたため、
メスよりもかなり胸肢が長いのが普通です。
このためメスが体の割りに足が短く、おなかを擦るような感じなのに対し、オスは立ち姿もスッと格好良く、
水草のてっぺんに止まると絵になります。
このようなカッコ好い感じの個体がいたら、それはオスである可能性大です。

7.腹肢の形状で見分ける。遊泳肢、遊泳脚とも言いますが、腹節の下に付いている肢の形状や長さが違います。
メスは5本ある腹肢の、主に2・3・4に卵を産んで孵化するまでゆらゆら揺らして大切に面倒をみるのですが、
メスの場合は、この3本が後側に行くほど長い傾向があります。(第5腹肢はオスメスとも短いです。)
なぜかというと、エビは腹肢を使わない時は前に倒して腹節の甲羅の中に収めるのですが、
卵が付いている時に前側に倒した場合にちょうど卵が全部メスのおなかに納まるように後に行くほど長いのです。
前が長いと前側に倒して収納した時に卵がはみ出してしまいますから。
特に雌の第一腹肢は、半分に切ったかのように短いようです。
これは卵を産む時に、各腹肢に均等に卵を付着させる際の、邪魔になってしまうためと考えています。
ヌマエビ類の雌は背中を丸めて、第二歩脚の付け根あたりから卵を産み出し、
前側に倒してある腹肢と腹肢の隙間に入れていくような産卵のしかたをしますが、
一番前の腹肢が長いと、産卵口に蓋をするような格好になり、
他の腹肢に卵をまんべんなく産み付ける事が出来なくなってしまうからだと思います。

アメリカザリガニをひっくり返してオスメスを見分けた方も多いと思いますが、
ミナミヌマエビとして市販されるエビ(外来種シナヌマエビ類の各亜種)では、
オスの遊泳中に第一・第二腹肢に交接器官と思われる突起が顕著にみとめられ、
見分けが容易です。

ペット屋さん出身の“ミナミ”のオスの第一・第二腹肢は、泳ぐ時「ひらひら」というより棒状です

そして、第一腹肢の先端には、こんな丸い円盤が付いています。
泳いでいると肉眼でも良く見えるので、商品名ミナミヌマエビの雌雄の見分けは容易です。

参照⇒ミナミヌマエビの仲間の第一腹肢の特徴
交接の際、オスはこの2対をメスの胸脚の付け根あたりに突き立てるようにします。
腹肢の形状自体もやや太い棒状になっており、泳ぐ時にもあまり後ろに倒す事ができず、
前の方に集中した状態になります。先端も鉤状になっている様に見えます。
雌の腹肢は薄く、泳いだ場合に、やや後ろの方に腹肢の集まりが出来る様な印象となります。
エビが腹肢の手入れをしている時に見分けるのが一番良いのですが、なかなかそういう機会には恵まれません。
泳がせればある程度わかりますが、泳ぐための肢ですから、動きはかなり速いです。
水槽の側面から蛍光灯の光を当てて泳がせると比較的見分けやすくなります。

8.良く泳ぐかどうかで見分ける。とにかくオスは良く泳ぎます。丸いバケツにエビを入れた場合、
バケツに沿ってクルクル泳ぎ回るのはだいたいオスです。
メスは最初は一緒に泳ぎますが、しばらくするとだいたいバケツの底に降りている事が多いです。
オスは水槽内でも産卵前脱皮をしたメスがいる場合は熱に浮かされた如く泳ぎ回ります。
そしてホバーリング、方向転換、速度調整など自由自在な感じです。
メスは必要以上に泳ぎ回ることはありません。「食べて、卵を産んで」が仕事みたいなものですから、
無駄な運動でカロリーを消費するのは出来るだけ避ける傾向が強いようです。
泳いだとしても手を前に伸ばして、直線的な感じになる場合が多いようです。
普段あまり泳がないメスがガラスに沿って水面に向かって泳いでいる状態が続く場合は、
水質的に問題がある場合を疑ってもいいくらいです。

9.星や模様の多さで見分ける。この見分けは透明な種類に顕著な違いです。
エビに限らず生物にとって透明であることが一番の保護色だと思うのですが、メスは卵巣を持ったり、
抱卵したりで透明では居られない事が多いです。
そのためか、オスに比べメスには、保護色、あるいは迷彩色となる模様や、金色や白色の点々が、
体の表面に多数見られる事が多いです。
特に卵巣を目立たせない為と思われる1本線が、頭から尾にかけての背中にある個体が多いです。
模様を持つ種類でも、メスの手足や尾の周囲に金色の星をオスより多数持つ個体が多いです。
アナカリスの花を食べるミナミヌマエビの♀
雌の個体に多い、背中を縦走する明色な線

10.顔の大きさ・目の大きさで見分ける。これはヒゲの濃さとも関連するのですが、
オスの吻端から目までの距離がメスよりも長い印象を受ける場合が多いです。
メスよりも発達した触角を支える基底の部分も、そのぶん発達しているということでしょうか。
さらにオスは目も大きい傾向が強いです。目でメスを見付けている感じはありませんが、
泳ぎ回るという行動が多いので敵から目立つため、敵を発見しやすくなっているのかもしれません。
オスの目は眼球全てが黒い印象が強いです。
それに比べ、メスの目は中心部分のみが黒い2重構造のように見える事が多いようです。
あるいは、この事がオスの目を大きく見せている原因なのかもしれません。
オスは抱卵しない分、尻尾に向かっては華奢なのに、目が大きく、
顔が長めで、ヒゲが濃く、顔が大きいという印象になります。
一方、メスは体が寸胴な割りに、先の方に集まったやや詰まった感じの
目立たない小さい顔という印象になります。(参考:CRSの雄雌の顔の特徴の写真⇒CRSの雄雌の見分け方

11.追尾行動
これは雄が雌に交接をしかける前の行動です。自宅の水槽ならば比較的頻繁に観察できるでしょう。
ショップでも、個体数が多い分、意外と見られるかもしれません。
追尾行動は、俗に「抱卵の舞」などと呼ばれる時の雄の泳ぎ回る行動と同じものです。
狭い水槽内では、雌が脱皮した時に放出されると思われるフェロモンが充満し、
「追う」というより「舞う」になってしまうようですが、広い自然環境では「追う」になるのでしょう。
追われて逃げまわっている個体が雌。追っている個体が雄。という事になります。
「抱卵の舞」の時に泳ぎ回っている個体は、逃げまわっている個体以外は全て雄ですから、
飼育している個体数が多い場合も、この機を逃さずに分離すると楽です。
ただ、ヌカエビもCRSも雄が脱皮しただけなのに他の雄達がやや興奮状態になり、
跳び付いて交接まがいの行動をとる事を何度か観察したことがありますので、
追われた個体の100%が雌とは言い切れません。

12.跳び付き行動
跳び付き行動は、脱皮後の雌を射程内に捉えた際の雄の行動ですが、
この行動は、意外と雌がまだ脱皮もしていない平常な状態でも観察できる場合があります。
底床をごく普通にツマツマしている2匹が出会った時に、
一方がふわっと相手の頭上に浮き、すとんと相手の上に覆い被さろうとする行動です。
相手はまずジャンプして逃げます。
被さろうとした側が雄。逃げた側が雌。という事になります。
エビがザワザワと多数居るショップの水槽で何度か観察しましたが、
個体数が少なくて、落ち着いてしまっている状態だと、逆にあまり観察できないかもしれません。

※追記(2005・02・14)
ビーシュリンプ(CRSも)の場合、雄が雄を追い、
雄に跳び付き行動に似た行動をするのが頻繁に見られる場合があります。
(“抱卵の舞”以外の状態で見られる)
テリトリーに関わる行動と思われますが、
この場合は追尾された個体・跳び付かれた個体も「♂」です。【参照⇒CRSの雌雄三態

13.受精嚢で見分ける(参考⇒クリスタルレッドの受精嚢
これは、脱皮した直後の雌に見られるものです。(ミナミヌマエビ・CRSで確認)
雄と交接し、精包を受け取っている場合には、より鮮明になるようです。産卵をすると消えてしまいます。
産卵するまでの短い時間しか見られませんが、個体数が多い場合には意外と目に付きます。
模様が多いCRSでも、脱皮直後の色が抜けた状態で、
しかも本来は白い模様があるはずのない頭胸甲の中央やや後ろ部分に、
突然白い三角形が透けて見えますので良く分かります。
(色のりが悪い個体だと常時見えることもあります)

交接するほどの成熟状態だと、当然ながら卵巣や腹節の甲板も発達していると思いますので、
これは、♀であることの駄目押しですね。

14.精巣・貯精嚢・輸精管(?)
ミナミヌマエビとヌカエビで確認したものですが、
長い間、交接できない状態にある雄のミナミヌマエビは、
精巣・貯精嚢・輸精管といった部分が白く見えてくるようです。(写真⇒精巣・貯精嚢・輸精管

 

ヌマエビ類の目視でのオスメスの見分け方は、現在のところこんな感じです。
また新たな見分け方を発見したら追加していく予定です。
尚、ここで紹介した見分け方は、あくまで私見ですので、実際の雌雄と一致する保証はありません。
参考程度にお考え下さい。

 

2002年9月14日 

CRSのオスメスの見分け方を、写真で解説してみました。こちらからどうぞ。


2002/12/04 4.7.に追記。9.10.を追加。 
2003/01/07 全体的に書き足し。
2003/04/02 11.12.追加
2003/06/29 7.更新、ミナミの写真追加。
2003/09/04 卵巣写真追加
2003/09/14 13追加
2004/01/22 14追加
2005・02・14 12に追記
2005・10・12 雄雌写真、差し替え
2007・05・10 “ミナミ”第一腹肢の写真追加


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