松田さんの「今までの経緯」

以下は、2003/1/16松田優正さんよりi伊藤がいただいた文書です。


まぎらわしい表示について〜事の起こり

  昨年の平成14年7月に独立行政法人、農林水産消費技術センターより、次のような 内容の通知が届きました。

   先般、貴社の製品を買い上げて、加工食品品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第513号)及びドレッシング品質表示基準(平成12年12月19日農林水産省告示第1667号)に基づき検査を行った結果、下記のとおり不適合な点 が認められたので、改善されますようお知らせします。
   なお、改善結果について,速やかに文書を持って報告されますようお願いします。

    記

  名 称    マヨネーズ
  商品名    松田のマヨネーズ
  内容量    300g
  不適合内容  マヨネーズの原材料として規定されていない「蜂蜜」を使用して いる。

  18年前より蜂蜜を入れたマヨネーズを作ってきた私たちにとって今ごろそんなこと を言われても困るし、お客様にとっても蜂蜜が入っているマヨネーズとして買って頂 いているのだから原材料は帰られないということで規格の方を変えてもらえないのか と問い合わせてたところ丁度7月の25日にJAS規格見直しの農林物資規格調査会があ るのでそのときに意見を申し述べることはできますということでしたので大手町の農 林水産省に出向き意見を述べました。

農林物資規格調査会にての意見口述


氏名: 松田 優正
TEL:0274−52−6510
住所:埼玉県児玉郡神泉村大字上阿久原83−2
FAX:0274−52−6514
職業:マヨネーズ製造業

 意見を述べたい項目は、以下の通りです。
  1・日本農林規格見直しについて
   (2)規格の改正
    Cドレッシングの日本農林規格
  2、品質表示基準の一部改正について
    Bドレッシング品質表示基準


                  意見要旨
主旨、 マヨネーズの原材料に蜂蜜を加えることを可とすること。

  JASでは、糖類として砂糖、ブドウ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液 糖、砂糖混合ブドウ糖果糖液糖、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖、及び水あめ等が、上げ られています。
  蜂蜜の成分構成は、その蜜源により多少異なりますが、平均してブドウ糖35%、果糖 36%、水分21%であり、それで92%を占めています。その他蔗糖、ミネラル等を含ん でいますが、JASの糖類の中に規定されている果糖、ブドウ糖がその主成分であり ます。
   以前、マヨネーズの公的な定義や規格が無い頃、油分や卵黄分を減らしてその粘度 の低下をでんぷん、糊などの増粘剤で補い、それをマヨネーズという名称で売られて いたという歴史もありました。
   マヨネーズやドレッシング類のJASは、こうした欺瞞的商品の横行を防ぎ、一定 の品質以上のものだけを流通させるために設定されたということがあります。    甘味を加えるという目的で糖類と並んで蜂蜜をマヨネーズの原材料として認めるこ とは、品質の低下には全くつながらず、むしろ逆に向上をもたらすものと考えられま す。
   また、粘度の点では、糖類の中に認められている水あめと同様であり、問題ないと 考えられます。
  よって、第9節 調味料 ドレッシングの日本農林規格の中の第2条マヨネーズの定 義、及び第3条マヨネーズの規格、原材料の中に糖類と並んで蜂蜜を加えていただき たくお願い申し上げます。

   規格の改正に伴い品質表示基準にも、糖類と並んで蜂蜜を加えることを求めます。

                                    以上

  しかし、調査会委員の多くの人たちは蜂蜜は認めてもいいのではないかと言ってくれ ましたが、マヨネーズ協会の人がもう少し検討した方がいいと言っただけで その場では認められませんでした。その後農水省の事務室で係りの人に相談したとこ ろ農水大臣に直接申し出をすることができるということを聞いて農水省を後にしまし た。
そして次のような申出を行いました。


    農林水産大臣様       平成14年9月30日

マヨネーズのJAS規格に関する申出

申出人  鰍ネなくさの郷 松田マヨネーズ 松田優正
〒367-0312 埼玉県児玉郡神泉村下阿久原83-2
農林物資の種類 マヨネーズ
申出の理由     このたび当社の商品、「松田のマヨネーズ」におきまして、農林水産消費技術セン ターより、「マヨネーズの原材料として規定されていない『蜂蜜』を使用しているの でドレッシング品質表示基準に不適合であり、改善を」という通知がまいりました。
   ドレッシング品質表示基準によるとマヨネーズの規定は、
   半固体状ドレッシングのうち,卵黄または全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵 黄,卵白、蛋白加水分解物、食塩、糖類、香辛料,調味料(アミノ酸等)及び酸味料 以外の原材料を使用していないものを言う。
となっており、蜂蜜を使用すると一括表示内は「半固体状ドレッシング」であり、商 品名は「マヨネーズ」としてはいけない、というものです。

【蜂蜜は優れている】

 蜂蜜は、「糖類」ではなく「畜産加工品」として分類されていますが、古くは日本 書紀に記述が見られるほど伝統的な甘味料です。その構成成分は蜜源により多少異な りますが、平均してブドウ糖35%、果糖36%、水分21%であり、それで92%を占めて います。主成分のブドウ糖や果糖はJASで糖類にあたります。このように蜂蜜は、 マヨネーズのJASに規定されている糖類と類似した成分であり、しかもそれよりミ ネラル・ビタミンを多く含み、また、酵素を含んでいる優れた甘味料です。
 JASでは、他に糖類として砂糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、砂糖混 合ブドウ糖果糖液糖、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖、水あめ等があげられております。 これらの成分ならマヨネーズと呼べ、蜂蜜ではマヨネーズと呼べないのはいかがなも のでしょうか。
甘味を加えるという目的で蜂蜜をマヨネーズの原材料として認めることは、品質上当 然のことと思われます。
蜂蜜の品質の規格はJASには有りませんが1969(昭和44)年11月に不当景品類及び 不当表示防止法第10条に基づいて「蜂蜜類の表示に関する公正競争規約」が公正取引 委員会から認定されています。この規約では、蜂蜜の組成基準として,下記の7項目 が定められています。
蜂蜜の組成基準
項目 基準
水分直接還元糖見かけの蔗糖灰分 H.M.F. 酸度 澱粉デキストリン (於温 度20℃)21%以下ただし第4条第1項第2号に規定する国産蜂蜜にあっては、水 分23%以下とする65%以上5%以下0.4%以下.5mg/100g以下100 gにつき1Nアルカリ4ml以下陰性反応

【本来JASは品質水準のため】

以前、マヨネーズの公的な定義や規格が無い頃、油分や卵黄分を減らして、その粘度 の低下を澱粉・糊などの増粘剤で補ったものがマヨネーズという名称で売られていた という歴史もありました。マヨネーズやドレッシング類のJASは、こうした欺瞞的商 品の横行を防ぎ一定の品質以上のものだけを流通させるため設定されたということが あります。

【消費者に不利益】

また、平成13年11月6日農林物資規格調査会決定によるJASの制定・見直しの基 準の中に「改正の是非を検討するにあたっての基準」があり、「実需者に良質な製品 を提供する観点」が上げられています。
この観点から見て、「蜂蜜を入れるとマヨネーズとはいえない」ということは、まが い物防止が目的のはずなのに、逆に良品を排除し消費者に不利益をもたらすことにな るので、改正の必要があると強く思います。つまり、マヨネーズのJAS規格の原材料 に砂糖類と並んで蜂蜜を加えることは必然と思われます。

【規格調査会で見送られた理由は】

去る7月25日農水省の農林物資規格調査会にて上記の主旨の意見を口述する機会を 得ることができました。その際、委員の間では「蜂蜜がマヨネーズに入っていても問 題ない」
という意見が多かったにもかかわらず改正が見送られたのですが、その理由は、「蜂 蜜以外の甘味である麦芽糖やメイプルシロップ等、総合的に検討すべきである。」と いう意見が出たためです。 しかし、麦芽糖やメイプルシロップはすでに糖類として 認められており、検討する必要は見当たりません。 よって、調味料 ドレッシングの日本農林規格,第2条マヨネーズの定義,及び第3条 マヨネーズの規格、原材料の中に、糖類と並んで蜂蜜を加えていただきたくお願い申 し上げます。
製造・販売業者  申出人に同じ
格付け      無し
農林物資の所在場所・所有者  申出人に同じ
以上

    他のマヨネーズとの栄養成分比較(以下は省略しました…伊藤)

    栄養成分及び原材料配合割合の他社製品との比較から、「松田のマヨネーズ」は他 のマヨネーズと同様の成分構成・配合割合だといえます。
    「松田のマヨネーズ」の販売規模     取引先数・・・・・全国340社     納品先数・・・・・・全国780箇所     平成13年度売上本数・・648000本 (月平均54000本)


しかし、形だけで認められるはずもなく、名称と,品名を変えることにして、袋の裏 に経緯の説明を次のように書きました。

JAS規格では砂糖は良くて蜂蜜は認められていないのでマヨネーズと表示できなくな りました、現品質維持のため原材料を変えずに規格を見直すよう農水省に働きかけて いきます。それまではタイプが付きますがマヨネーズと呼んでください。

原材料の説明の最後に、だから100%自然の究極のマヨネーズといわれるのです。


という説明文も次のような理由でいけないので改善するようにお知らせが来ました。

加工品品質基準で示されている加工品については、当該個所の品目の品質表示基準に よって定められた名称は、その定義を満たす食品以外には使用できません。また、一 括表示の名称以外においても、当該名称の使用できる製品と誤認を与えるため、表示 することはできません。


それに対してこちらも次のような文を送りました

 独立行政法人  農林水産消費技術センター本部理事長 殿

「松田のマヨネーズ」まぎらわしい表示についての
生産者の思い

私たちは、18年前に自然食品として、より自然に近い素材を選びマヨネーズを製造し てきました。1つ1つの原料を選ぶ時に自然の恵みを生かした物を最大限に利用し、 化学的な薬品を使用せず、また加工の段階でも人工的で無理な加工をできるだけ押さ えて、本来の自然が持っている味を生かしマヨネーズを作り続けてまいりました。お 陰様でこれまで、この味が多くの消費者の方々に受け入れられて毎日300g入りを 2000本以上製造しております。
今、巷では産地のごまかし、薬品を使っているのに使用していない、などの不当表示 が相次いで指摘され、食品の安全性に対する消費者の信頼が損なわれているので、監 視の仕事をされている人たちはたいへん苦労されていると思います。この製品の裏書 の場合は消費者の信頼とか危害とかに値するものではなく、むしろ食品に対して関心 を高めてもらって、確かな食品選びができるように、との思いで書かせてもらいまし た。
私たちは18年間このマヨネーズをマヨネーズとして作り続けてきました。消費者の人 達もマヨネーズと呼んで買っておりますし、マヨネーズその物として使っておりま す。
今回の表示基準不適合の問題で、名称と商品名は指摘どおりに変更しましたが、裏書 の「マヨネーズと呼んで下さい」「究極のマヨネーズといわれるのです」は、表示と いうより私たち生産者の思いとそれに対する多くの「松田のマヨネーズ」ファンの表 現なのです。消費者の方々が読んだ際にも、裏書の上部にいきさつ、説明が記載して あるので誤解はないのではないでしょうか。
最近の研究によると砂糖より蜂蜜の方が、甘さに比べカロリーが低くビタミン、ミネ ラルが多い健康食材として高い評価をされており、蜂蜜を使用していてもマヨネーズ という名称にすることが、マヨネーズの品質を高め消費者の利益につながり、将来的 にマヨネーズ業界にとっても喜ばしい事と思います。
私たちは、次回のJAS規格見直しに蜂蜜の使用を認めて頂くよう働きかけをしていき ます。どうしてもこの表現を変えないといけないのならば、今までこのマヨネーズを マヨネーズとして取り上げて頂いたテレビ、雑誌、新聞等にこの文章を投稿して多く の人に読んでもらい意見を聞いてみたいと思います。
私たちとしては、これからも食品の安全性と品質の向上のため、また流通においても 消費者が表示だけを信用して購入するのではなく、自分の感性・感覚で食品を選ぶこ とができるようになることを願って、品質も表現も現状のまま生産量を増やさず、こ のマヨネーズにこの思いを載せつづけていきたいと思っています。   以上
   記  2002年12月10日   株式会社ななくさの郷  松田優正

しかし、独立行政法人、農林水産消費技術センターが、本省の農水省に検討しても らった結果、認められないと電話で連絡が年末の12月26日入り現在に至っており ます。

私たちは、農水省に対立するつもりはありませんが、誰のため、何のためにJAS規格 があるのかということをこの問題を通して訴え続けて行こうと思っています。

■以上が、松田さんの文書です。
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