第1章 喫煙と健康問題についての知識、態度
1.喫煙と健康問題についての知識
(1)喫煙関連疾病についての知識の周知程度
中学生の場合、小川らの調査では、喫煙とかかわっている疾病として最もよく知られているのは肺がんである。胎児発育障害は
男子よりも女子によく知られている。気管支炎も比較的よく知られている。しかし、心臓病は意外に知られておらず、胃・十二指
腸潰瘍はほとんと知られていない。喫煙経験の有無別にみると、喫煙経験者に有意(P<0.05)に高率であったのは、胃がん、
喘息である。学年別にみると、肺がん、胎児発育障害、気管支炎は学年が進むにつれてよく知られている。
表・・1―1 喫煙関連疾病と間接喫煙に関する知識の周知程度(略)
高校生の場合も、伊藤の調査によると、よく知られているのは肺がん、次いで胎児発育障害、慢性気管支炎であり、中学生の場
合と同様である。心筋梗塞は最も知られていない。
大学生においても、中学・高校生と同様であり、重信らの調査によると、肺がん、次いで慢性気管支炎であり、心筋梗塞や胃潰
瘍はあまり知られていない。
氏井らの調査においても、「肺がんになりやすい」、次いで「胎児に影響する」である。この結果は五十嵐や水谷による調査に
おいても同様である。
(2)間接喫煙に関する知識の周知度
中学生を対象にした小川らの調査では、たばこの煙が非喫煙者の健康に悪い影響を及ぼすことを認める者は76%とかなり多い。
高校生については、伊藤の調査によると、たばこの煙が他人に悪い影響を与えることを認めた者は60%である。
大学生については、氏井らの調査では、喫煙の害として、8項目の中から「まわりの人に影響する」を選択した者は47%であ
る。
(3)喫煙の害についての誤った知識
氏井らの大学生を対象にした調査によると、喫煙の害として、「やせる」(男38%、女45%)、「成長がとまる」(男44
%、女34%)といった項目を選択する者が比較的多い。
以上、喫煙の健康影響に関する知識についての諸調査は、二者択一の選択方式によるものが多いので、正答率が高いものであっ
ても、どれほど正確に理解されているかとなると疑問である。知識の理解の深さを把握するための調査研究や正確な知識の普及が
望まれるところである。