べにばな
べにばな
ベニバナ(キク科Compositaeカルタムス属Carthamus)
学名:Carthamus.tinctorius
別名:スエツムバナ(末摘花)、サフラワー
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古代エジプトのミイラの着衣が、ベニバナで染められていたほど、古くから染料として親しまれてきました。
属名のカルタムス(Carthamus)も、アラビア語の「染める」の意味です。
染料以外にも、化粧品の原料、種から食用油、漢方の紅花(コウカ)など幅広く利用されています。
カルタムス属は、カナリア諸島、地中海沿岸地域から中央アジアにかけて約14種が分布しており、ベニバナは、エジプト、アジア南西部が原産とされています。
花期は7〜8月で、アザミ状の花は、咲きはじめは黄色で,後に紅色に変わります。
濃緑色の葉も、アザミによく似て鋭いとげがありますが、近年は丸葉のもや、花色が乳白、黄、濃榿で、変化しない切花用品種も育成されています。
日本への渡来も古く、飛鳥時代にエジプト方面から、シルクロードを通り、中国、朝鮮を経て日本に栽培法や染色法が伝えられました。
中国の染料と言う意味で「呉の藍(くれのあい)」と呼ばれ、現在の「紅(くれない)」の語源になっています。
万葉集などの「紅(くれない)」とは、この花の色をさします。
また、伝来経路から韓呉藍(からくれない)の別名もあります。
もう一つの別名に「末摘花(すえつむはな)」がありますが、これは花の末(先)を摘む事からだそうです。
源氏物語では、美しくない女性の意味で常陸宮の姫君を、「末摘花」と呼んでいます。
これは、ベニバナの「紅い花」と「紅い鼻」とを掛けているとか...
飛鳥時代に渡来したベニバナですが、その後、九州や中国、近畿、関東などを中心に各地で栽培されるようになり、安土桃山時代に、現在の主要産地である山形でも栽培されるようになったそうです。
そして、徳川時代までは高級染料として年間100トン近くの生産がありましたが、明治に入って洋紅や化学染料の輸入により栽培は衰退し、現在は、山形県などで3〜4haが、主に食用油(ベニバナ油)を採るために栽培されています。
ベニバナは山形県の県花になっています。
栽培
園芸分類としては、半耐寒性秋播き一年草になりますが、寒地では春播きになります。
主要産地の山形では、春播きで7月上旬頃から花摘みが始まるようです。
直根性なので移植を嫌うため、直播を基本とします。
高温、乾燥を好む植物で、日当たりが良く、水はけのよい場所に、暖地では9〜10月に、寒地では雪どけ後、土が乾くのを待って種を播きます。
20cm間隔を目安に5粒程度播き、最終的に1本まで間引きします。
秋播きは冬を越すのですが、霜の降りる地域では霜よけ対策が必要です。
肥料はあまり必要ではなく、少量の有機肥料を与える程度で構いません。
また、成長の具合によって支柱を立てて補助を行った方が良いでしょう。
病虫害としては、時に蕾の時期からアブラムシがつきやすくなるので注意しましょう。
収穫
花は、紅色に変わったら早期に花を摘み、萼を除いてほぐし、日陰に広げて乾燥させます。
種子は完熟後に収穫します。
茎葉を利用する場合は、若いうちに収穫します。
用途、効能
先ず、染料としての利用ですが、花には紅色色素のカルタミン(carthamin)と黄色色素のサフロールイエロー(safloryellow)が含まれていますが、サフロールイエローは水溶性で、染料としての利用にはこのサフロールイエローを取り除く必要があります。
山形では「紅花餅」と呼ばれるものが作られおり、昔から染料や化粧品(口紅)の原料とされてきました。
これは、花を蒸らした後、臼等でついて水溶性色素を除き、粘りが出たところで整形、乾燥させたもので、実際は「花摘み、花振り、花もみ、水洗い、花ねせ、花ねり、花ふみ、花干し、花餅」と称する多くの工程を経て作られます。
漢方では、開花初めの黄色の強い花弁を摘み、黄色色素の大部分を除き、圧搾して板状としたものを「紅花(コウカ)」または「紅藍花(コウランカ)」と呼びます。
漢方では婦人薬として利用され、効能は、生理不順、生理痛、血行障害、冷え性、更年期障害など。
一般での簡単な利用としては、薬用ティーとして服用する方法があります。
花を、萼を除いてほぐし、日陰に広げて乾燥させます。
乾燥させた花3〜5gを 600mlの水で2/3の量になるまで煎じるか、そのまま乾燥させた花に熱湯を注いでも結構です。
これを、1日3回に分けて飲みます。
さて、種からは、脂肪油が取れ食用油(ベニバナ油、サフラワーオイル)として有名ですね。
この油は、リノール酸を約70%も含み、コレステロール代謝の正常化、動脈硬化予防に効果があるとされてきました。
このため、料理に使うだけではなく、種自体を、軽く炒ってすり鉢ですり、ご飯にかけたり和え物に混ぜて毎日少しずつ食べる事も推奨されてきました。
ただし、これに最近待ったがかかっているようです。
これは、リノール酸のとり過ぎは、がんや高コレステロール血症・動脈硬化、アレルギー発症などにむしろ良くないというものです。
リノール酸のコレステロールや動脈硬化への効果が推奨されたのは、60年代だそうですが、この時は、約l週間の短時間実験の結果だったそうで、その後の研究で、長期間でみれば双方に差が出ないことが明らかになったそうです。
さらに、リノール酸は体内でアラキドン酸という脂肪酸に代謝される特徴があり、アラキドン酸が鼻水やくしゃみ、皮膚しっしんなどのアレルギー反応を促進する物質であることが分かってきたそうです。
そして今度は、魚油に多いαリノレン酸系のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を推奨しています。
最近、昔良いとされていたものが、最近の研究により覆されることがあり、今後も何を信じたら良いのか解りませんね。
私個人の見解ですが、健康に良いとされる食物を偏って食べる傾向がありますが、何事も限度。
普段から栄養やカロリーのバランスを考え色々な種類の食べ物を食べる。
これが一番でしょう!
最後に、ベニバナの、その他の用途としては、若い葉は野菜として食べたり、観賞用に切り花やドライフラワーにも使われます。
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