贖 罪 ( 一 ) インターネットの普及は個人のホームページ開設によって始まったと言える。 1990年代に電話回線を利用する形で情報のやり取りが可能になった。個人の パソコンとサーバーという情報の集積・供給元が一体となるネットが設けられた。 しかし、個人のパソコン利用は機器の高額に加え電話料金の高額負担があり、一部の 層に限られていた。しかもパソコンを習熟するのに時間を要し、ページ表示の技巧や ページの読み取り方式がパソコンの機種により異なる問題も抱えていた。 そんな中で、ウィンドウズというパソコン操作を簡易にするソフトが開発されて 一気にユーザー層を拡大し、利用意欲を喚起することになった。同時にサーバーの 業界も多様化しサーバー利用が無料・ページ開設が無料、掲示板やページ作成補助等 のサービスが普及していった。技術開発の勢いは凄まじいものでした。 一方、利用者である個人はページ作成の時間をページ閲覧に向けることが可能となり 飛躍的に情報のやり取りが増大していく。情報は言語を介してなされ、言語を介して 個人の喜怒哀楽がやり取りされることになった。喜怒哀楽の表現の他に、様様な欲望が さらに織り込まれたり、受け手の誤解や憶測、数人もしくは多数の個人攻撃等、人と 人が現実社会で日夜繰り広げている罪もまた幾重に介在するようになっていった。 葉室隆がホームページというネットワークに着目したのは八年前である。 学生時代から小説家の道で生きてみたいという願望を抱いていたが、実際に選んだ道は 技術系の職業に関わる道であった。自然科学畑を歩む人であっても文学を好み多くの 業績を残した人は多くいる。一本のレールを辿る決断ができないなら、二本のレールに 跨り辿って行けばいいのである。