マイ・マヨネーズをいつも携帯し、何にでもたっぷりとかけて食べる若い
世代が増えている。マヨラーというのだそうだが、素材の味などどこかへ消
し飛んでしまうのではないかと余計な心配をしてしまう。
そんな個人的な憂慮はともかく、そのマヨネーズ、周知のように市場は味
の素とキューピーの大勢力に占拠されている。その間隙を縫って、地道に良
心的な製品を作り続けている小さなメーカーのものに出会ことがまれにあり、
そんなときは感動したりさえする。
埼玉県北部の神泉村で18年間に渡
りマヨネーズを作り続けている「ななくさの郷・松田マヨネーズ」もそんな感
動ものの一つだ。素材を厳選し、化学的な材料や添加物は一切使用されていない。
その松田マヨネーズがいま官僚行政のために危機に陥っている。昨年7月、松田
が素材として使っている蜂蜜は、マヨネーズの規格を決めたJAS(日本農林規格)
に入っていないから、「マヨネーズ」と表示すると法律違反になるという通知が、
農林水産省の機関である独立行政法人・農林水産消費技術センターから届いたのが
発端だった。
確かにJAS規格によると、マヨネーズで使える糖類として砂糖、ブドウ糖、果糖
やそれらの混合物、水あめなどが上げられているが、蜂蜜はない。しかしこれこ
そ、自然性がもっとも豊かな甘味であることは万人が認めるものだろう。
松田さんは農水省に出かけて意見陳述し、農水大臣に「マヨネーズの定義に蜂
蜜を加えるよう」申出を行った。今年1月22日に農水省総合食料局品質課長
名で「データがなく時期尚早」との拒否回答が届いた。この決定の陰には農林物
資規格調査委員会に委員として出ているマヨネーズ協会の意見があったとされて
いる。
JASのマヨネーズ規格には「調味料」を使うことは認められている。例えば味の
素を添加してもマヨネーズであり、松田のマヨネーズのように添加物は一切使わ
ず、自然素材に徹した製品はマヨネーズと表示できなくなったのである。JAS法に
違反すると「一億円以下の罰金」が科せられる。松田さんは18年使い続けてい
た商品名と名称を変えざるを得なくなった。今はやむなく「松田のマヨネーズタ
イプ」の「半固体状ドレッシング」という言い方をしている。
この奇妙な話に、 松田マヨネーズ愛好者の間から自然発生的にいま、農水省宛ての署名運動がはじ
まっている。(大野和興)
|