2.喫煙と健康問題についての態度
小川らの調査によると、中学・高校生の喫煙に対しては、中学生の81%が否定的態度であるが、大人の喫煙に対しては31%
と寛容である。一方、中学・高校生や大人の喫煙に対し肯定的態度(わるいと思わない、どららとも思わない)を持つ者には、喫
煙者の割合が有意に高い。喫煙に対する肯定、否定の態度と喫煙行動とは密接な関係にあることが認められる。
喫煙者が喫煙に対し肯定的態度をとるのは、自己の行為を正当化し、心理的安定を保とうとする合理化機制によるものとも考え
うる。
中学生が大人の喫煙に対し肯定的なのは、未成年者喫煙禁止法の裏がえしとして、20歳以上になれば、吸ってもよいといった
短絡的な考え方に基づいて正当化しているからであろう。若年者ほど喫煙の健康に及ぼす影響が大きいといった観点から禁止法を
理解させることが必要である。
村松の報告(小・中・高校生881人)においても青少年の喫煙に対するイメージは身体的面だけでなく情緒的、倫理的な面に
おいてもみられ、なかでも否定的イメージが強いことが明らかにされている。連想された言語は58種類であり、そのうち、身体
的項目は34.5%と最も多く、また、情意的項目は25.9%、倫理的項目は29.3%であるが、因子分析の結果では、「受
動喫煙」と「健康被害」にかかわる因子が見出されている。連想された言語は58種類の項目のうち、70%は否定的項目であり、
そのなかでも「身体的にわるい」が48.6%と最も多く、この他、身体的項目では「けむい」、「まわりの人にも害がある」、
「肺がん」、「咳、喘息」、「短命」、情意的項目では「たばこが嫌い」、「臭い」、「煙が気持ちわるい」、「汚い」、倫理的
項目では「迷惑になる」、「電車やバスの中ではいけない」、「女性のたばこはいけない」が上位を占めている。地域別では小都
市より大都市のほうが、性別では女性のほうが、年齢別では小学生のほうが、両親の喫煙習慣別では両親とも吸わないほうが喫煙
に対して否定的である。
野津は高校生7214人を対象にして、現在喫煙し将来も絶対喫煙する群(S)とそうでない群(N)とを比較分析し、45項
目中より、喫煙に関する態度および信念を効率よく評価しうるものとして次の12項目を見出している。
・ 多くの人がたばこを吸っているが、それほど害になっているようにはみえない。
・ 控え目にたばこを吸っていれば、それほど人体に害はない。
・ 喫煙はなかなかやめることのできない習慣である。
・ 喫煙はとても心が休まる気晴らしである。
・ たばこは楽しめるものである。
・ 自分が楽しい気分のときの喫煙はすてきなものだ。
・ 喫煙はいらいらしたときによい。
・ 喫煙は何も悪いことではない。
・ 普通の人であれば、たばこを吸うにちがいない。
・ 私がもし親だったら、十代の自分の子供には吸わせない。
・ 両親はたばこを吸わない模範を示すべきである。
・ わが国はもっと積極的に禁煙対策をとるべきである。
なお、S群は・〜・については賛成、・、・については反対方向にある。また、・と・については、S群、N群とも賛成方向に
あるが、・についてはS群、・についてはN群がよりその方向にある。