樹木と草の違いって、はっきりとなにかわかりますか? そう言われてみると、漠然と、何十年も何百年も生き続けるのが「樹木」で、1年から数年で枯れてしまうのが「草」というのが一般的な認識ですね。
しかし、中にはキク科の”コウヤボウキ”という植物のように、大きくなっても高さ1メートルほどで、とても樹木には見えないものもあるかと思えば、熱帯地方には、”バナナ”のように高さ数メートルにもなる巨大な草もあり、先ほどの一般的な認識の範疇では、「樹木」と「草」の正確な違いがわかりませんね。
本当は、どこに大きな違いがあるのでしょうか。お答えしましょう。
基本的に、その違いは幹に見ることができます。「草」は、茎が樹木のように太くなることはないですが、「樹木」は、毎年成長を続け上に伸びるとともに、幹も太くなります。この幹が太くなることを肥大成長と言い、まさにこれが「樹木」の特徴なのです。
「樹木」には、樹皮のすぐ内側に沿って生きた細胞の層があって、これを形成層と呼んでいます。いわば細胞の製造工場で、ここで木が死ぬまで細胞が作られて木の幹の内側へと送り出されて行きます。送り出された細胞はやがて死に、細胞の「殻」である細胞壁しか残りません。しかし「樹木」はこの細胞を蓄積していくことによって、幹を太くしていきます。(年輪が出来るのはこのためです。)
つまり、元気に成長している木でも、幹の内部の細胞は死んでおり、それが「樹木」全体を支えているのです。

この死んだ細胞をミクロの視点から見てみると、この木の細胞壁は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという物質で出来ています。仮に細胞壁の構造を建築物にたとえると、セルロースは鉄筋、ヘミセルロースは鉄筋をつなぐ針金、リグニンはコンクリートの役割を果たしています。
ということで、あの大きな木がどっしりと根をおろし悠然と立っているのが納得できましたか?
樹木も草も同じように、細胞壁が三つの成分からなっています。しかし樹木は草に比べ、コンクリートの役目を果たすリグニンの量が圧倒的に多く、これが死んだ細胞を固定し肥大成長できる所以です。
おもしろいことに、樹木の死んだ細胞壁の成分はほとんどが二酸化炭素成分で出来ています。と言うことは、今問題となっている地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中の二酸化炭素を木を育てる事によって固定(大気中に放出させない。)させることが出来ると言うことです。
こういったことで、熱帯雨林の無計画伐採が問題となっているということがわかってもらえば幸いなのですが、世界には、環境問題などよりも毎日食べることにも困り、やむを得ず熱帯雨林を焼き払い農地にせざるをえない人々もたくさんいるという 現実もあります。こういったことを考えますと、経済が発展した国々はみな何等かの犠牲の上に成り立っています。
今後の地球環境を保全する意味からも、経済先進国相互の理解と後進国への本当の意味での援助(現在のODAは自立促進型の援助ではない。)が必要ではないでしょうか。
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