4.その他
(1)免疫機能に対する影響
喫煙の免疫機能に対する影響は、in vitroの培養細胞を使った実験、動物実験、喫煙者における観察などにより多数研
究が行われてきた。実際のヒトの喫煙者におけるデータをみると(表・・6−4)、白血球は全体として増加し喫煙量との間にき
れいな量−反応関係も認められている。白血球の種類別には、好酸球の増加が報告され、たばこによる感作の可能性も示唆されて
いる。細胞性免疫に関しては、亢進傾向が認められているが、大量喫煙者、高齢者ではむしろ低下を示すことも報告されている。
液性免疫は、全般的に低下傾向を示すが、IgEに関しては上昇がみられ、職場のアレルゲンに対する皮内反応の亢進も認められ
ている。分泌型IgAは、気管支粘膜では増加、唾液中では減少が報告されている。たばこがアレルゲンとなって起こるアレルギ
ー性の鼻炎、喘息、皮膚炎およびその他の疾患の存在については、たばこ労働者における報告はあるが、明確なものとはなってい
ない。
表・・6―4 喫煙者における免疫機能(略)
(2)薬物代謝に対する影響
喫煙は、肝臓のミクロゾームにおける薬物代謝酵素の活性を誘導するため、治療のために投与された薬剤の効果に影響を与える
場合がある。影響を受けやすい薬剤としては、鎮痛解熱剤のフェナセチンやアンチピリン、気管支拡張剤などに用いられるテオフ
ィリンなどのキサンチン誘導体がある。
図・・6―9 紙巻たばこ喫煙量10本/日当たりの有症率(年齢訂正率)の直線増加減少分(%)(略)
(3)各種自覚症状
喫煙者では、疾患にいたらないまでも、さまざまな自覚症状が多いことが認められている(図・・6−9(略))。すなわち、
喫煙者では、喫煙量の増加に伴い、咳、啖などの呼吸器症状のほか、肩こり、首のこり、手足がしびれやすいなど末梢循環障害を
疑わせる症状や、消化器症状を訴える率が高くなっている。ただし、夜間に排尿のために起床する頻度は喫煙者のほうが低い。