07.04.07  オオタカ憧憬   かすみがうら市

 桜の満開のニュースが東京で報じられ、1週間後水戸市でも八分咲きになった。と同時に気温が10度以上も低くなった。花冷えと昔から言われているが、決まったようにこの寒波は訪れる。
オオタカの撮影で新しいやり方を始めたが、結果的には散々な結末で終わりそうである。客観的に見れば悪い材料が沢山ある。
まずオオタカが抱卵期に近くなってきて動きが鈍くなってきたことがあげられる。抱卵前になると、ハヤブサでもそうだがメスは極端に飛翔などはせず1日中崖縁に止まっていることが多い。
オオタカのメスも巣の近くで一日の大半、時間を潰しているのではないだろうか。
僕は近くまで行って、その想像が当たっているのか見てみたいと云った衝動に駆られることがある。だがそれは巣の周りの撮影と云った安易な方法に転換することになるので自分に鞭を打ち、難しい今の撮影に拘ることにしている。

暖かくなっくると、田舎の田圃道には散歩する方が多くなる。
冬には丸一日、人が通らなかった農道を早朝から散策する方が出てくる。

それだけでも、オオタカにとっては厭なことに相違ない。合わせて農作業が始まる。オオタカにとっては無関心なようだが、僕にとっては車の駐車場所からして頭の痛い問題だ。農作業の邪魔にならないよう、神経を使う。

釣り師は今冬以来少なくなった。
霞ヶ浦で繁殖したアメリカ鯰が小魚を殆ど食べてしまうらしく、最近は釣果が芳しくないとのこと。

ブルギルやブラックバスの外来種の被害に加えて、アメリカ鯰では致命的に鮎やワカサギ、ウグイ、鯉等の里の魚が少なくなってしまう。

桜の満開の後の気温の低下で、僕は散歩する方が少ないのではないかと思ってオオタカの撮影に出かけた。


過去4回のボウズの後、今日こそはと思って自宅を出た。春の夜明けは早い。

昨日、野球のナイターを最後まで見てしまった。殆ど寝ていないような状態で車に飛び乗った。
睡眠はテントの中でと思った。

現地に着き、まずブラインドテントの設営。テントをオオタカが飛行してくる角度から見て、小さく見せるため、テントの角をその方角に合わせる。

春風の突風で、テントが飛ばされないように、東西南北に長い鉄のペグを打ち込みロープでテントを締め付ける。

ドラムからコードを西に50mほど引き伸ばし、リモコンカメラにつなぐ。三脚にカメラを固定してオオタカの飛来方向に合わせる。

テントからリモコンスイッチでレンズの方角の動きをチエック。合わせてレリーズを押してカメラの動作テスト。もう一度カメラのところに行き、データーを本日の天候に合わせる。ほぼ晴天の予報なので露出をマイナス側にセット。この作業を1分ぐらいで済ませる。

LAW で500枚は撮影できることを確認して、東の方角が白く明るくなってきたので、テントの中へ急いでもぐり込む。

この時間帯にオオタカはいないとは思うのだが、もし、見られていたら全てのことが途労になってしまう。だから作業は急ぐ。
ここまでの緊張した作業で咽喉はカラカラ。いつものことだがスピードを要求されるのでかなりの緊張感が自分を縛り付ける。

今朝は殆ど真冬に戻ったような気温になったが身体は汗ばんで冬物のセーターを1枚抜く。
咽喉の渇きが有ったが寝不足なのでそのままシエラフの中に入った。全ての準備から開放されて、眠りに着く心地よさは僕だけだろうか?

2時間ほど眠った。
背中から照らされる太陽の暖かさで目が覚めた。
やはり冬とは違う。ブラインドの中が暖かい。
小窓から西の空を見た。筑波山に小雪が降ったのだろうか?稜線の下の部分に白いものがいくつかあった。
東西に濃灰色の山々が連なり、一際聳え立つ筑波の山を盛り立てている。

その山から蛇行しながら下ってくる恋瀬川が途中から広い川原に囲まれる。その片側の土手は今や黄金色のカーペット。年に一度の菜の花の繚乱である。

今年は暖冬の為か桜花と同時に土手の菜の花が咲き乱れてきた。僕はこの菜の花を背景にしてオオタカの撮影を試みているが4回連続オオタカに嫌われてしまった。

4回連続して飛来しないと、本日も駄目かなと云った気分が強い。しかし一面の菜の花畑を見ながらこの中にオオタカが飛来した時の姿を想像する。オオタカが大きく羽ばたくところや、こちらを炯炯と輝く瞳で蔑視している姿が目に浮かぶ。どちらでもこの菜の花畑なら凄い。

ならばこのくらいの代償(4回連続NG)は当然ではないかと自分を慰める。

乾坤一擲のような賭けでない。当然飛来するべきところにただ待っているだけなのだから確率は悪くない筈と思う。
ただ、他の方はどう思うだろうか?4回の失敗でも怯まず、再度挑戦することについて。

だが他の人がどう思うと自分のことだ。一縷の可能性があれば、やってみるだけだ。

ホオジロの鳴く声が近くでする。だが一面の菜の花の中で何処にいるのか分からない。ホオジロが菜の花の天辺に出てくれたらと思う。
時期がまだ早いのかも知れない。
カワラヒワ達が川ふちで群れている。だがこの集団も僕の近くには来ない。
歴史書を再び読み始めた。しかし2時間過ぎても僕の前の光景は変化しない。
僕は又眠くなり横になった。

結局本日は6時間ほどブラインドの中にいたがオオタカは飛来しなかった。
鳴声も全然なかった。5回連続のNGは僕にとって記録である。



 

 筑波山と菜の花(今回はオオタカの写真はお休みです)
 
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