第三部 喫煙と健康問題に関する知識、態度及び喫煙行動〔第三部要約〕

  喫煙と健康問題について、まず、知識(認識)面では喫煙関連疾病として肺がんが最もよく知られ、次いで胎児発育障害である
 が、心筋梗塞についてはほとんど認識されていない。また、たばこの煙が非喫煙者にも悪影響を及ぼすことについてはかなり多く
 の者が認めている。しかし、喫煙すると「やせる」とか「成長がとまる」といった誤った認識を持っている者も少なくなく、喫煙
 が健康に及ぼす影響についての正しい知識を普及する必要がある。
  次に態度面では、未成年者の喫煙に対しては否定的であるが大人の契煙に対しては寛容である。また、喫煙者は喫煙に対して肯
 定的態度をとる者が多い。
  行動(主として喫煙行動の形成過程)面では、初回喫煙の場合、その背景要因はすべて心理的社会的なものであり、なかでも自
 己肯定型、外向的性格、External(外的統制)傾向、「重要な他者」の喫煙状況と強くかかわっている。
  これに対し、禁煙に移行する者はその理由として、「健康に悪い」、「健康を害した」を上位にあげ、喫煙年数が短期間で、本
 数が少なく、既往歴が多いなどといった特性を有している。また、喫煙再発者のきっかけとしては、「飲酒、食事」、「会議、会
 話、周囲の喫煙」、「ストレス、気分転換」が多い。
  以上のように喫煙を開始し継続するにせよ、軽減あるいは中断するにせよ、いずれの場合もその媒介変数として「態度」がかか
 わっているがゆえに、この「態度」に視点をあて、行動を予測しようとする試みくFishbeinの理論、Health Be
 lief Modelなど)がいくつかなされている。しかし、いずれもその理論ないしモデルの検証の仕方は、意識ないし認識
 レベルにとどまっており、実際の行動面から、どの程度個人および集団の喫煙行動を予測し説明しうるかについてまでは実証され
 ておらず、今後の研究に待つところが大きい。