森からのたより
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2001/8/25 秋の気配
(その1)
チブリ尾根の避難小屋に行ったのは約1ヶ月ぶりだった。
1ヶ月前には砂防新道を登り、
南竜ガ馬場から御舎利山を経由して小屋に下りて来た。
それ以来何回か
市ノ瀬からチブリ尾根を登ってはいたが、
いずれも天気が悪く小屋までは行けなかった。
今年の夏の白山は天気が悪く、
10時ころから曇り始め午後からは雨が降るというパターンが多かった。
今回も天気のことはあきらめ、
行けるところまで行ってこようというつもりで
出かけたのだった。
登山口に通じる林道を歩いている時は、
きょう一日さぞいい天気だろうと思わせる青空が広がっていた。
道の脇ではツリフネソウや
クロバナヒキオコシといった初秋の花が咲き始め、
季節の移ろいを告げているようだった。
しかし木陰の少ない林道の日差しは暑く、
登山口に着いた時はこれから先の森の中の道がうれしかった。

木漏れ日に光るヤマソテツ
しばらくのあいだ晴天は続き、
木立に差し込む陽光は
森のあちこちで光と影のコントラストをつくっていた。
特に、木漏れ日に照らし出されたヤマソテツの赤く輝く胞子葉には
目を引きつけられた。
これは晴天ならではのもの。
これまでは森に入るとすぐ曇ってしまい、
こういう光景に出会うことはできなかった。
久しぶりに見ることができ、何かいいことがありそうな気分だった。
ときおり吹く風も
これまでとは違ってすがすがしく、心地良い。
やっと晴れた山を楽しめるかと期待が少しずつわいてきた。

タマアジサイ
しかし、しばらく行くうちにいつの間にか日差しが弱くなり、
木々の間から見える空はすっかり曇ってしまった。
きょうもやはりだめなのかと思いながらも、
時に差し込む日の光に一喜一憂しながら登り続けた。
森のそこここでは
タマアジサイやアキギリが咲き、夏の終わりを彩る花々が
姿を見せ始めた。
少し湿った場所では、
タイミンガサやモミジガサ、
カニコウモリの仲間も
花茎を伸ばし蕾をつけている。
その白い蕾は緑濃い森の中ではとても目立つものだった。
薄暗い林床で花をつけたタイミンガサ
3日ほど前の台風の時に降った雨で沢の流れも少しふえ、
道のところどころからは水が滲みだしていた。
森全体が湿り気を帯び、潤っているように見える。
夏の暑い盛りは終わったのかもしれない、
そんなことを思わせる様子だった。