嬉野自然観察会の活動記録  第5回 1999.12.11

                                 人権ポスターから考える

 大切にしたい  一人ひとりの  命の尊さ
                                 鈴鹿市の小学生の作品

ここで「ひとり」を「草」におきかえて考えてみよう

 大切にしたい   草ぐさの   命の尊さ
 
命の尊さって、人間だけじゃあないんだよな。すべての生き物に命の尊さはあるんだよね。
草は役に立たないから引っこ抜いてしまおうなんて、人間だけの思い上がった考え方だよね。
どんな草だって立派な名前を持っているし、色々な大切な役割も与えられているんだよね。


   誰にもの価値を決める権利はない。
         だから、差別は許されない

                       多度町の中学生の作品

今度は「人」を「虫」におきかえて考えてみよう

 誰にもの価値を決める権利はない。
         だから、差別は許されない


たとえ毒を持っている虫にだって。生きていく権利をもっているんだよね。
誰にも虫を殺してかまわないという権利なんてないんだよね。
生きている仲間はみんな同じなんだ。雑草だって、虫さんだってきっと地球上での役割が与えられているんだよな。


民主的で平和な社会をつくるためには、あらゆる差別を撤廃し、すべての人々の人権が尊重されることが必要かつ不可欠である。よって、本県議会は「人権県宣言」を行い、あらゆる差別をなくし、すべての県民の人権が保障される明るく住みよい地域社会の実現を期する。
以上決議する。
             1990年3月23日 三重県議会
                     

今日は朝から寒そうな風が吹いている。この天気では参加者は少ないのかな?
10時前に図書館に行くと何か寂しそうな予感。そこへ自転車で小学生の生徒がやってきた。
「こないだは、学校の総合学習にきていただいて、ありがとうございました。今日はみんな山ノ神があるんで来られません。次には参加します。」とハキハキ。どうやら連絡に来てくれたようだ。
「今日は1月に予定している大会の練習をしようと思っている。凧揚げや竹とんぼ、こま回しだ。
じゃあ、練習しておくといいよ。」と私。
実は先日の7日に、母校である豊田小学校の5年生を対象に、「ゆとりの時間」で自然観察会を実施したのでした。そういうことで本日の参加者は大人の3名です。
まず第1に西方の雑木林の縁の観察だ。
自然を観るという事はモノと物とのつながりを観るのだから、この場所で定点観測をするのはとても面白い。そして季節の移り変りに対しての変化も。

さてジョロウグモはどうなったかな。前回の数に比べてずいぶんと減っている。
もう数匹程度といってもよい数しか残っていない。興味のある点はお腹が太っていないことだ。

動きも極端に鈍い。先月に見た、あの大きなジョロウグモは無事に産卵を終えたのだろうか、辺りに見当たらない。代わりに枯葉が数枚ほど破れた巣にくっついていて寂しそうだ。
グスン。
主がいない巣には枯葉がくっついていて、生き残っているクモの巣には何も着いていない。 ということは「掃除をしていたんだ!」と分かったのです。
ここで、この周辺で過去の歴史が分かったことは
周辺の自然観察会で分かったこと
@ 2〜3年程前までは現在の駐車場を含めた範囲で雑木林が続いていたこと。
A 現在、残っている林の縁に沿って所有者が異なっていて、東方部分が伐採され、その後に台風の被害を受けていること。
B 現在、残っている林の部分は以前に誰かの宅地であった可能性があること。
@ の理由としてはパイオニア植物の代表であるアカメガシワの存在です。
観察すると林の縁に沿ってだけ2〜3年生の幼木がビッシリ。
この植物は人的に切り開かれ、明るくなった環境を感じ取っていっせいに芽生えてきたのでした。
A の理由として林の縁に沿ってヒノキの木が一列に並んで残っているからです。
これはおそらく筆の境界線を残しておくための木なのでしょう。
そして一遍に強風のとおる環境に置かれたために西方に傾いているものが観られます。
枝も一部が折れています。
B の理由としては林の奥のほうを覗いてみると斑入りのアオキや朝鮮ナンテンなどの庭木の樹種が見られる点です。(これは鳥の運搬かも分かりませんが。)
実はこの雑木林は延長が130メートル程あって、植生樹種分布調査を終えております。
この11月30日に(財)三重県環境保全事業団の中にある「緑のNPO活動支援センター」の川北さんにお願いして全体の調査をしてもらったのです。

アオダモ、ミミズバイ(伊勢平野を特徴付ける木)、サクラバハンノキ、タブノキ(極相林)
その他コナラ(里山の代表樹)、ナラカズラ(特異樹種)・・
ざっと100種を超える樹種がビッシリと育っていたのでした。
次ぎに行ったのは「ふるさと館」です。図書館の南隣にあります。

全国的な、このニュースの実物を見逃す訳には行かないでしょう。
実にタイムリーな企画です。
「日本最古の墨で書かれた土器」の発見!
それは2世紀後半の世界からの使者でした。それは貝蔵遺跡からの出土でした。
それは近鉄中川駅周辺区画整理事業の発掘調査からの出土でした。
それは私のタブ(太武)、犬の散歩コースからの出土でした。
それでは嬉野町教育委員会の和気学芸員さんにご案内をいただくことにしましょう。
「今回確認された墨書土器は、残存高18センチ、胴部最大径17.8センチ、口縁径が14センチの土器です。注目の墨書文字は、胴部最大径よりやや上部(低部から9センチ)に左右1.5センチ、上下1.5センチで墨書されております。文字部は最下段の線がやや膨らむことや、2画目右端が丸みを帯びることなどから、隷書体の「田」の字に酷似しています。・・・」と続きます。
すでに当地の方はご承知のように嬉野町は古くから栄えていて古墳の町でもあります。先日のこの「ふるさと館」「かって嬉野は海であった」というシンポジウムも開かれたりして、「港、航路の町か?」と古代ブームに沸き返っているのです。

これまでに見つかっているものは
「三角縁神獣鏡」、「巨大なシビ」、「全国からの土器」、「石器・鉄器・勾玉・土偶」など等と多彩です。

この貝蔵遺跡や片部遺跡からは灌漑水路?の存在を示す木造構造物も出ているのが特徴だそうです。何とこの柵は板状に加工がなされており、この近辺には匠の里や一大交流の場が形成されていたことは間違いなさそうだということです。
次ぎに向かったのは大自然農場実顕地です。今日は車で移動となりました。
6月に挿し木したミニトマトなどがまだ食べられます。
イチジクは気温の低下で葉を落としています。
以前に大好評であった黄色いイチジク=アドリアチックの乾燥果実をみんなで試食しましたが好評です。
「噛んでいると口の中で段々と甘味が出てくるワ」、「自然の甘味よね」、「おいしい!」とペチャクチャ。次ぎに大根の試食会です。まず中央部を十得ナイフで皿にゴリゴリと盛り付けます。
「シャリシャリとした歯ごたえと甘味も十分」
「おやつになりそう」次は先の部分(一番下部)の試食をするとこれも十分甘い。
この品種は
「耐病総太宮重大根」です。
「これらの青首大根は上の緑の部分がおいしいらしいから試食しよう」ということで同様にゴリゴリ。
しかし美味しいと思っていた緑に近い部分は歯ごたえも、甘味もイマイチでした。

「それじゃ、2年ほど前から一人生えしている時無し大根を試食してみましょう」ということで同様にゴリゴリ。
「ウン、これは思ったよりもシャリシャリしていて辛味もないよ」とワイワイ。

ところが少し後になって辛味は出てきましたので報告しておきます。
そして何よりも大切な土造りに観察を移します。畑全般を見渡して黒くて、光って見えれば陰の功労者のミミズ様の働きによるものなのです。
土の表面を観察すると粒状の細かい固まった土となって覆っているのが分かりますが、これらの一部分はミミズの糞であり、一部分はミミズが土中をくぐりながら粘着様の物質で団粒化させた土でもあるのです。
スコップで少し掘りあげて、土の中の様子も観てみましょう。掘りあげた土を見ると孔があいていて、向こう側に貫通しているのが分かりますね。これが通気を良くしたり、有効な肥料分を野菜に提供しているのです。
いわゆる理想的な
三相(気相・固相・液相)分布の土だというわけです。
ミミズに関する書籍はいろいろとありますからぜひ読んで見て下さい。雑草も大切な役割をしているのです。
「有機農法−自然循環とよみがえる生命−」という本に書いてあるのですが、ミミズは偉大な耕作者と称するべきで、岩の破片も消化液で分解するのです。

害虫の幼虫も駆除してくれます。
ミミズのフンに含まれる肥料分通常の土と比較して窒素が5倍、リンは7倍、カリは11倍、マグネシウムは3倍といったように非常に優れた肥料分を持つように改善されているのです。
土を中和させるために石灰を撒いたりしますが、そのようなことをすると土は病気になりやすくなっていくだけです。

進化論で有名な
チャールス・ダーウイン「腐葉土とミミズ」といった本も書いていますから、ぜひ読んで見て下さい。」と解説します。
次に上の畑に行ってミカンの試食です。「この品種は植えてから3年目です。
清見という品種です。」「味が濃厚だぞ。」「ネーブルと温州との交配かな?」

そしてあの最早、
怪獣と化したハヤトウリのところに行きますと枯草の中からカボチャが出てきました。「これこれ!このカボチャを食べてみてください。
病気や害虫の被害に強くて無農薬少肥栽培が可能な品種で、正月まで腐らずに美味しく食べられるのです。何よりも含有栄養分がすごいのです。
この種は(財)自然農法国際開発センターから分けてもらったものです」


こうして有機無農薬野菜の現地収穫祭はにぎやかなうちに行われていきました。
それでは参考に「かちわりカボチャ」の超省力栽培法をご紹介しておきましょう。

先ず無肥料で育てることです。蚯蚓(みみず)様の優良な肥料で充分です。
化学肥料はアブラムシを呼び、ツルボケの原因になるだけです。
カチワリの種子を所々に種が隠れる程度に埋めて、十分に踏みつけておきます。

ハイ出来あがりました。本日の、いや収穫するまでの間、もう何もする必要はありません。
もし少しだけでも、おせっかいをしたいなと思われる方は、苗が育って行く過程の間において苗の周囲の草が
「カチワリ」を被覆してしまいそうな場合にだけ、その行為は許されるでしょう。

苗の基礎的生育期間の間だけなら、周囲の草の刈り取り作業だけを行ってください。
刈り取った草は勿論、外に出さずに元の生えていたところに被覆しておいてください。
決して「雑草を引っこ抜かなくちゃ」とか「篤農家、草を見ずして草を取る。
貧農家、草を見て草取らず。」といった間違った考えだけはおこさないで下さい。

ひとくちテスト
ミミズの住んでいる畑は野菜が良くできるそうですが、なぜですか?

答え
「ミミズは土の中の有機物などを食べ、素晴らしい肥料効果のある土に改善してくれます。
有機物がたくさんあると土の成分や構造が改善されて、野菜にとって有効に働くからです。」

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