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日本には、本州以南九州までに生息する『ホンドギツネ』と、北海道やその付近に住む「キタキツネ」がいます。また日本で『キツネ』と言えば通常『ホンドギツネ』を示します。
あと北海道では、外来種『銀ギツネ』と『キタキツネ』の雑種がときたま見られるという。(どうも、タヌキに間違われているらしい) |
| ホンドギツネ(本土狐)とキタキツネ(北狐) |
| ●ホンドギツネ・キタキツネのコミュニケーション |
うれしい時は尾を振る。そして儀式的な優劣挨拶行動を示す。対等の個体同士では両者が立ち上がって「ギャッ、ギャッ」と鋭い声を上げてボクシングみたいな格好で争い、あるいは腹側をぶつけ合う。
優劣が決まると劣位者は優位者に対し耳を伏せて体制を低くし、尾を体の腹側に巻き込んで恭順の意を示す。ここで注意すべきは、決して傷つけあう事はない。この行動によって闘争は停止または抑制されるのである。
<口の辺りをなめる>や<キスの様な行動>という挨拶行動。写真集から判断するに、キツネにもある様な気がします。
ただ、夫婦間や親子間しか撮影されていないからなんとも言えないですが。
○鳴き声
雄が雌を呼ぶ時やテリトリー宣言 → 「ココンコンコン」 子供や仲間に危険を知らせる → 「ウギャー」 餌や授乳を知らせる → 「クックックッ」または「ココココ」 危険により子供を呼び寄せる → 「グッグッグッ」 など・・・・
これは代表例。キツネが持つ声のコミュニケーションは非常に豊富らしく、これ以外にも鳴き声の実例が報告されている。
○臭いによるコミュニケーション
通ったルートにある目立つ物(例えば岩・木根・道の交差点など)に強い独特の臭いがする尿を残す。これは伝言板の様な役目を果たしているものと考えられており、放尿の格好は犬そっくりである。 ※これは犬も同じ。 |
| ●参考までに |
十字キツネは銀ギツネとアカギツネの交配で生まれると言われている。
(写真集:キタキツネ物語より)
キツネは近親交配を避けるため、親や兄弟の顔を一生覚えているそうである。
(ムツゴロウ牧場の高橋?さん説)
キツネは犬に育てられると、若干ではあるが犬に近くなる。
(ムツゴロウ牧場の高橋?さん説かな?)
(キタキツネのトマックを柴犬のブウに育てさせていたため、犬と一緒に行動する様になってしまった。キツネ舎に入れてやっとキツネらしくなった様だが・・・・)
野犬や放浪犬はキタキツネにとってやっかいものである。キタキツネの巣穴を荒らすため、引っ越しを余儀なくされる。エキノコックスの卵を家に持ち帰る可能性もある。
(写真集:キタキツネ物語より) |
ホンドギツネ(本土狐) 食肉目 犬科 キツネ属 アカギツネ種 ホンドギツネ亜種 |
○目の感じ
まるで猫の様である。(他のアカギツネ種はどうですか?)
○体形
キタキツネに比べると一回り小さく、体色は黄土色。尾はキタキツネより太い。
キタキツネにある前後足の前面にある黒斑は、ホンドギツネにはないか薄い様である。
キタキツネにある耳の裏側の黒色もホンドギツネは薄い。体色の関係もあるが確認できない場合もある。
上記3ヶ以外、外観はキタキツネとあまり変わらないと思って良い。
頭胴長:52〜76cm 尾長:26〜42cm
○寿命
寿命は最長で約10年ほどであるが、一歳になるまでに60%以上が死亡する。
○絶滅指標
狩猟獣(狩猟区域なら狩猟可) |
| ●ホンドギツネの食事 |
メインは肉食ではあるがそれ以外に果物類も食べる。キタキツネほどではないが、季節に応じて変化させている。場所によってはスイカなどの食害が発生している。
九州の里山で電波発信機を付けられたキツネ達は次の様な行動を示した。
昼間林の中で休息していた彼らは日暮れとともに活動を始める。完全に暗くなると近くの集落を訪れ、家々の間をうろついて餌を探す。一通りうろついた後、次の集落を目指して直線的に移動する。
こうして一晩のうちに自分のテリトリー内にある集落を次から次へ巡回する。
そのためキツネの糞には年間を通して銀紙やポリ袋の切れはし、輪ゴム他が混じる事がある。
夏の夜には街灯の下に腰をおろし、落ちてくる甲虫類を待つ姿が見かけられる。 |
| ●性格 |
非常に警戒心が強い。が、そのくせ好奇心が豊富な様である。
キタキツネほどは融通が効かない。 |
| ●生息環境 |
日当たりの良い草原や林の中を好む。そこに巣穴を新たに作るか、先祖代々?の巣穴を継承及び拡張工事して住んでいる。
といっても巣穴は子供の出産や保護のみにしか利用せず、生活の場はもっぱら日当たりの良い外。ねぐらは林や岩場の陰など。
田畑を開くための開墾が進み、狐が好むこの様な環境(里山、つまり林や小さな森・田畑・農家がまるで碁盤の目の様に点在する土地)が増えた。
そこで狐達は狸と共にその様な環境を積極的に利用してきたふしがある。
昼間は安全な林の中で休息を取り、夜は民家までやって来て食事をする。これが現在の里山に住むホンドギツネのライフスタイルである。そして、このスタイルをかたくなに守り続けている。
大阪ではあまりにも人が増え街と化した里山から、ホンドギツネの姿が消えつつあるという報告がある。 |
| ●繁殖 |
ホンドギツネは母系家族で母と子そしてヘルパーからなる。ヘルパーは多い時など3〜4頭に達することもある。
交尾期は12月〜2月。妊娠は52日前後で巣穴に2〜7頭の子を産む。雄は生後1ヶ月まで育児のため集団とともに生活するが、それ以後はほとんどこの集団と生活をともにしない。
9月になると、集団は表面上分散した様な形になる。実際は完全分散ではなく、テリトリーの範囲内で活動しているという。
生後7〜8ヶ月に達した若い雄狐はテリトリーを出て遠くへ分散していく。一方若い雌狐の多くはテリトリー内に残り、翌年の繁殖期にはヘルパーとして再び集団に参加する。
一部の若い雌狐は分散するものの、テリトリー周辺に限られる。
若い雌狐(ヘルパー)は1歳で性成熟して交尾を経験するものの、1歳で妊娠から出産に至るのは極まれである。たまに2腹ぶんの子狐達が同じ巣穴にいる複合家族が見られるが、これは1歳の雌狐が妊娠出産に成功したものと思われる。
母親狐はほとんどの場合2〜3歳くらいで、死なない限り連続して繁殖する。
死ぬか老齢で繁殖不能となった時、ヘルパーが次の繁殖個体になるという交代がある。
そして交代のチャンスに巡り会えなかったヘルパーは、テリトリーの外へと分散していく。 |
キタキツネ(北狐) 食肉目 犬科 キツネ属 アカギツネ種 キタキツネ亜種 |
○目の感じ
まるで猫の様である。
○体形
体色は赤褐色で、ホンドギツネに比べこちらの方が綺麗な姿をしている。
雄は雌よりやや大きく、雌は顔つきがほっそりしている。
キタキツネには、前後足の前面にはっきりとした(個体にもよる)黒斑があり、これが特徴ともなっている。
頭胴長:60〜80cm 尾長:37〜44cm
○寿命
自然界での寿命は普通6〜7年ほどで、最高13年。(飼育下では15年の記録あり)幼児期に、猛禽類などの捕食者や野犬・飼い犬に襲われる事がある。
交通事故死が急増。(これはについては「殺してしまえ!」と、わざとひき殺すという悪い噂があるとか・・・)
○絶滅指標
狩猟獣(狩猟区域なら狩猟可)キタキツネは年間約1万頭が狩猟されている。 |
| ●キタキツネの食事 |
メインは肉食(エゾヤチネズミ他)である。それ以外に果物類や農作物の植物質、放置された牛の胎盤、家畜死体などの酪農副産物、人家の残飯など広範囲にわたる。
時には、育児や簡易的に餌を得るため観光客から餌をもらう「観光ギツネ」も北海道各地に現れている。
これらの範囲から最も有効で簡単に手に入る物を選び出し餌とする。 |
| ●性格 |
一応警戒心が強い方なのだが、ひとたび安全が確認されると予想も付かない大胆な行動にでる事がある。
キタキツネは生活環境の変化に適応する能力が高く、環境に合わせてライフスタイルを変化させている。その一例として、出産から子別れの儀式までずっと付き添ったり、遊んでやったり、餌を運んだりする子煩悩パパなる雄狐がぽつぽつと現れ始めている。狐の常識では考えられない行動である。
本来ヘルパーとは雌なのだが、キタキツネの世界では雄の場合もあるらしい。 |
| ●生息環境 |
日当たりの良い草原や林の中を好む。そこに巣穴を新たに作るか、先祖代々?の巣穴を継承及び拡張工事して住んでいる。といっても巣穴は子供の出産や保護のみにしか利用せず、生活の場はもっぱら日当たりの良い外。ねぐらは林や岩場の陰など。
と、ここまではホンドキツネと同じであるが、これはあくまでも自然界にのみ生息するキタキツネにすぎない。
では里山系のキタキツネはどうしているかといえば、その場が餌が豊富な土地であればその場所に巣を構える。
その土地は自然界の草原? とんでもない! 牧場の横にある山の斜面などに巣を構えるのである。だからそこに慣れた狐たちは我が物顔で牧場内を徘徊していたりする。しかも牧場主の目の前を・・・・
中には捨てられたがらくたの隙間を巣にしたり、使用されなくなった建物を利用したりと、環境に合わせて臨機応変に対応している。 |
| ●繁殖 |
家族構成はホンドギツネと同じ。交尾期は1月下旬〜2月中旬。妊娠期間は約53日で、3月下旬〜4月ごろ3〜6頭の子供を出産する。
生後8週間ほどは巣穴で授乳し、目が開く以前には母親が巣穴に戻る度に「ココココ」と柔らかい声で子狐を胸元に引き寄せる。
5月ごろ子狐が外で遊ぶ様になってからは、危険を察知すると「グッグッグッ」と鳴いて自分の元に呼び寄せたり、「ギャン」と鳴いて子狐に巣穴に入る様命令する場合もある。
生後3ヶ月ほどすると、子狐は休息場所付近で昆虫からネズミまで独力で餌を捕る事を学んでいく。
9〜10月になると生後6ヶ月ほどの子狐の分散が始まる。この時期には突然親狐が子狐を激しく追い回し、親のテリトリー外へ追い払う「子別れの儀式」を行う。
1〜2頭の子狐が母親のテリトリー内に翌年まで残る時があるが、これはそのテリトリー内の餌の豊富さに関係があるという。
テリトリー内に残る個体の多くは雌であり、翌年母親と一緒の巣穴や近く(ほとんどお隣の様な感じがする)の巣穴で母親も若い雌狐も出産し、共同生活がはじまる。
たとえ若い雌狐が妊娠出産に失敗したとしても、ヘルパーとして共同生活を行う。 |
| ●キタキツネはたくましい |
イギリス、ロンドンなどの都市では町中にもキツネが生息している。アーバンフォックス(都市ギツネ)と呼ばれている。
今や、キタキツネが都市ギツネになりかけている。 |
| ●問題1 エキノコックス |
世界において現在研究途上であるため、この調査報告内容は刻々と変化します。
よってう飲みにせず、詳細を知りたい方は必ず専門機関(北海道の福祉事業所、他)に問い合わせて頂くことをお願い致します。 |
キタキツネの問題と言えば、やはりエキノコックスであろうか?
学術名エキノコックスとは、節を増やしながら成長する寄生虫サナダムシの一種なのだそうで、単包条虫と多包条虫の2種類がある。なお、北海道で猛威をふるっているのは多包条虫である。
これは、主にキタキツネとエゾヤチネズミの間にある食物連鎖に成立する寄生連鎖で、最終宿主キタキツネ(犬も含まれる。確率的にそう高くはないが、猫にも実例あり)の糞にエキノコックスの虫卵が混じる。
この虫卵をエゾヤチチネズミなどが経口摂取することにより、虫卵から幼虫(多包虫)に成長しながら肝臓に寄生する。
そのエゾヤチネズミをキタキツネが捕食することにより、腸に寄生して成虫まで成長する。そしてキタキツネの腸内で虫卵を放つので糞に虫卵が混じるのである。
だが、この虫卵をどの様にしてエゾヤチネズミが経口摂取するのかは、現在不明なのだそうである。
また、他のネズミでも幼虫(多包虫)まで成長したという実例がある。
この虫卵を何かの要因(これは現在調査中だが、北海道で自然の生水の飲用や、なま物の洗浄が不完全で生のまま食したりと、様々な要因が考えられる)で人間が経口摂取したときに、10年以上という潜伏期間をおいて幼虫(多包虫)まで成長して発病(主として肝臓に寄生)するという。
ただ、寄生しない人もいる。恐らく人間の免疫機構の強弱による個人差であろう。そして人によっては、最悪の場合脳に寄生したりする。
キタキツネ・犬・猫が虫卵を経口摂取しても成長はしないそうである。よって成虫にまで成長するのは幼虫(多包虫)を持ったネズミを食した時だけである。
人間・豚・ネズミの体内では幼虫(多包虫)まで成長しても、成虫までは成長しないそうである。人間が幼虫(多包虫)を持った動物を食しても害はないそうである。
よって幼虫(多包虫)まで成長し発病するのは、虫卵を経口摂取した時だけである。
エキノコックスが増えるにつれて人間周辺のキタキツネを減らすため、猟殺し続け今では年間1万頭以上に達している。だが『北海道大学大学院獣医学研究科寄生虫学教室』ではこれに対してイエローカードを出している。
人間周辺のキタキツネをいくら減らしてもそこには新しいキタキツネが入り込む様で、結果いたちごっことなり改善は見られないという。いくらキタキツネが近づかない様に努力をしたとしても、今やほとんど不可能に近いのである。
それよりも人間周辺にはエキノコックスを駆除したキタキツネを固定化して、他のキタキツネが入り込めない様にした方が良いのではないかと考えているそうである。
そこで、テスト区域を設けて今実験の最中であるという。経過報告がホームページ上にある。
※北大の寄生虫ホームページは定期的に更新されている様で、定期的に見続ける必要がある様です。 |
| ●問題2 観光ギツネと交通事故 |
北海道のあるスキー場へ続く道に停車していると、数頭のキタキツネが寄ってくるそうである。
または、道路の横で車や人が来るのを待っているそうで、この様なキツネがしばしば撮影されている。
いわゆるこれが観光ギツネと呼ばれるキタキツネである。素人写真家が撮影できるキツネはキツネ舎の人慣れしたキツネか、この観光キツネくらいのものであろう。
実際、簡単に撮影はできない。センサー式オートシャッター装置で夜無人撮影を行うか、運が良ければ望遠で撮影できる程度である。
さてどちらも餌付けされてしまったキタキツネなわけだが、観光客目当てのキタキツネ(観光ギツネ)は観光客などからスナック菓子を与えられ続け、狩をしなくなくなり最後には糖尿病で苦しむという。
そのキタキツネは栄養失調や糖尿病でやせこけ、野生的な覇気を失い、冬を越せずに死んでしまうそうである。
あと、これら観光ギツネは道路上にねそべったりしゃがみ込んだりすることがよくあるらしく、車の運転者から見れば非常に危険である。その証拠に、交通事故に遭って死んだキタキツネ(観光ギツネ)の遺体を、その道路上で何体も見ると言うのである。
狐の絵がある『動物注意』の黄色い道路標識には注意されたし! |
参考文献
日本動物大百科(哺乳類T) 平凡社
写真集資料
動物園が大好き 戸田杏子・さとうあきら著 新潮社 八ヶ岳の子キツネ 西村豊著 講談社
キタキツネ物語 竹田津実著 平凡社 キタキツネの贈りもの 久保敬親 新潮社 |