「木と紙


「お茶を飲むと命が延びる」

「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若が茂る、あれに見えるは摘みじゃないか・・・・」と『摘みの歌』で歌われているように、八十八夜は春と初夏の境目。

(立春から数えて八十八日目)「八十八夜の別れ霜」といわれているように、御百姓さんには重要な日とされています。
この時期以降は農作業が忙しくなり、「おにする」という休憩の意味でこの日におを飲むと長生きが出来るとされてきました。

「おを飲むことを考えたのは神農さん」

神農さんといえば薬の神様として良く知られていますが、後漢時代に書かれた『神農本草経』(中国最古の薬物書。漢方の古典。
神農が百草を舐めて医薬を区別したことから名付けられた)には、炎帝姜神農氏がを飲物として開発したと書かれています。
最初はの煮汁を飲んでいたようです。

日本におが伝わったのは、推古女帝摂政時代。
中国に留学した奈良時代の僧行基がおを持って帰り、各地の寺に蒔いて育て、僧の間で薬としておを飲む習慣が始まりました。
一般庶民におを飲む習慣が定着したのは室町時代以降になります。



「緑・紅・ウーロンはどう違うのか」
:ペットボトル入り 紅:スチール缶入り 烏龍:アルミ缶入り メーカーはラペルで隠しました。
同じおの木のを使っているのに、なぜ違ったおになるのでしょうか。

  • は摘んだを蒸し、の中の酸化酵素の活動を殺して揉みながら乾燥させます。
  • は熱を加えないで発酵させるため、酸化酵素がの色を緑色から紅色に変えていくのです。
  • ウーロンはこの中間で、半発酵させた物を乾燥しており、色は紅色に似ているのですが、香りは紅より強いのです。

は酵素の発酵を停止させているため、カロチンやビタミンが多く残っており、カロチンは紅の七倍もあります。
は発酵により成分が変化し、ビタミンB1・B2は緑の半分、ビタミンCはほとんど含まれていないのです。

「一番安いおが最高のおに」

1983年5月に石川県で第三十四回全国植樹祭が開催され、昭和天皇が山代温泉に御泊りになりました。

「陛下はほうじ以外は御召し上がりにならないので、最高のほうじを用意して欲しい」
と二ヶ月前にホテルから注文を受けた製業の丸谷さんは驚きました。

最高のおといえば誰もが玉露と思うのがおの業界でのこと、ほうじとは番で一番値段の安いお
加賀地方ではは使わず茎を焙じた物を使う風習があるのでこれにしようと決め、あらゆる高級の茎を 全国の畑から集めたのです。

試飲の結果鹿児島県霧島の「三体堂」というの茎が一番良いと言うことが解りました。
僅か70gを錫の筒に入れ、「加賀棒」と名付けてホテルへ届けました。
後日「陛下が御持ち帰りになった」と聴かされたのですが、値段の一番安いおが最高の栄誉を受けた記念すべき日だったと丸山さんには忘れられない出来事となりました。

「緑は覚醒剤」

現在知られているの成分はタンニンなどのカテキン類・アミノ酸・カフェインなどのアルカロイト類・ビタミン類などがあります。
の渋味や苦みはタンニンがあるからで、このタンニンが作用して「おを飲むと肌が黒くなる」と言われた事もありました。
ビタミンCは普通は熱に弱いのですが、おのビタミンCは熱に強く、熱湯を注いでも破壊されにくいのです。
『鬼も十八番も出バナ』という諺がありますが、二番煎じ、三番煎じではビタミンの量も多量に減ってしまうのでおは入れたときに飲むのが一番美味しいのです。

に含まれるカフェインは、コーヒー・コーラ等と同じで覚醒作用や利尿作用があります。
大脳中枢を刺激し疲労や眠気を取りますが、覚醒剤とは違い毒性は弱くいくら飲んでも中毒になる心配はありません。
また筋肉を活発にしたり血液の流れもよくするので、強心剤としても使われています。
タンニンは酵素を破壊したり最近の発育を阻止し口腔を奇麗にし、口臭を消す作用もあります。

コーヒーの木 
 
アカネ科の常緑低木。

 アフリカ原産で、現在は中南米・ハワイなど熱帯各地で広く栽培されている。
 幹は高さ4〜6m、は長楕円形で対生し、白色で芳香のあるを3〜7個つける。
 果は石果で紅紫色に熟し、径約1cmで半球形の種子が2個ある。取り出した種子をコーヒー豆と呼ぶ。


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神農:中国古伝説中の帝王。姓は姜キヨウ。人身牛首で、人民に耕作を教えた。五行の火の徳によって王となったので炎帝ともいう。
      百草をなめて医薬を作り、五弦の瑟を作り、八卦を重ねて六十四爻(コウ)を作る。

   五行:万象を変化させる五気としての木火土金水の5つの元気。万物組成の元素。木から火を、火から土を、土から金を、金から水を、水から木を生ずるを相生をいう。
        これらを男女の性にあてはめ、相生のものは和合して幸福あり、相剋のものは不和で災難が来るという。陰陽道では、運勢を判断するのに用いる。

   八卦:周易で、陰と陽を示す三個の算木を組み合わせてできる八種の型。乾(けん)・兌(だ)・離(り)・震(しん)・巽(そん)・坎(かん)・艮(ごん)・坤(こん)。