3.喫煙と肺がん以外のがん
世界各地で行われたいくつかの喫煙と健康に関する大規模なコホート研究から喫煙者では肺がんのほか、喉頭がん、口腔がん、
食道がん、胃がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がんなどのがんにかかる危険性が非喫煙者に比べて高いことが明らかにされた(図
・・2−1(略))。わが国で行われた「計画調査」の結果からも喫煙者では非喫煙者に比べて、肺がんのほか、喉頭がん、口腔
がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がん、肝臓がん、膵臓がん、胆管がん、胃がんなどの死亡率が高いこと、女性の喫煙者ではさら
に子宮頚がん、乳がんなどの死亡率も非喫煙女性に比べて高いことがわかった(図・・2−2(略))。
日本で行われた計画調査を含め、世界各地で行われた喫煙と健康に関する大規模なコホート研究の結果について、喫煙と喉頭が
ん、口腔がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がんの関係をまとめると表・・2―9(略)に示すとおりである。
これらのがんのうち、非喫煙者と比べた喫煙者の死亡比が最も大きいのは喉頭がんであり、次いで口腔がん、食道がん、膀胱がん
の順となっている。胃がん、膵臓がん、腎臓がんの死亡比も1以上であるが比較的小さい。
表・・2―9 喫煙と喉頭がん、口腔がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がんの関係―世界各地で行わ
れた喫煙と健康に関する大規模なコホート研究の結果から(略)
喉頭がんおよび口腔がんについては肺がんと同様に喫煙量と死亡リスクの間に量−反応関係がみられているほか、前喫煙者では
禁煙後の年数とともに死亡リスクが低下することも観察されている。
表・・2―9(略)は、紙巻たばこ喫煙者の非喫煙者に対する死亡比を示したものであるが、喉頭がん、口腔がん、食道がんに
ついては葉巻、パイプたばこの喫煙者も紙巻たばこ喫煙者とほぼ同じ程度の死亡比を示していることが観察されている。
わが国で行われた計画調査から女性特有の子宮頚がん、乳がん、卵巣がんと喫煙の関係をみると(図・・2−29(略))、い
ずれのがんについても喫煙者(特に多量喫煙者)では死亡リスクの上昇傾向がみられる。特に子宮頚がんでその傾向が強い。子宮
頚がんについては外国で行われた調査においても、その多くで非喫煙者に比べて喫煙者のリスクが高いことを認めている。しかし、
社会経済因子を補正するとリスクの上昇は低下し、有意でなくなったとする報告もあり、喫煙と子宮頚がんの因果関係は疑問視さ
れている。前述の計画調査では喫煙女性の乳がんおよび卵巣がんの死亡リスクがわずかに高い傾向が観察されているが(図・・2
−29(略))、喫煙との因果関係は明らかでない。
図・・2−29 総喫煙本数別子宮頚がん、乳がん、卵巣がんの標準化死亡比−計画調査1966−78(略)