◎古来の「しょうゆ」は駄目/食品表示で農水省が指導/基準改正をと生産者は
反発
麦だけを原料にした古来の製法のしろしょうゆを「しょうゆ」と表示してはならず、砂糖の代わりにはちみつを使ったら「マヨネーズ」と呼んでは駄目―。
加工食品の品質表示をめぐり、農水省がこんな指導を連発している。偽装表示が相次ぐ中、日本農林規格(JAS)法の基準を厳格に当てはめたためだ。しかし、生産者らは「優れた自然素材を用いた食品をまがい物扱いするのは法の趣旨に反する。基準を改正するべきだ」と反発している。
しろしょうゆは愛知県などの特産品。同県碧南市の日東醸造によると、現在は麦を主原料に大豆を混ぜているが、江戸時代には麦のみでつくっていたと推定される。
この伝統的製法を復活させようと、同社は一九九五年、北海道産の小麦だけで醸造した製品を「しろしょうゆ」(商品名は「足助仕込三河しろたまり」)として発売。化学調味料抜きの濃厚な風味で人気を集めてきた。
ところが2000年、農水省の外郭団体から「JASの基準上、大豆を全く使っていないものは『しろしょうゆ』や『しょうゆ』と表示できない」と是正を求められた。
蜷川洋一社長は「地域の食文化を無視し、全国展開の大手メーカーに有利に働く基準の方がおかしい」と反論。改正を訴えているものの、法律違反で一年以下の懲役か一億円以下の罰金を科される恐れもある。
埼玉県神泉村の食品会社ななくさの郷は昨年、八五年から販売しているはちみつ入りの「松田のマヨネーズ」の表示改善を求められた。JASの基準では、マヨネーズの原材料として砂糖やブドウ糖などは使用できるものの、はちみつは認めていないからだ。
同社のマヨネーズは、薬品無添加の菜種油、平飼い鶏の有精卵など厳選した自然食品で製造。味に丸みを出すため、人工的に精製した砂糖ではなく、低カロリーでミネラルも豊富なはちみつを入れたという。
法律違反との指摘に、同社はやむなくパッケージの名称欄を「半固体状ドレッシング」、商品名を「松田のマヨネーズタイプ」に変更。同時に、農水省の諮問機関に基準改正を直訴したが、大手メーカー出身の委員らの反対で「時期尚早」と退けられた。
松田優正社長は「消費者にはマヨネーズとして受け入れられ、製造が注文に追いつかないほどなのに」と困惑する。同社製品の愛好者らは支援の署名運動を始めた。
農水省は「法律上、わずかでも基準から外れれば、その名称は表示できない。ただ、販売を禁止しているわけではなく、別の名前で売ってくださいということ」(品質課)と説明している。
【注】日東醸造は電話0566(41)0156、ななくさの郷は電話0274(52)6510。
|