| 嬉野自然観察会の活動記録 第4回 1999.11.13 |
| この観察会の目的の一つは生き物の真の生き様を在りのままに見ていこうとすることにあります。 そして人権といった狭義の概念を超越した生物権、昆虫権といった新しい概念について、生き物たちのつながりをフィールドで観察することにあるのです。 |
| まず定点観測場所である図書館西の雑木林で、ジョロウグモのメスを観察。 先月よりも一回りほど大きい。そして真っ赤に婚姻色をしたメス(体長40mmの大きさは珍しい)のお腹に大発見があったのです! |
| 何と今までの観察ではメスの後部にいた(食べられる怖れがある)オス(体長10mm)が大人の小指頭ほども大きく膨らんだお腹の真中にチョコンと乗っかっていたのだ。胴体だけなら米粒程度のものがくっついている様子は滑稽というより、むしろ哀れささえ感じられます。 |
| ここで皆さんにぜひ読んで頂きたい超お薦めの本があります。 それは『庭にきた虫』いのちのドラマを親子でみる佐藤信治著・農文協です。 P127〜150のうち149ページに交尾の様子が写真に紹介されています。 |
| さて観察を続けるうちに、以前にはあれほど多くいたジョロウグモが極端に減少していることが気になりました。 仮説要因として @鳥類の餌として捕食された A人的な踏み荒らし Bクモ自身がエサを捕れなかった等の衰弱死 C共食い Dすでに産卵を終えての自然死など が考えられるが、重要なことは今後の観察で答を見出すということよりも、むしろ数多く、観察をし続けるという行為そのものが大切なのだと認識しました。 |
| 神社につづく経路の途中で、芝生の中にある小さな黒い盛り上がり部を見つける。これが「生きた教材」なのだ。かの有名なチャールス・ダーウインは地球上で最大の貢献者はミミズだと断定しています。 しかしこの教材は観察を始めて間もなく消滅してしまいました。グスン。 子供による踏みつけでした。「こんなもの、えい!」という行為は何を表現しているのでしょうか? この時「生き物の大切な権利」について、分かりやすい学習の場が必要なのだということを今更のように感じたのではありますが・・・ |
| 神社に入って直ぐにモグラ塚を多数発見しました。 モグラは優れた鼻(アイマー器官という臭いを嗅ぎ分けるもの)の持ち主で、1日に体重の何倍もの食事を摂らないことには生活が維持できない哺乳動物なのです。自分専用の通路から毎日、エサ場まで300メートルもの距離を往復します。 トイレやキッチンだってあるし、エサが少なくなる冬に備えて、ミミズを仮死状態にかじってから保存食にしたりしているんだよ。 |
| さて、前回には宮参りでの清め作法の一つ「柄杓の正しい扱い方」などを学習しましたが、みなさん覚えていますか? 「二礼、二拍、一礼」をみんなでそろってした後、伊勢平野が見渡せる田園風景のフィールドに出ました。 この辺り一帯は、私の幼少の思い出がいっぱいつまっている場所なんです。 40年前の川遊びでは、ウナギやカムルチー、ナマズ、フナ、タナゴなどがどれだけでも釣れたものだったんだよ。 水田が広がるこの川で洗濯だってしていたんだよ。でもしかし今では、その面影などどこにもなく、淋しい用水路だけだよね。グスン。 |
| その用水路の枡の中に多数の魚類を見つけました。 多分、ハヤやハエ類の種であろうと思われますが、今後、この魚たちの運命はどうなるのだろうかとみんなで考えてみました。何処から来たのだろうとも考えます。 水のなくなる、あるいは寒さの冬季に備えて泥の中に潜りたいのでしょうけど、コンクリートに囲まれた環境は魚たちにとって、もはや地獄でしかないのでしょう。 また前回にたくさん魚類が見られた別の集水枡は農地再改善事業とかで、無残にも消滅してしまっていました。グスン。 |
| さて出発時のビンゴゲーム(ネイチャーゲーム)の課題は、この時点で早くも3分の1ほどがクリアされていました。スゴイ。 今日のメイン会場である有機農園の中に、学習のテーマの大半を予想していたのだけれど、これは嬉しい誤算でした。 (注:ビンゴゲームの一例を下図に示します。) |
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| タンポポの花、オオバコの葉っぱ、ジョロウグモのオス、虫食いの葉っぱ、服にくっつく実、ゴミ、臭い葉っぱ、キクの花、黄色の葉っぱ がみんなの観察力で見つかっています。 残りはオータムポエム、テントウムシ、秋アカネ、桑の木、ミミズ、サトイモ、イチジクの実(品種はホワイトゼノア)、ダイコン、ホウレンソウ、虫の蛹(さなぎ)、トマト(品種はサマーキッズ)、ハヤトウリの観察がメインです。ガンバッテ。 難問は設定していない(はず)のですが、決め手は観察をするという方法を身につけているかどうか、という単純なことでしか有り得ないのでは?ナンテ思っているのですが・・・。 この単純なことが身についていないからこそ、自然観察を行わなければいけないということなのではないでしょうか。シランプイ。 |
| さて有機農法実験地でのシーンを再現してみることにすると 「このイチジクはアドレアチックという名札よ」「黄色で小さいけれど、とっても甘いわよ」「こっちのは紫色で小さいけど乾燥させて保存食にするのだって」「前にタモですくった時には小さい(2mmほど)ザリガニだったけど、もうこんなに大きくなっているよ(2cm)」「ハヤト瓜がものすごく沢山、実っているけど基は1株だけなんだって」 「驚いた」「ビックリ仰天」「この畑は土が肥えているのだね」「大きなミミズ(20p)が飛び出してくるのだって」『ここには色々な果物が植えてあるよ。柿、桃、柚子、蜜柑、葡萄、蒟蒻、栗、胡桃、さくらんぼ、梨・・。アケビもあります。』 |
| 『これらの植物は全てが無農薬で育っています。 化学肥料も使っていません。 雑草やモウソウダケが進入してきますが除草剤は使いません。 色々な種類の樹種を植栽する事で多様な生き物が棲めるような空間を造ろうとしています。ビンゴゲームの中に秋アカネがありますが、見つけられましたか。 これは「見つけた!」という人が誤りです。』 |
| 秋アカネと夏アカネとを区別する方法は、実際に捕まえて見てもらうことが何よりも大切なことなのです。秋アカネは胸にある黒い筋模様が3本とも最後まで途中で途切れることがないように細くなっていくのが特徴とされているのです。 |
| 有機農法実顕地にて |
| 『それでは説明したように野菜の収穫祭を始めます。 野菜の種類は、ここに来るまでの間に他の場所の畑に植えてあるものを見て、ずいぶん学習をしましたね。 ここには今までのものとは違った大根で、表の色は緑色(通常は白色)で、中を割ってみると赤色が混じっているのがあります。 他に紅ダイコンという表の色が真っ赤なものもあります。』 |
| お母さんとサトイモを掘っていると、土の中から色々な生き物が出てきます。 いわゆる土壌分解者と呼ばれているものたちなのです。 彼ら(彼女)が地球を支えている裏方の生物たちなのです。 子ども達はすぐに餌を確保して、魚釣りに興じています。 「わ〜い! 釣れた釣れた。」「浮きが沈んだら竿をあげるんだよな。」「ねえ、早く交代してよ」と大騒ぎだ。これが生きた学習なのだと思っています。 |
| 「これはカブトムシの幼虫じゃない?」「これはクワガタの幼虫みたい」「またミミズが出てきたわよ。この土にはいっぱい虫がいるわよ。」とお母さんも大騒ぎ。 |
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| 先日、安濃町にある国立野菜茶業試験場に行って来た時の説明は意外でした。 私は 『この参考図書(日本肥料学会編)によると、有機肥料による栽培実験で、植物性の肥料と動物質から作った動物性の有機肥料とで比較してみると、どちらにおいても収穫量に差が認められなかった、とある。また有機肥料と化学肥料とで収穫量の差を比較してみても差が認められなかった、とある。それでは有機肥料の利点はどのように説明されるのですか?』と尋ねてみたのだ。その研究員は「ここでは大量に、効率よく野菜を収穫することの研究をしている」と答えるだけで、『それでは収穫した野菜の栄養成分的な比較のデータはどのようになるのですか?』との問いかけには答えてはくれませんでした。私たちが一番先に知りたいことだったんだけど・・・。グスン。 |
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| もし許されるなら今後、神社境内の土壌分析をして土壌内に生息している分解者達をみんなで調べたいと思っています。 そして周りの一般的な野菜生産農家の畑内での土と比較してみたいのです。 ここに栽培されている大根、この葉っぱにはアブラムシがいっぱいいました。 でも、1ヶ月後の今日では、あまり見かけていません。どうしてでしょう? テントウムシはあちらこちらで見られます。その蛹も相当の数が見られます。 そうです。2週間前には沢山のテントウムシの幼虫がいたのです。 3週間前に沢山いたのはアブラムシだったのです。 観察の継続は実に面白い。 |