自然観察会「ふわふわ〜む」行動記録集     第23回        2001年7月08日実施分

この活動は三重環境県民会議の後援を得て、環境創造活動助成金を受けています。
定点観察場(役場から北へ)定点観察場(北から役場を見る)
図ー1 定点観察場(役場から図書館方向を見る) 図ー2 定点観察場(最終端側から役場方向を見る)
自然観察会「ふわふわ〜む」が観察を開始してから早や2年が過ぎ、この夏3年目を迎えました。
皆さんから「ふわふわ〜む」と名付けられたこの会は、どこまで観察の種を飛ばせていくのだろう?
この観察会は、一般に行われている「次回の会場は・・・。」というようなものではありません。
定点観測によるもので、一過性の観察会に終わりたくないという思いから始めたものなのでした。
珍しいもの、不思議なもの、面白いもの・・・といった興味の対象だけの行事では、一時的な「点」という単なる経験だけに終わってしまう懸念があると思われたからなのですが・・・。
「継続のないイベント的な観察会」、それは、ある種のバーチャルな面白体験に通じるものだけなのだといった見方もできるのではないでしょうか?
そうではなくて、線となって、さらに面となっていく野外行為そのものを大切にしたいと思ったからなのです。
「ああ、面白かったね。」といった一過性体験ではなく、四季を通じて自然を感じ取り、自分で考え、自分で気づくという「最も基本的な」自然体験が今、求められていると思うのです。
そこには「自分の目で確かめ」、「自分に問いかけ、自分で答える」といった行為が必要なのだと思われるのです。自分の目や感覚で感じ取って、「自分で考え」、そして「自分で気づく」ことの体験は身近な日常生活の中でできるということ、これこそが今の時代に求められている感性をみがく「センスオブワンダー」なのではないでしょうか。
自然観察会「ふわふわ〜む」は、嬉野町役場の北東、駐車場に隣接する雑木林をホームグランド(定点観察地)として位置付け、活動してきました。この場所以外でこれ以上、適切な定点観察場があることを私はまだ知らないのです。
                                                                

昨夜、「環境講演会」がふるさと会館(主催:嬉野町の環境を考える会)で開催されました。
テーマは「地域から考える地球の環境」で、講師は三重大学生物資源学部のサンガ・ンゴイ・カザデイ教授です。氏は当町の宮野に在住です。そして何と、6月の「ふわふわ〜む」テレビ放映時の解説者でもあったのです。
さて、「環境を考える」と一口に言っても、このテーマはそう単純に整理できるものではなさそうです。
この問題を考えると、直接生活に密着している快適性とか、社会構造などについて自分自身はどう対処していくのかといったことも考えていかなければならないからです。そこには自分の哲学や他人との協調性、さらには他国(民)との理解性といったことにまで発展していく事になるからです。
「ふわふわ〜む」は、身近な定点観察が、まず環境を考えていくための基本であるとの認識をもっています。
そして雑木林の動植物の推移を調査し始めて2年が経ちました。
その変移の様子は、これまでの行動記録集編でもまとめていますが、実際に私たちは自然の変容振りの凄さに圧倒されつづけてきたのです。これはすなわち「定期的な定点観察」を実施してきたことで知り得たものだと言えそうです。
そして、この変移現象は、今後どのように変化していくのでしょうか?

この答えを探し出すためのヒントは案外、身近なところに求めることが出来そうです。
それは、ふるさと会館前の県道沿いの雑木林でしょう。この縦貫道路の建設(用地買収)は、昭和34年の伊勢湾台風襲来の直前に始められました。いわば、この場所環境の先輩的存在なのです。
現在、この沿線には太くなったツルウメモドキが見られます。そして秋には黄色と濃赤色との強烈なコントラストとなって存在感を印象付けてくれます。また大きなクヌギやタブの樹たちの存在です。
しかしここで不思議な現象に気づくのです。
定点観測地で、我が物顔に猛威を振るっているヤブダオシやクズといった植層類はどういった過程で、この40年間の間に消えていったのでしょうか?
この答えは、昭和40年代以降に急速に進んだ石油燃料化の背景があっても、先人達の里山を慈しむ心の存在が、林野の管理を充分なものとしていたのかも知れません。

さて、話をもとに戻しましょう。環境について考える講演会で、教育活動の重要性についても言及されていました。教育後進国のアフリカなどとは違って、我が国(心の荒廃先進国)における環境の学び方にはどのような方法があるのでしょう。
一つは、こどもエコクラブです。
環境省、環境教育推進室がプレゼンテーションしている「こどもエコクラブ」という組織をご存知でしょうか?
これは小・中学校のこどもが、自らの発意で、みずから研究・調査、実践していく活動なのです。
自分たちで実践していく「センスオブワンダー」、このメニューを推薦したいと思います。
小中学生の保護者の皆さん、ぜひ、こどもエコクラブの会員登録についてご助言をしていただくことをお薦めします。そしてもう一つは、自然観察指導員、NPOのインタプリターといった組織のもとに実施される自然観察会等への参加です。
(財)日本自然保護協会の自然観察指導員講習会の講師である一寸木さんへのインタビューを聞いてみてください。学び方への整理ができるのではと思い、ご紹介いたします。
(質問:)
教育現場で働いている先生方に「総合的な学習の時間」が新学習指導要領で導入されましたが、自然観察指導員が、学校現場に関わっていくには、どのような姿が望まれますか?
(答:)
「総合的な学習の時間」の中には国際理解や情報、環境、福祉・健康などが挙げられています。
しかし、環境という分野は、具体的に何をやればよいのか分からない教師が多いと思われます。すぐ、「リサイクル」「ゴミ拾い」に走ってしまったり・・・。まず、自然に親しむことから始めたいと思われます。自然観察はマニュアルではなく、大事なのは「センスオブワンダー」でしょうね。それから子どもは本当は理科が好きなんだと思っています。むしろ教師が「理科離れ」しているのかも知れないですね。それに来年度からの教科書では扱う動植物の種数や食物連鎖にふれる部分が減ってきたりしていますね。
(質問:)
そういった基本的な生き方の問題「センスオブワンダー」の部分は、教科書になくても、ほかの場で、例えば総合学習の場で伝えられればいいと思われますね。
(答:)
まったくその通りです。しかし現実にはむずかしい。それは教師になるときに、そういうことを求められていないからです。理科を教える以前に、教師自身が「自然離れ」しているケースがあると思われます。
生物の多様性や生きもの同士の関わりは、とても精神形成に重要という思いがあっても、実際にそれを感じる経験が乏しくては伝えられませんね。ですから地域の自然観察指導員の皆さんは、ぜひ学校に関わってほしいのです。「自然は大切」という言葉だけは知っているけど、実際に自然に親しむ機会は減っています。心の底から「自然は大切なんだなあ」と感じる経験を保護者も大人も子どもたちもしてほしいですね。

7月の自然観察会は「ザリガニ釣り」「メダカ・オタマジャクシ捕り」「みみず捕り競争」
気づきノート
・小さな池の中にミジンコという生き物がたくさんいたので、おどろきました。
・ミジンコはバケツで、どこの所をすくってもいっぱい入ってきたのにはおどろきました。
・そのミジンコをネーチャースコープで大きくしてくれたのをのぞいて見たら、泳ぎ方がとても速かったです。
・アメリカザリガニを釣りあげるのは、水面近くに上がってきた時に、そ〜ともちあげると釣れました。
・オタマジャクシは後ろ足が生えてきているものもいました。
・メダカはたくさんいたのですが、たもですくうことは簡単なようで、むずかしかったです。
・畑にはたくさんのミミズがいました。ミミズのいる土はとても黒かったです。
・ナスビやピーマンの実を収穫する時に、枝がポキポキと折れやすく、とてもむずかしいことがわかりました。
・ぼくは、はじめてダイコンをひっこぬきました。力を入れないと抜けないので大変でした。
・トマトの実が赤くなると、すぐにカラスが食べにくるのだからカラスさんはずるいなあ。


1997年2月、環境庁は絶滅危惧U類にメダカをリストアップしました。
私たちの最もなじみ深い存在であるメダカが危ないと「自然破壊の進行」を警告したのです。
しかしその実態を知っている人は少ないのではないでしょうか?
昨年度、三重県下で一斉にメダカの生息分布調査がなされました。私も近隣でのメダカ探しをしてみたのですが、見つけることは出来なかったのです。田畑で作業をされている方々に尋ねると「メダカ?かね。その辺にいるはずやわ」という決り文句だけがかえってきて「まさか、あのメダカが・・・・」の危惧は現実の問題となってしまった感がしています。
メダカを飼うと3年ほどの寿命があることが分かります。しかし自然界では1年魚であると専門書には書かれています。専門書の内容をもう少し見てみましょう。
                   ◎ メダカの消える日(自然の再生を目指して) 小澤祥司著 岩波書店より
メダカは遠い昔、インド東部から稲作技術の伝播と共に、日本の本土まで進出してきたのだそうです。
「メダカの方言」(辛川・柴田著、未央社刊 1980)によれば、何と5000にも及ぶ地方名が存在していたということですから驚きです。このことはメダカの存在というものが、私たちの生活と、それほどに密着していた事を物語っている証でもあるのでしょう。このことから地域のメダカを大切にしなければというお話をしましょう。
一口にメダカといっても、日本には大きく分けて4種のメダカ集団が存在していた?ようで、それはメダカのミトコンドリアDNAを分析する事で明確に分けられているのです。そしてここで注目される点について、この四つの集団の分布域は高い山嶺と海域とによって隔てられていると述べられています。見た目では1種類のメダカだけにしか見えないのですが、このようにDNA鑑定という手法により、どういった経路で分布域を拡大していったのかも解明が進められているのですね。
この見かけ上では1種のメダカであったものが、最近では幾種類もの変種へと固定化が進められていて、観賞魚として、その存在価値を発揮してくるまでになってきていることをご存知でしたか?
赤いヒメダカを始め、このヒメダカと在来のメダカとの交雑種のブチメダカ、シロメダカ、キンメダカ、ギンメダカ、アオメダカ、トラフメダカ・・。なんだかメダカを飼育してみたい気持ちになってきましたよね。
参加された皆さんにメダカのスケッチ図を書いてもらいましたが、正確なスケッチ図はあなたが見つけてください。下の二つのスケッチ図には、いずれも間違いがありますね。

めだかのスケッチ? めだかのスケッチ???
どこかおかしいなあ これはなあに? ノートの中にはメダカ情報が一杯です。クリックしてください。





嬉野町は、先ほどの環境講演会開催の時期に合わせたかのように「うれしの環境基本計画」を策定し、その概要版を各戸に配布しています。
その中から「ふわふわ〜む」の活動内容に関連する幾つかの事項について取り上げてみようと思います。


環境目標(P、1の記載)
四つの環境目標
1.共生(人と自然が手を取りあえる環境の保全と創出)
    具体的目標:野生生物の生息環境保全に努め、生物の多様性を確保します。
2.循環(環境にやさしい持続的発展が可能な循環型社会の構築と維持)
    具体的目標:ゴミの減量化を図ると共に、適正処理を推進します。
3.快適(安らぎとうるおいのある快適な社会の実現)
    具体的目標:身近な緑や水辺の保全・創出に努め、良好な環境を確保します。
4.参加(良好な環境を保全・創出する活動への参加と協働)
    具体的目標:学習する場と機会の充実を図り、意識と知識を高めます。
    住民・事業者と協働のもと率先して環境保全活動に取り組みます。
 ・自然への配慮(P、2の記載)
     自然の中での遊びを通じて、自然の大切さを実感しよう。
 ・参加への実践(P、5の記載)
     各種団体や行政などが主催する環境に関するイベントや学習会等に参加しよう。
     環境問題や身近な自然との関わりについての理解を深めるよう心がけよう。
 ・生物多様性の維持(P、10の記載)
     ヤマユリやエビネ、ミヤマウズラ、オオバノハチジョウシダ、オオタカ、ハイタカ、カスミサンショウウオ
     ゲンジボタル、ハルゼミ、ハッチョウトンボ等の本町に生息する貴重・希少な野生生物の保護に努め
     ます。
 ・環境教育・学習の推進(P、11の記載)
     環境イベント等により、自然とのふれあいや実践活動を通じた環境教育・学習の推進に努めます。
     こどもエコクラブの育成を図ります。
 ・環境保全活動の推進(P、11の記載)
     地域の模範となる活動団体の表彰・顕彰を行うなど、住民の自主的な環境保全活動を促進します。

以上の項目は「ふわふわ〜む」が実践してきている取組みとして共通すると思われる部分を抜粋してみましたが、「ふわふわ〜む」自身もさらに充実を図る必要があるように思われます。
このことについては今後の活動としては、他の団体と一緒になって、取り組んでいかねばならないという示唆でもあるようです。


みんな、ぼくたちやわたしたちといっしょに「こどもエコクラブ」にはいろうよ!


次世代への掛け橋とは?

それはし・ん・ら・い



郷土のメダカやヤマユリ、ササユリなどを再生させよう!




嬉野町が打ち出した四つの環境目標は、これからの時代にとても大切なことです。         

     すがぜ屋(自転車預り業)さんのツバメさんです。     近鉄三重嬉野駅(中川)の改札口のツバメさん。
     図ーA 現在のすがぜ屋さんのツバメ         図ーB 現在の中川駅改札口のツバメ


でも嬉野町立図書館の玄関口に営巣していたツバメの巣(2000年6月号)が取り払われていましたが、はて、ツバメさんはどこへ????
昨年度の観察会で学んだことは、ツバメさんは人の多いところが大好きなんだということでしたね。
それはツバメ(あらゆる生き物)と人間との信頼関係だと思われるのです。

「ふわふわ〜む」の今後の活動は、新しい時代の要求に少しでも役立つために更にパワーアップを目指そうと思っています。
私の所有地の水田や畑を自然生態系の体験農園に提供しています。
しかし、もっと施設環境を充実していければ―と思っています。ビオトープ池の拡大、安全管理施設柵、トイレ、洗い場などの水道施設、案内解説掲示板・・・このような設備は不可欠だと思われますが、残念ながら資金がありません。
新しい時代の要求には、新しい助成金の導入を検討していただければと思う昨今です。


次回は8月8日8時からに変更して日赤地域奉仕団「やまゆり会」との合同特別編です。
集合場所:ふるさと会館正面玄関に集合。徒歩で約5分程度の会場に移動をします。
内容:今回と同じ内容の「ザリガニ釣り」「カエル・メダカ捕り」「ミミズ捕り競争」です。

それでは次回に再びお会いいたしましょう。
                                                                                        

(財)日本自然保護協会会員:自然観察指導員三重連絡会所属
                       こどもエコクラブ応援団員登録
                       自然観察会「ふわふわ〜む」代表  脇葉 進

「ふわふわ〜む」一口テスト
問題:ツバメさんはどんな環境が好きなのでしたか?
答え
「人がたくさんいるところ。」