| 今回は、「私たちと自然との関係」について考えて見たいと思います。 観察会の本質とは? 観察会の意義とは? の追求編、さあ、さっそく始めましょう。 ☆日時・場所: 12月17日(日)松阪市嬉野須賀町(エコパーク=ふわふわ農園内) ☆内容: 一年の終わりを自然であ・そ・ぼ。 つるかごつくり。 ビオトープ問題(宿題): 昨年のことです。 絶滅から35年、ついに再起をかけ、コウノトリがコウノトリ郷(さと)公園内の人工繁殖飼育園から野外へと放鳥されました。 そして、9羽の放鳥後、その中から営巣活動が始まったことで、みんなの期待が高まりました。しかし、9ヶ月経ったころ、すべてのコウノトリが元の人工繁殖飼育園に戻ってしまったのでした。なぜでしょう。 その考えられる要因の中から、四つだけあげて、それぞれについてあなたの考えを説明してください。 コウノトリの営巣(巣の直径は2m)宿題の解答例: コウノトリは、2mにもなる大きなツルのような鳥です。 くちばしの色は黒く、タンチョウヅルのように頭が赤色にはなっていません。 カエルやバッタ、ドジョウなどを食べる肉食性で、極東を中心に分布しています。昔は、日本の各地で見られていましたが、年々、その数が少なくなって、明治33年に禁猟とされたり、大正10年には生息地の兵庫県豊岡盆地の生息地を天然記念物に指定、昭和28年には「種」の指定となりました。 こうしたことでコウノトリは、その数を戻していきましたが、第2次世界大戦ごろから再び羽数を減らし、ついに昭和46年には野性のものがいなくなってしまったのでした。 その絶滅する6年前に、人工飼育(コウノトリ保護増殖センター)という最後の手段が試みられていて、そのおかげでコウノトリは再び飼育個体数を増やしていくことができました。 そして、9羽のコウノトリに夢を託した「放鳥計画」がついに実現されたのでした。 嬉野にもコウノトリが飛んでいた!? わたし、ミミズおじさんが聞いたお話です。この話は以前にもしたことがありますが、少しだけお聞きください。幸せを運んできてくれると言われるコウノトリが嬉野、まさにこの目の前に飛んでいたというお話です。 ミミズおじさんが君たちと同じ年令の小学生の時に、私のおじいさんは地元に伝わる「ツルの恩返し」という話を聞かせてくれました。積善寺の境内には大きな松の木があり、その一番上にツルが巣をつくったのだそうです。おじいさんは、この話をそのまたおじいさんから聞いた話だということからいつの時代かがおおよそ見当がつけられます。50年前に聞いたこと、祖父の年令が70歳くらい、そのまた祖父の年令が70とすると、50+60×2で、およそ200年以上も前になるでしょうか。 さて、ここでツルの足は4本です。4本のうちの1本は短くて、水中や湿原での生活に適応していて木につかまることはできないのです。そうすると、おじいさんの話の主人公はツル(タンチョウヅル)ではなく、コウノトリのことであるのでしょう。実際、コウノトリは日本の各地で見られていたのです。 放鳥計画がうまくいかなかった理由について 1.農業環境との共生 最大の理由は、生息地環境の悪化が考えられます。たとえ、特別天然記念物として、法として指定されても、減少していった理由がそれです。第2次世界大戦で、激減し、戦後、農地の乾田化、農薬や化学肥料などの多用で水銀中毒を起こしたり、魚や昆虫などが少なくなったり、えさ場が確保できなくなったりしたことが滅びた理由です。最期の地、豊岡盆地という独特な地形、湿性地帯に問題を解く鍵があるはずです。コウノトリの主食にカエルがありますが、カエルも激減しています。オゾン層の破壊によって有害紫外線が卵に悪影響を与えていてからです。農業環境だけでなく、安定したエサ量が供給されるような広大なヨシ原やワンド等も必要であり、清浄な地にしか住めないことから、地域全体を含めた豊かなる生態系としてとらえられることが大切なのです。 生態系の頂点に位置するコウノトリは、カエルを食べ、そのカエルは虫を食べます。そして虫は何を食べているかというと、草を食べています。コウノトリの生息環境内で一斉に草刈がされてしまうと、この生態系は崩壊してしまいます。このように考えていくと、かっての農業環境のような地域ぐるみでのビオトープ空間環境の創造が必要となります。しかし、このビオトープ空間環境を創造するということは、とても範囲が広くて、そして現代の資本主義社会ではとても困難なのが実状です。WTO農業交渉を背景に、国際化への対応にせかされて昨年の3月には「新たな食料・農業・農村基本計画」が閣議決定されましたが、その内容は所得政策へと転換されていて、より一層の集約化が促進されることでしょう。田園自然再生活動のため、地域の理解を得るための楽しい仕掛け作りも必要です。営農とのバランスやそのための経営マネジメントを研究することも必要でしょう。地域の生き物を守る取組みとして地域固有種の保全と外来生物への対策もとても重要なのです。そして地球規模的に進行している温暖化、オゾン層破壊、砂漠の拡大化、土壌流出、森林の後退、有害化学物質の蓄積、エネルギーの枯渇、水の喪失等などの環境破壊をくいとめ、あるいは復元する活動を推進することが急務なのです。最近では昔からの農法、不耕起で稲の持っている自然の力を生かす農法、冬季には水田に水を張って、生き物たちの住処を作り、育てていく農法等が求められています。そしてゼロ・エミッションの追求を目指すべきなのですが、現状はとてもきびしいものがあります。資源問題一つをとっても日本のエネルギー事情は自給率が4%しかありません。食料もカロリーベースで40%をきっています。こうしたグローバルな視点で取り組むことが必要なのです。生態系は動植物とそれ以外の生き物、またその周りの無機的な環境とが密接につながることから成り立っていて、相互作用、生物相といったつながりが健全であれば生態系は豊かと言えます。ですから、地域内でのエサ場を含めた定期的なモリタリングをする必要があるのです。このことから地域ぐるみ、日本中、いや世界中の人たちの理解と取組みが必要となることが理解できます。 2.繁殖地での保護 コウノトリの最大繁殖地は、ソ連のアムール川流域です。そうした極東から中継極東の韓国・中国を経て日本に渡ってくる絶対数が世界規模の環境悪化で減少したことが理由です。限られた血縁関係の間で生まれた子は、非血縁個体の間で生まれた子に比べると生存力が劣ることは「近交弱勢」と言われ、これは日本の個体だけで種の保存を持続させることの困難性を表わしています。極東からの渡りがなければ絶滅への危険性がとても高くなるのです。 3.種の多様性の確保 極東のみで生息しているコウノトリは、上記2の理由で、その絶対数が減っていき、本種(亜種)の個体数が少なくなることで、近交弱勢から体質的に病気にかかりやすくなったりして、やがて種は絶滅してしまいます。種の維持のためには、多様な血統が不可欠なのです。繁殖の前提となるペアリングにいたるには、とてもデリケートで、ペアリングが成立する自然条件にはたくさんの成鳥の存在が欠かせないのです。そして、このことはエサ場での種の多様性の確保にも同じことが言えます。異なった遺伝子要素を持つ集団は、群れとしての安定性を持っていますが、群数の少ない遺伝子変移の乏しい集団は、新しい環境変化にうまく適応できません。一度失われた遺伝子の多様性は、個体数が増加してもすぐに回復せず、病気の発生や繁殖率の低下などで種が絶滅しやすくなります。遺伝的に似た個体集団では近交弱勢により集団全体として衰退していく(ボルテックス効果)のです。 池や小川といった田園環境へドジョウやフナなどの魚類を始めとするエサを放流することで、エサ供給の持続が図られますが、この条件には最初に「健全なる田園環境」が絶対条件なのです。飼育管理下で遺伝的多様性を最も減少させる近親交配があります。ネズミのように近交が伴っても生存率が下がらない動物もいますが、魚類の場合は近交弱勢がよく見られ、飼育下での大きな問題点なのです。メダカ等で、他地域に生存している種をむやみに導入することは、本来、その地域に持っている個体遺伝子を撹乱させる行為であり、他域の魚類の移入は行ってはいけないといった議論がありますが、そうすると限られた水系で、限られた種の再生は全く考えられなくなってしまいます。 放鳥されたような限られた地域での放流は、エサ場環境においても(植物界や昆虫界を含む)近交弱勢によって「自然繁殖率の低下」を惹起しているのです。 また、適応放散についても視野に入れておく必要があります。長い歴史、永続性ということから考えると、一つの種の個体群を作ってる個体は、同一ではなく、その形質にはバラツキがあります。そしてこのバラツキは遺伝します。遺伝をすることで長期的にみた、その地域変化であるとか、湿度変化であるとかに応じて、その状況変化に適した生物だけが適応し、進化していくのです。そして生態系を法体系整備の元に温存させる施策が欠かせません。コウノトリの主食であるカエルにカエル・ツボカビ病がわが国でも確認されました。世界各地で両生類を通じて壊滅的打撃に追いやってきたこうした病気の検疫体制を一刻も早く構築させるなどの対応も欠かせないのです。 4.巣作り環境の整備 戦争をしている時代には、赤松を伐採して「松根油」が精製されました。コウノトリが営巣するための高木の赤松は切り倒されてしまい、繁殖活動が困難になりました。しかたなく電柱で巣作りを始めますが、こうした場所では素材も少なくて効率も悪いです。コウノトリの成鳥の重さは5kgほどですから、つがいでは10キロほどで、巣の大きさも直径が2m近くにもなるので、それだけ大きな木と丈夫な素材がたくさん必要になります。人工巣から卵が落ちたりした要因の一つに巣の欠陥も考えられます。そして、十分な素材があることで、丈夫な巣を作ることが可能です。自然の素材である枯れ枝や落ち葉の存在は、コウノトリのメンタル面までも大きく影響しているのです。 5.自粛活動 人的な行為による過干渉は、コウノトリに多大な影響を及ぼしていると考えられます。あるいは、野生復帰への道を人間活動が妨げているという可能性も考えられます。カメラ撮影や追っかけ、あるいは無意味な過保護は慎まなければなりません。コウノトリが人を恐がったり、警戒して巣から離れてしまうとカラスが巣を荒しにやってきたりします。巣を壊したり、卵を食べてしまったり、卵を巣から落としてしまったりしてしまうかも知れません。ハシボソガラスは、本来は森林に住むカラスなのですが、森林にカラスの食べるものが少なくなってきたことで、最近ではこうした被害に合う鳥が増えてきています。ハシブトガラスも人間の生活スタイルの変化で、最近は増えてきています。こうした被害は、人間の行為が原因で、一人ひとりの行動認識が求められています。 6.野生本能 托卵中の卵やヒナへのカラスによる攻撃があげられます。上記5のヒトの興味本位による追っかけや、ヒトが近づくことで親鳥が驚いたり、警戒して巣から離れたすきにカラスに襲われてしまいます。そうなると親鳥は托卵を放棄してしまいます。コウノトリは野生の場合、3月ごろに交尾をして、10日ほどで産卵することが分かっています。そして1日置きに1個ずつ全部で5個ほど産みます。その卵は三個目あたりから本格的な抱卵を始めます。そして1ヶ月経ったころ、孵化します。それらの途中で、1時間も巣を離れてしまうと有精卵であっても卵の中の生命は絶たれてしまいます。抱卵を放棄する背景には、人工飼育という過保護の生活により、ペアーが十分に野生化していないことが考えられ、人工飼育の段階からコウノトリの本能を刺激する工夫が必要と考えられます。もともと野生で備わっていた本能は、長い人間の飼育下で4半世紀を経た今では、野生の持つ行動特性を失いかけていると考えられる。野生動物には、種により、その行動範囲も異なります。生活を営んでいくための必要な範囲です。サシバの行動圏は150ha、オオタカは1,000ha、イヌワシの行動圏はとても広い地域を必要としていて、6,000ha以上が必要なのです。ですから、限られた空間での飼育という、人が自然に反した行いは、自然の営みに返してやらないといけないのかも知れません。それは動物が持っている野生の本能を尊重する行為だと言えるでしょう。 次回はシイタケの種菌打ちを計画中です。 |
| 今日のお話は、これで終わりますが、私たちが考え、そして取り組んでいかなければならない問題は、この他にも沢山あります。みなさんも自分でこのことをよく考えてください。 ミミズおじさんは、庭でミミズをかっています。家で出てくる生ゴミをぜんぶ食べてくれるからです。よく「虫がわくからいやだ。」とか、「手間がかかる。」とか、「埋める場所や飼育の容器が必要だ。」ってことで、めんどうだ、って言われますが、皆さんの方法は家庭で出る燃えるゴミとして出すという方法だと思います。 それでは比較して比べてきましょう。どちらの方法が正しいと思いましたか? 燃えるゴミとして出す方法の悪い点は 1.生ゴミを燃やすことで、ダイオキシンが発生する。 2.燃やすことは、油などを大量に使ってしまう。 3.燃やすときには、空気や水を汚してしまう。 4.生ゴミを燃やすための施設費が必要になる。 これをミミズおじさんの方法と比べてください。 ミミズおじさんの悪い点は 1.ミズアブという虫がわくからいやだ。 2.手間がかかる。でも、ミミズさんが元気に働いてくれるように少しだけ気をつけるだけです。 3.ミミズさんを買うための箱が必要。 さあ、今日の自然観察会で、どちらが地球環境を大切にしてることになるのか、みんなはよくわかっていると思います。みなさんは、コウノトリたちを守ってやる方法として、生ゴミをどのような方法で出すのが良い方法だと思いましたか? 答え: ミミズおじさんのミミズに生ゴミを食べてもらう方法。 |