第四部 喫煙対策の現状〔第四部要約〕
喫煙の有害性についてのWHOの考え方は、いまや多くの国々の支持を得て、各国の対策も進んでいる。喫煙対策は規制による
対策と自発的対応を促す健康教育とに分けられよう。
規制による対策としては、たばこの広告の禁止・制限、包装表示の義務、有害物質の水準の規制、喫煙・禁煙場所の設置、たば
こに対する増税などの措置である。また、健康教育は、個人的には、非喫煙者の喫煙開始予防、喫煙の習慣化予防、そして禁煙と
再喫煙予防を目的とするが、集団的には喫煙しない社会環境づくりが目的となる。
諸外国の対策の現状をみると、広告については全面禁止している国は少ないものの、テレビ・ラジオを全面禁止しその他の媒体は
部分禁止している国が多い。警告表示は多くの国で実施しており、スウェーデンや米国のように文言をローテーションにして人び
との関心を強める工夫をしている国もある。その他、喫煙場所の規制は広く行われている。一方、有害物質の水準、成人への販売、
職場での喫煙の規制を国として行っているところは少ない。
わが国の状況は、規制のゆるやかな国に属する。現在、国として定めているのは未成年者の喫煙禁止、鉄道の一定場所での禁煙、
たばこの注意表示であり、そのほか医療機関の喫煙場所の制限等が指導されている。
たばこの有害性を認め、国をあげて健康教育に取り組んでいる諸外国では、多くの実績をもっている。青少年を対象とした教育
の最近の特徴は、喫煙防止教育に重点を置き、授業として取り扱うほかに、スクール・キャンペーン、青少年リーダーの育成、マ
スコミの利用にも力を入れている。また、内容として社会心理学的理論を応用し、仲間、家族または広告から受ける喫煙への誘惑
に対処する方法の習得訓練なども含めている。成人向けは禁煙教育が中心となるが、最近はセルフヘルプ・プログラムの普及が盛
んで、また企業での取り組み、コミュニティを基盤とした総合的働きかけが多くなっている。
これに対するわが国の現状は、関心をもっている少数の推進者が取り組んでいるのが現状である。青少年に対しては、ようやく
非行防止のためというより疾病予防のためにという考え方が起こってきたといえるが、取り組み方法の研究の遅れも目立つ。成人
に対しては、老人保健法に基づく健康教育等の中で対策が取り上げられている。今後も、ヘルス・プロモーションの一環としてい
っそうの促進をはかる必要がある。