ミミズの糞の違いについて
畑や庭にはいつの間にかミミズが住み着くものです。機械の耕転作業や化学肥料、農薬といった阻害因子がなく、有機質の補充が続けばミミズは定着していくものなのです。
生の有機質が多い場所には縞ミミズが生息します。ここでは畑にいるフツウミミズと縞ミミズとのフン成分の違いについて考察してみましょう。
縞ミミズの体内にはルンブロフェブリンが含まれています。これは下熱効果があります。
何と乾燥重量の6割はたんぱく質だそうです。そのアミノ酸組成は多様で、グルタミン酸、アスパラギン酸が多く、ビタミン類も多く栄養価は魚粉に匹敵するといいます。
縞ミミズの体内からは消化酵素としてセルラーゼが見出されますが、他にもホルホターゼ、
エステラーゼ、アセチルエステラーゼ、カタラーゼ、ペルオキシターゼ、サルファターゼ、アリルサルファターゼ、デハイドロギナーゼの酵素類が見つかっているそうです。セルラーゼは植物質を分解、ホルホターゼは燐酸を、ステラーゼは脂肪酸を、アスチルエステラーゼやカタラーゼは過酸化水素の分解に寄与しているようです。
ミミズには今までの研究で15種類の酵素が見つかっているそうで、これらの酵素類はミミズの体内に生息する微生物が関与しているのか、あるいはミミズ自体が分泌するのかが不明でしたが、最近の研究ではセルラーゼ、グルコシターゼ、フルホターゼはミミズ自体の分泌物であることが分かってきました。
これらの微生物とミミズとの関係は複雑で、例えば縞ミミズは餌に原生動物を摂取しないと親にはならないといわれています。餌となるものに付着している微生物の種類によって、ミミズの食べる量も左右されます。このことから微生物はミミズの餌でもあり、かつミミズの腸内は微生物を培養する工場でもあり、ミミズと微生物とは複雑な関係にあることが分かります。フツウミミズが人工繁殖をしにくい理由はこの微生物との相関関係が十分に解明されていないからとか?
有機農法を実践している畑でフツウミミズなどの分布調査をすると、たくさんに集中して見られる部分があったり、見つからない部分もあります。条件の違いを考えてみると地面が湿っていたり、地表面が被覆されていないと住めないようです。
次に畑ミミズを移入した後の土壌成分の変移を見ていきましょう。一般的に畑にいるミミズ類のほうが糞に含まれる成分は多く、この原因は土を食べる習性から来ているのだとされています。つまり土(鉱物質)を有機質と共に食し、この鉱物質は飲み込まれた物質の消化に寄与しながら、鉱物質自体も溶けて栄養分になるようです。
東北農業試験場の中村先生上席官は、こういったことを調査されていろいろな事柄が分かってきたようです。ペーハー値、カリウム、EC値は無肥料とほとんど同じでしたが、カルシウムの含有量が増加しました。発芽時期や成長も早くなりました。収穫量は1.6倍になりました。全窒素は3倍、燐酸は2.5倍、置換性塩基類のカルシウム、カリウム、マグネシウムは1〜2倍、腐植酸量は14倍も高まりました。ミミズのいない畑では遊離アミノ酸は2種類しか見つからなかったのに対し、ミミズのフン中には33種類ものアミノ酸が見つかっています。その量も多く、非必須アミノ酸のプロリンや必須アミノ酸のバリンは特に多くなっています。これはミミズのいる畑での収穫物にはたんぱく質含量が増加することと関連があると言えそうです。そして連作障害の弊害も軽減されるようです。
フルボ酸:
腐植酸よりも分子量が小さい黄色の物質群、および多種の物質を含む非腐植物質群からなている。この黄色の物質群は腐植酸と同様な構造を持っているが、腐植化の程度は低い。フルボ酸はキレート化合物を形成して、金属元素を可給態化する能力が大きい点で、土壌中で重要な役割を果たしている。
フルボ酸は土壌有機物や堆積物からアルカリによって抽出される有機物ないし、天然水中に溶存する有機物のうち、酸性(PH1)にしても沈殿しない画分である。土壌中で鉄やアルミニウムの酸化物、粘土鉱物、および高分子有機物に吸着されて存在し、またその多数の解離基によって各種の交換性陽イオンを保持している。土壌環境の変化に対する緩衝作用に深く関わっている重要なものである。
腐植酸(フミン酸):
土壌からアルカリによって抽出され、酸によって沈殿する赤褐色ないし暗褐色の有機物の画分であり、酸としての性質を有するため腐植酸と呼ばれる。土壌の腐植酸は植物遺体が腐朽していく過程で、分解・変質を受け残留しているリグニン、たんぱく質、多糖類などの高分子や、それらの成分から微生物によって生産された2次的有機物が、相互に反応したり無機成分と結合して安定化して生成した腐植物質によって構成されている。
連作障害の原因:
連作障害が他の障害と異なる点は@輪作によって障害が消失することから分かるように作物特異性を持つ障害であること、およびA原因が土壌中で、蓄積して次作に障害を及ぼすことである。しかしながら作物によっては両者に起因しない場合もあり、複雑である。
例えば古くから連作障害の原因としてされているものの中には土壌養分の消耗、土壌反応の異常、土壌物理性の悪化、植物に由来する有害物質、病害虫を含む土壌生物がある。
このうち作物特異性を持ちうるものは、植物由来の有害物質と土壌生物であって、他については作物特異性はあまり明確ではなく、連作という行為に付随する作業の不適切さに起因するものである。今まで言われてきた土壌養分の消耗は問題となりえず、むしろ土壌中に蓄積した過剰養分などに起因する問題だと論ぜられている。