森からのたより

2001/1/7 セッケイカワゲラ

                   雪の上を歩くセッケイカワゲラ

雪に埋もれた小さな沢沿いの尾根を先端まで下り、
そしてまた戻ってきた時だった。
私の歩いた足跡の雪の中で、何匹ものセッケイカワゲラが動いていた。
下りる時は白一色の雪のみだったのに、雪の中で
眠っていたのが起こされたのか
まるで湧いて出たように何匹ものカワゲラが現われ、歩き始めていた。

しかしこんな雪の上で彼らは何をしているのだろう。
忙しそうに雪の斜面を登っているセッケイカワゲラを見ることが多い。
手元にある動物百科を調べてみた。
それによると、成虫は雪の季節に活動し、
雪の中の『氷雪プランクトン』―藻類、菌類、原生動物など―
を食べ ている。
寒さには強く、0℃前後がもっとも活動しやすい温度だということだ。
またカワゲラを含む水棲昆虫は、
卵、幼虫時代を川の流れの中で生活するため、下流へと流されやすい。
成虫はその分を補うために、上流へと登って産卵するのだそうだ。
セッケイカワゲラが雪の上を一心に歩いていたのは
そういうことだったのだ。

その説明にそうなのかとも思うが、よくわからないこともある。
沢の全くない場所でもセッケイカワゲラを見ることがあるからだ。
翅もない彼らはどこから、どうやって来たのだろう。
彼らの動きを見ていると、確かに斜面の上を目指してはいた。
だが果して本当に沢から来て、沢を目指しているのだろうか。

冬、寒さのさ中に雪の上で生きる虫がいる。
このことだけでも驚くべきことだ。
しかし、その虫が方向を定めて歩いているとは更に不思議なことだった。
雪の上を歩きつづけるセッケイカワゲラには、
私の知らない独自の世界があるのだ。


                                                  Sumiko

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