自然観察会「ふわふわ〜む」行動記録集
第25回 平成13年9月9日


この活動は三重環境県民会議の後援を得て、環境創造活動助成金を受けています。

いつものように定点観測場から始まりましたよ。                        
赤い実や青い実、そして緑色の実、クリやブドウのような実などたくさんの木の実を見つけてくれました。
真穂ちゃんは、ちいちゃな手でカマキリさんをつかまえていますが、こわくはないのでしょうかね。
みみずおじさんは「毒グモのタランチュラ」のような蜘蛛を捕まえて、手のひらにのせようとしたら噛みつかれてしまいました。グイグイと鋭い牙を食い込ましてきて、離れようとはしません。「あいててて!」 の声に参加者はビックリ! そこで無罪放免にして逃がしてやりました。
さて、今日は前回の続編です。用水路の中の魚たちの「その後」を追跡調査することにしましょう。
最後の場面ではビックラの連続で、とてもおもしろかったね。

用水路に生きるさかなたち
 上流からくだろう!
須賀井用水の導入部(中村川右岸)



図ー1 雲出川の合流点から2.6k
図ー2 須賀井用水樋管施設 図ー3 須賀井堰の名盤
形式:ゴム引布製起伏堰(空気式)
河床幅×堰高: 34.6m×2.35m
門数: 2 設置年月:平成2年3月

図ー4 最上流部にあたる用水路

図ー5 名松線上流部の用水路

図ー6 県道、津嬉野線の下流部の用水路

図ー7 中川住宅地(小川)を通る用水路


図ー8 中川住宅地を通る用水路


図ー9 中川住宅地(旭ヶ丘)を通る用水路


図ー10 旭ヶ丘を通過する用水路
         (2叉に分岐)


図ー11 須賀地区を通る用水路
        (2叉に分岐)


図ー12 須賀地区(山林部)を通る用水路
(日照度が少ない)


図ー13 図書館東を通る用水路

図ー14 ふるさと会館を通る用水路

図ー15 景観池の東を通る用水路

図ー16 県道松阪久居線を横切る用水路

図ー17 県道沿いの用水路(灌漑用)

図ー18 近鉄線沿いの用水路(幹線用)

図ー19 中原団地内の用水路

図ー20 水田地帯を通る幹線用水路A型

図ー21 水田地帯を通る幹線用水路B型

図ー22 近鉄と町道の交点部分

図ー23 水田地帯の用水路(灌漑用)
これらの各地点での用水路には、それぞれの特長が見られました。
・流速の度合い
・用水幅の大小度
・水温や水質の度合い
・日照度や藻類の植生の度合い
・川床への土砂などの堆積の度合い
・水量の枯渇度の度合い
こどもエコクラブ「ふわふわ〜む」のテーマ
これらの各要素が魚たちに与える生息の度合い変移を調べよう。


   前回では小さな用水路に色々なお魚がいることを確認しました。
それは図-16と図-17でしたね。
この用水路は上流端の須賀井導水路から下流部の図-23まで続いていました。
これらは何れの場所も人工的な構造物へと人の手によって作り変えられています。
「ある場所」にはお魚さんたちの姿はまったく見られません。そして「ある場所」には
たくさんのお魚さんが見られました。その場所にはフナ、モロコ、ハヤ、シラハエ、
テナガエビ、サワガニ、アメリカザリガニ、ナマズ、コイそして何とアユまでもがたくさん
見られたのでした。そのたくさんのお魚さんたちがいたという「ある場所」の秘密を
訪ね歩きます。たのしいたのしい一日の始まりです。 チョンチョン          



こどもエコクラブ「ふわふわ〜む」からの報告
まず最初に水田に通じている用水路の出発点を観察してみることにしました。
私たちはミミズおじさんにその場所を案内してもらい、図ー1の須賀井導水路を見学しました。
この導水路は中村川に固定堰(せき)を設けて、川の流れをせき止めてから堤防を横切って流れるようにしてありました。8月には水がいっぱい流れていたそうですが、今では用水路に水は流れ込んでいませんでした。
稲を刈り取る前に用水路の水は止められてしまうそうです。
固定堰はゴムで作られていて、空気を送り込んで、その圧力で流れをせき止める仕組みも分かりました。
この中村川はとても広く、水もきれいでした。カワウやカイツブリが水の中にもぐっている時間を数えたら20秒ほどももぐっていました。アユもいるそうですが、深いので魚を見つけることは出来ませんでした。
タニシはたくさん見られましたが、カワニナはいませんでした。他にはハッチョウトンボやオニヤンマが飛んでいました。この中村川には、この他にも色々な生き物がいるのだろうなあと思います。
次に図の5と6を見ましたが、ここにも水は流れてはいませんでした。だから魚もいません。
続いて図-8、図-9を見ましたが、ここにはほんの少しだけ水が流れていて、カワニナがたくさんいました。
今までの上流のコンクリート水路には何も見られませんでしたが、ここには砂利が少しだけありました。
でも魚を見つけることは出来ませんでした。この場所は、人家からの雑排水が流れ込んでいるので水もにごりが見えます。
図の12から図-13の辺りでは用水路が別れていました。ここからの地形は用水路が山林の中を通るので、今日の観察では通り過ごして次にふるさと会館から出てきた場所、図-16に行きました。
そしてこの集水桝(ます)の中に魚を見つけました。
でもタモで捕えようとすると、下流の小さな水路(前回にたくさんの魚たちがいた場所)に逃げられてしまいました。この桝の中にはザリガニやヌマエビがいました。
この辺りになぜ水が流れているのかというと、40年前には定点観察場の辺りに湧き水があったのだそうです。
図-17には水が流れていません。そこで私たちはメダカが住んでいるという図-18、19、20の場所に移動をしてみることにしました。これまでの観察では、この場所から下流にはメダカの群れが見られるそうなのです。
この図-20の幹線用水路A型の場所は水の量も多くて、流れの速さもほとんどありません。
コンクリートの底には泥もたまっていました。僕たちはこの場所でしばらくの間、メダカを探しましたが見つけることができなかったです。その理由はなぜなのか、今はまだ分かりませんでした。そしてよく見ていると水の流れが逆の方向に流れています。それは水面に浮いている浮草などでも判断ができました。それとA型幹線路にはコンクリートの平場がありますが、この平場に出来ている水紋がドンドンと広がっていって、ちょうど貝拾いをしていて海の潮がさしてくるときのような感じになっていたのです。この水位が少しずつ上がってきているということから、この辺りまで海の潮の影響があるということを教えてもらいました。そして汽水域(きすいいき)ということを知りました。伊勢平野の水田のことです。そしてこの水は伊勢湾の海水も混じっています。
そこで今度は中原団地の下流に移動しました。そしてこの場所では、たくさんのメダカの群れを見ました。
僕たちはタモでメダカをたくさん捕えました。大きなオタマジャクシも捕れました。大きなコイもいましたが、どこに行ったのか分からなくなって捕えることはできませんでした。この場所は土手の川で、コンクリートで作られていないので魚も自由に動き回れるのだと思います。
次にもう一度、コンクリート水路をもどって図-16や図-22のような集水桝で、別の場所を案内してもらいました。そこには信じられないような魚を見つけることができて、みんなビックリ仰天をしてしまいました。
一つ目の桝は大自然農場のすぐ前にあります。前後の小さな水路には水は流れていません。桝の中にだけ水がたまっていました。その中をかがむような姿勢でのぞいて見ると、大きなコイが2〜3匹います。僕たちは何とかしてこの大きな魚をタモで捕えようとしましたが、どうしても捕えることができず、ミミズおじさんにお願いして捕えてもらって、またびっくりしました。とても大きなコイでした。稲が刈り取られてある田にドッタンバッタンと暴れている姿から40センチ以上はありそうです。ウロコだけでも親指ほどの大きさがあります。
   
  
二つ目の桝の中にはオイカワやタモロコ、そして大きなハゼのような魚もタモで捕えることができました。
どうやら、この場所には色々な魚たちが集まってくるようです。用水路の通る場所によって魚の集まる種類や数にも違いがあることにも気がつきました。アユが見つかったのもこの場所なのだそうです。サワガニも見られるというこの場所には土手の中ほどから湧き水が入り込んでいることに気づきました。水路の上流から水が流れ込んでこなくてもきれいな水だけにしか住めない魚たちがいる理由が分かりました。この枡の中の魚たちはどこからやってきたのでしょう。これらの枡にはみんな大きな落差があります。だから下から上って来た魚は上流に上がっていくことが出来ません。中村川から大雨で下ってきたのか、下流で住んでいた魚が上って来て、枡の中に閉じ込められてしまったのかについては、まだ明確には分かりません。
でも「助けてやらなければ死んでしまうだけだ」という事だけは分かりました。

それではみんなで考えよう!
大きな枡(ます)の中には、色々なお魚たちがいることが分かりましたが、この魚たちを助ける方法を考え出してください。


その後のセンスオブワンダー(平成13年9月10日)
一夜明けた翌日には台風15号の接近で、大雨となりました。
そしてこの台風による大雨で、水がなくなっていた用水路には濁流が流れ込んでいたのでした。
枡の中の大きなコイも、きっと小さな水路をさまよっていることでしょう。
どうやらこのA型幹線水路に「魚たちを助ける方法」のヒントが隠されていそうです。

さて今回の一口テストです。
タランチュラとも呼ばれるオオツチグモは恐ろしい毒グモです。
日本にも毒グモはいますが手のひらに噛み付いたクモの傷跡は1時間後にはどうなっていたでしょうか?

@手のひらの全体が赤くふくれあがってきた。
A手のひらの部分だけでなく、かまれた左手の全体が赤くふくれあがってきた。
B手のひらのかまれた傷口の部分だけが赤くなっている。
C手のひらには傷跡もなく、何にも変化がみられない。
さあ、どれだったのかな?  参加者は全員が知っているのだけどね。


特別寄稿編水路の魚を助ける救済策は?

歴史のおもみについて考える

嬉野町の町名の由来は約2,000年の昔にさかのぼります。
垂仁天皇の皇女、倭姫命(やまとひめのみこと)が皇太神宮の鎮座地を求めて旅されている途次、阿坂山の悪神を都の来援を得て退治し、その時に「あな宇礼志(うれし)」と仰せられたという伝承故事によるという。
そしてここ瑞穂の国は、古来より水田こそ人々の命の母でもあった。
それは内宮の摂社である大土御祖神社や外宮境内の別宮、土宮の存在からもうかがい知ることができる。
現在でもこの嬉野には水田を意味する地名が数多く残されていて、田村、釜生田、八田、島田、野田、黒田、豊田、下庄新田、田村新田といった在所が存在する。
嬉野町史によれば須賀井について次のように記述されている。
中村川の字四反畑において井堰を設け、これより分水、川幅九尺の水路を通じ、中川の中程を貫流して西方寺の西において分派、本流は東流して須賀に入り、更に分かれて川北、権現前、須賀領、津屋城に水路を作る。支流は中川の東部を通過して大字野田に入る。水掛反別参百七拾町なり。本井堰の開起年代は定かでないが平安時代には既に、この井郷組は存在していたと言われている。

里山の保全について考える

現在の水田の整備は耕地整理という事業で始まったものです。昭和40年代後半のことでした。
この耕地整理技術を体系化し、その概念を打ち立てた人が、かの有名な上野英三郎氏なのでした。
上野先生は嬉野に隣接する久居市元町の出身で、郷里の誇りでもあるのです。
もっと具体的に言えば、かの有名な「忠犬ハチ公のご主人様」なのです。
次に先生の理論である「講義」の中身を少しだけご紹介しましょう。
例えば水田用水量を決定するにあたり、一筆の水田での「損失量」(消費水量)の構成要素を考察し、それが葉面蒸発量、水面と地面からの蒸発量、および地下への浸透量からなるとした上で、これら三つの水量の影響要因(気象・作物の繁茂・土質など)を検討するとともに実測値を示した。
こうして算出された「損失量」から「有用雨量」を差し引き、水路の漏水量を加えたものが供給するべき水田用水量ということになる。この上野氏の論点は理論的用水量ともいうべきものであり、区画の面積を論じる場合でも潰れ地、耕作の効率、灌漑、排水、土地の勾配、収穫作物、土質、栽培方法、習慣といった各要因ごとに区画面積をどれだけ制約し得るかを、ときに数式を適用したりしながら定量的に考察を重ねたものであった。
まさに私たちが稲作に専念し得る手立ての先導者的な存在であったことを忘れてはならない。
さて時代は移り、今、何が課題なのかと言うと、皆さんも既にお分かりのようにコンクリート製の用水路が問題なのだという点です。
北里大学の細川氏らの「ブロック表面の凹凸が小動物行動に及ぼす影響」なる論文によれば水路の多くは流量確保の観点からコンクリート構造で施行されてきており、ここが問題なのだと結論付けている。
例えば頭首工から取水された水の中では魚類をはじめ、多くの種の小動物たちが生息し、一つの生態系を構成しているが自然の河川とは異なり、人工構造の中では行動パターンが規制されることになる。
生息環境創造ブロック(仮称)などを設置し、一部分でも良いから生態系保存のための配慮をした空間を残す必要があるものと思われる。細川氏らはこの点に着目し、ブロック表面の凹凸の影響度について研究に取り組んでいる。凹凸の異なる水路製品を供試して、傾斜条件の違いなどで小動物の行動パターンを把握したのである。その結果、これまでの平滑表面ブロックでは這い上がりが困難であったものが、多孔質ブロックによりカエルやカニ、トカゲ、ヘビなど小動物も広範囲に行動できる機能を有していることを確認している。
もう一つの論文を見てみよう。
「土水路とコンクリート水路の水質浄化機能の比較試算」:白谷氏らの論文によれば水路の水質浄化機能は自浄係数で評価される場合が多いのだという。しかし水路内の物質反応はとても複雑で流入水質や水量などの条件の違いで水質の状態は変移する。そこで水路の自浄・自濁機能の可能性を定量的に把握することが重要と考え、水路内の水質変動を生態系モデルにより解析し、土水路とコンクリート水路との水質の違いについて試算を行ったのである。水路の勾配は地形や配置から許容最大流速および掃流流速を考慮して最も有利なものとする必要があった。その場合、水路断面は設計流速からマニングの平均流速公式を用いて計算している。
計算水路深は水辺へのアクセス性を考え、30センチとし、水質の検討は植物のプランクトン増殖、死滅分解などを考慮した生態系モデルを使っている。
その結果、非常に興味ある試験結果が得られている。水路の規模によって土水路とした場合には水質が浄化促進される場合や逆に汚濁が進行する場合が見られたのである。すなわち1/1000の水路勾配では流量が
6m3/sec以上の水路においては流量が小さいものではコンクリートよりも土水路の方が水質濃度は低くなり、小規模の水路については水路の勾配によらず、土水路とすることで水質汚濁傾向になることが示された。
つまり汚濁は水路が大きくて、水深が深く、水路勾配が大きいほど抑制され、浄化は水路が小さく、水深が深く、水路勾配が大きいほど減退することを示したという。
「ふわふわ〜む」のこどもエコクラブは魚たちの救済策を図ー16の集水枡や図ー20の幹線水路A型に的を絞るという結論を出しました。
この部分のコンクリート構造を改良し、生物生息空間の創出を考え出したのです。枡の底部分を深く掘り下げ、レキ石構造としての生物空間に変換しようという試みです。あるいは掘り抜き井戸の建設も必要となるかも知れません。要するに救済策の結論は自然の河川環境空間に存在し、かつ最も重要な環境とも言える「淵(ふち)の再現」ということなのです。

里山の保全の手法について考える
ここまで分析してきて次のステップは用水路の中の魚たちを救う実施への手立てを探し出すことにしましょう。
このたびの法改正で認定NPO法人に対して税の優遇制度が導入されることになりました。
この新しい「NPO支援税制」は10月1日に施行されるので、この内容を簡単にまとめてみましょう。
ミミズおじさんも「県議会議員と一緒にNPO支援税制を考える会」に参加をしてきました。
この認定を受けたNPOは、これまでに比べて個人や企業から寄付が集めやすくなるメリットが生じます。
また寄付をした寄付者側にとっても税制優遇措置が与えられるのです。
しかしながらこの新制度には問題点も多くあります。今までのNPOは所管庁からの認証に加えて、国からの認証を受けるための申請をしなければなりません。この申請書の中身に入って取り組んでみると認定要件が非常に細分化されていて、複雑でかつ実情を無視したものであるといえます。
「ふわふわ〜む」はNPO法人として認証を受けている団体でもありませんから個人や企業からの寄付金は考えられません。何か救済団体は存在しないのでしょうか?
ところで「ふるさとの自然を守る」ための助成金を支出する事業というものがあるようですよ。ヾ(*^。^*)ノ
ふるさとの自然を残し、後世に伝えるために「ふるさとの自然を守る地域活動支援事業」のメニューについて研究しました。
三重県自然環境課の自然共生グループや農業基盤整備課構造改善グループを訪れ、この水路の中の魚たちの救済策が本事業の助成対象となることも確認することが出来ました。自然環境課によれば、これは平成12年度からの新事業で、市町村の自治体が事業主体となることから市町村と三重県とで「ふるさとの自然を守る諸費」を負担していくものなのだそうです。
こうした心強い声援を得て、魚たちの救済策の夢は広がっていきました。
そこで次に訪ねたのは事業として打ち出される窓口となる「市町村の自治体」です。
嬉野町役場の組織では「まちづくり推進室」と「農林課」が直接の担当窓口になるそうです。
そして私たち、やまゆり会のメンバー5名が、事業主体者となる役場に、この提案趣旨を説明したのは支援事業の対象となり得ることを知ってから間もない9月26日のことでした。

この「用水路に生きるさかなたち」の項、今後につづく
              さあ、次回は柿やブドウの収穫祭! 10月14日(日)10時に図書館前に集まろう。

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