07.02.15  オオタカ  かすみがうら市

 殆ど死語に近いが因順姑息と言う言葉がある。
昔はかなり流行した言葉だが、意味は古い見方、しきたりに盲目的に従っていくことである。オオタカについて考察する場合可能な限り自分で見たこと、観察したことを述べるようにしているが、拠点となる僕のフイルド、そしてブラインドからだけでは、あまりにも視野が狭すぎるきらいがある。もしかしたら自分そのものが因順姑息の殻からオオタカをみているのではないかと言った危惧の念がある。

もう一つ懸念材料としてはオオタカの出現頻度が少ないため、その動きを観察して金科玉条のごとき法則を見つけたような発言をしないだろうかと心配になる。
オオタカについての文献は多いが殆どオオタカの保護に関するもので、残りはオオタカの子育てレポートが少しあるぐらいである。僕のすすめいる
ような、オオタカの生態や飛行に関する文献は稀有に近いのではないか。決して誇示することではないが少ないだけに事実は冷静に記して行きたいと思う。
さて、2月になり数回、ブラインドで待ったがオオタカは飛来しなかった。
今年は暖冬と言われているが、星空の下でブラインドに入るのは寒い。

だが太陽が背中のブラインドの壁に当たる時間になると睡魔に襲われるような暖かさが押し寄せてくる。僕はそのまま眠ってしまう。ヤマセミの撮影の時もオオタカの撮影の時もこのようにしてきた。

いつも思うのだがオオタカは特別な人間の気を感じるのではないか?僕がこちらのテントから虎視眈々と見ているときは常に警戒心を解かず、
全神経を此方に向けている。
従って僕は不必要なオオタカの警戒心を解除してあげるために、敢えて進んで寝ることにしている。本当は眠いのだから一石二鳥になるのだろうか。
だがいつか述べたように眠りは直ぐに覚めてしまって、次に読書に移ることになる。読む本は薄い本では駄目だ。時間のかかる時代小説か歴史書が手ごろである。内容も重みがあり、読後感も充実した感じがあるのは相応しい。仮にオオタカが飛来しなくても、本日は良い本が読めたなと言うようなものでないと、オオタカを長く待っていることは出来ない。

最近ブラインドの中での読書時間が多くなった。つまりオオタカが飛来しなくなった。

そこで僕は前回同様、ランクルで僕のフイルドを回った。一回りして、筑波山おろしの風が弱い東側の土手付近を走ってみた。いつものブラインドを設営する場所から数百メーターのところにメスオオタカの成鳥勝子の姿を見つけた。急傾斜の土手から上がって殆ど平らなところで勝子は食事をしていた。幸運にも、それに繋がるこちら側の道の脇には川のポンプ小屋があり、勝子側から陰になり、車から降りてその小屋までしのび足で行けば勝子には分からない。
何とかポンプ小屋まで辿りつけた。小屋のドアには施錠は無く、僕は暗い部屋の中から大きな機械越しにオオタカの姿をレンズに入れた。

オオタカは一度こちらの小屋を訝しげに睨み付けてきた。僕は全ての動きを止め、オオタカが食事を開始するまで待った。

やがてオオタカは何事もなかったように食事を始めた。

今日は外敵が居ないのだろうか、全然上空を気にしないで食事に夢中だった。僕はそこで始めて500ミリレンズを装着したカメラのシャッターを押した。シャッターの音で勝子は緊張するかなと思ったが全然気にしない。2−3枚撮影してから、僕は勝子の次の動きに備え、勝子の輝く目の玉にピンを合わせてロックした。
しばらく勝子は食事をしていたが、時々上空ににトビが飛行を始めると勝子は盛んに上空を気にするようになった。

そして、本日もノスリが現れた。ノスリは最初高い上空からホバーリングをし、何回も旋回を繰り返し示威行動を示していた。

突然、そのノスリが低空で鋭く滑空してきた。オオタカは何の抵抗もなく、飛び去った。僕はシャターを慌てて切ったが遅かった。ノスリは向かいの電柱にとまり、残された獲物より、こちらのポンプ小屋を気にしているようだ。僕は頭を低くしてノスリを見ないようにした。ノスリの動きを見たかったがしばらく機械の陰に隠れてノスリの緊張感のほとぼりが冷めるまで待った。

時間にして2−3分ほど過ぎてから前方のオオタカが飛び去ったところを見た。
そこにはオオタカでなく、代わってくだんのノスリが獲物を食べていた。全くオオタカと餌の抗争はなく、すんなり入れ替わっただけだった。

オオタカは充分腹ごしらえが出来たからノスリにご馳走を譲ったのだろうか?それとも相手が悪いと、みていち早く退散したのだろうか?
このフイルドでは群雄割拠ではなく既に強さは決まっているのだろうか?

以前オオタカとノスリの一歩手前の壮烈な喧嘩を数回目撃したが今回は無かった。勿論1回だけでは判断出来ないがますますノスリとオオタカの
関係は分からなくなってきた。
今シーズンも残り少なくなってきた。
悪戯に時間を過ごしているわけではないが時間の流れるのが早い。オオタカに関しては集中しているつもりだがうまい写真はなかなか撮れない。07.02.15記

 

 獲物を奪ったノスリ。まだあどけなさも残っているノスリにもオオタカの成鳥は
 簡単に負けてしまう。 今回はオオタカの写真はお休みです。
 
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