第69回目のご報告です

自然体験活動とは何か?

「学歴社会からの脱皮」「知識・詰込み教育から思考する教育へ」とか「画一的な教育から個性を重視する教育へ」といった流れに移行して行くべきだ、などといった声が聞かれてから久しくなります。
そうした流れが正しいのだということも理解されてきていますが、移行の方向に進んでいかないことの問題点はどこにあるのでしょう。

体験活動の実際と、その中から得られるものとは?

前段略。
今回は地球村、「スローフード・スローライフ」との合同開催版です。
さて、ふわふわ農園で各自が収穫した山野草(タラ芽、フキノトウ、ワサビ、セリ、ミツバ、ノビル、カラスノエンドウ、ネギボウズ、山椒芽、タンポポ、スカンポ、ツクシ等々)は午後からの部(安濃)で、テンプラの食材となり、みんなの胃袋に収まりました。
(いっぱいあったんだね)

自然界には驚くほど数多くの美味しい食材があふれています。日常では購入食品が中心の食生活だから、こうしたことに気がつかないだけなのでしょう。


タケノコ掘り体験をすることで、道具の扱い方を学んだり、タケノコそのものの見つけ方や上手に掘り上げる技術などが、実際に汗を流すことから身についていきます。
子供たちは自分で掘り上げた根元の不恰好なタケノコに対しても愛着を感じていることが一つ一つに名前を付けていることなどから分かります。
そして子供たちは大人たちの「今年のタケノコは不作だな。天候の影響もあって・・。」といった会話から自然の営みがなんたるかを感じ取っていきます。

中略。一匹のヨシノボリを見つけたことがきっかけで、一人が水に浸かりました。
深みがあったり、不安定な大きな玉石があったりして、危険がいっぱいです。
でも、夢中という誘惑には負けてしまうのでしょう。大人たちの目からすると、「危ないからやめなさい!」と言われる行為も、ここでは別で、何か特別な世界に変わったのでしょう。子供たちが「親は一緒についてきてほしくない。」と言っている理由が分かるような気持ちが分からないでもないのです。

川の中の非日常的な刺激に誘惑されて、一人が二人になり、膝元までずぶぬれになる子供たち。「ええい、入っちゃえ。」という子は、すぐに複数になりました。一人の女の子は靴下を脱いで入ることを決めた様子です。

遠目から見ている私のほうも、段々とエキサイトしてくる子供たちの行動を見ていると、なんだか
、不安になってきました。
でも、ここはドッシリと構えて、ニコニコとしていなければなりません。
野外行動に関してインフォームドコンセントによる自己責任(
注1)があります。
この場面で、「気をつけろよ。危ないんだからな。」なあんてことは一切ご法度の禁句なのですから。そうなのです。ここが遊ばせ人のプロたる所以です。

そのような中、他のグループもやってきました。
ラブラドール・リトリーバのような白いワンちゃんと、パグ犬も一緒です。みんなの目線が、この二匹のワンちゃんの行動へと注がれていきました。
子どもたちは両側が切り立った断崖絶壁の環境の真っ只中にいて、ひざまで浸かりながらここまで渡ってきたのでした。
はたして、この淵のある難所を二匹のワンちゃんはどのように克服するのか?
私ならずともみんなが注目するのは当然のことでしょう。

ラブラドール・リトリーバは人を喜ばせることが大好きな献身的な性格を持った犬です。粘り強くて、温和で、利口、優しくて知的です。
紀州犬はデカイ頭と筋肉質の体、古くは猪猟用でしたが、性格が明るく、丈夫なため今や家庭犬としてかわいがられています。白い犬の名前は「クー」君でした。
まず難所に挑戦するのは、その「クー君」です。両サイドの岩は角度が70度ほどに切り立っていて、途中のどこにも足場になりそうな「かかり」がないのです。行きつ戻りつしていたクー君は、子供たちの二度目の「さあ、おいでっ!」という掛け声に勇気をもらったのか、急な崖をめがけて突進します。はずみをつけてからよじ登るような格好で、そして後ろ足でキックしました。
すごい離れ業を披露してくれました。周りから一斉に拍手が沸きました。
その方法は最年長のA君がとった考え方と同じものでした。

そして続くのはパグ犬の「ボス」です。
パグ犬はドングリ目のずっくりむっくり、愛嬌があって愉快で朗らか、そしてとても辛抱強いのです。
前に進んでは川の水に鼻を近づけ、そして後ろづさりします。何度も進んでは戻るといった行動をしていましたが、6回目には大きく後ろ戻りをして「グフウ」と吠えました。
そしてみんなから「やっぱ、あきらめたんやなあ。」と烙印を押されてしまいました。
少ししたら子供たちから「さあ、おいでっ!!」と掛け声がかかります。
今度は、やや命令調でした。こうして、二匹のワンちゃんたちは全身ずぶぬれとなって、みんなから賞賛の声をもらうことができました。

靴を濡らしてなかった最後、6人目のA君も冒険と川の誘惑には適わなかったようで、この時にはひざまで浸かってしまっていました。A君は「はだしのままだと、足を切るから靴を履いて入るんだ。」などと、全体を仕切っていた一番年長の子なのでした。

自然体験活動を実施するものは誰なのか?

昨年度には「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」という少々長い名前の法律ができました。
その三条(基本理念)には、「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び教育は、森林、田畑、河川等における自然体験活動を通じて環境の保全についての理解と関心を深めることの重要性を踏まえ、地域住民等の参加と協力を得るよう努めるとともに、透明性を確保しながら継続的に行われるものとする。」とあります。
このことは、環境啓発のために民間の団体等により、実施されているものであって、地域住民側としては、それに参加する、しないは自由であり、多忙なスケジュールを犠牲にしてまで積極的に参加するべきだとまでは考えなくても良いとも受け止められそうです。ところが、そういうもので解釈されるものではないのです。第四条を見てみましょう。

第四条(国民の責務)では、「国民は、前条の基本理念にのっとり、環境保全活動及び環境教育を自ら進んで行うよう努めるとともに、これらの取り組みを行うことにより・・・。」と書かれています。

つまり、自然体験活動は、国民一人ひとりに課せられている責務なのです。

注1:予め危険や注意点をしっかりと伝え、事故が起きたときは責任は自分がとるという方針を徹底すること。
   「ふわふわ〜む」では、こうした考えから年間を通じた傷害保険に自費で加入している任意団体です。


みんなそろってハイ、ポーズ

 
 
    

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