06.12.01 オオタカ かすみがうら市 連続3回の空振りは痛かった。オオタカが飛来しない間は僕はテントの中で歴史小説を読むことにしている。 待っている間、沢山の本が読めると、単純に喜ぶことにしている。本日も幕末の政治家、河合継之助の記録をブラインドの中で読んでいた。 分厚い本なので読破するまでには10時間はかかる本を,30分も読んでいただろうか? カラスの鳴声が騒がしいので不図,ブラインドの窓から外の光景を眺めるとオオタカが一羽のドバトを抑えて、あたりを睥睨し、今まさに食事につこうとしているところだった。 直ぐに双眼鏡を取り出し、窓の隅から観察すると紛れもなくオオタカのメス、何と 「勝子」だった。勝子を見たのはしばらくぶりである。勝子は晩秋の強い光のなかで、輝いていた。勝子は元気に、この荒野で生きていた。そして今勝子は狩りに成功して、その獲物を僕に見せようとしていた。 勝子の炯炯と輝き放つ双眸はきっちりとブラインドの中の僕を見透いていた。 僕の動きを少しでも見落とさないようにこちらに姿勢を向け、直視している。僕はその冷徹な視線に耐え切れず、持ち替えていた膝上の300ミリのレンズに目線を置いた。 300ミリのレンズでは少し遠いが、しかし勝子のシっつかりした飛翔の姿を撮影をするにはこれが最適。 露出とマニアルのスイッチを確認する。マニアルのスイッチが小さいので緊急の場合見落としてしまう。だから指で触れ確かめる。そのスイッチの位置に目線をおくと、何時の間に勝子が飛び立ってしまう不安が次第に大きくなり、少しずつ僕は頭を上げ、ブラインドの穴の片隅からオオタカの姿をゆっくりと眺める。 勝子は同じ位置から僕のブラインドの中の僕を見ている。本当は僕の姿はブラインドの中なので見える筈がないのだが、機関銃で撃たれるような鋭い視線を勝子から感じる。 勝子は時々上空を見上げ、獲物の強奪者の動きにも備えている。。先ほど騒いでいたカラスは何処かへ去ってしまっが、代わりに上空ではトビが低空で飛行してオオタカの動きを見ている。 突然オオタカは食事を始めた。だが勝子は獲物に目線を向けると同じぐらい僕のブラインドと天空にそれぞれ頸を向けた。 勝子は落ち着くことがない。 それから勝子は時間が過ぎるにつれ、上空の強奪者を気にすることが多くなった。上空がかなり気になるのか、上ばかり見るようになった。 但し僕のブラインドからは角度の関係で何も見えなかった。 秋空に白い雲が漂っているだけである。 勝子に強奪者からの危険が迫ってきたのだろうか、勝子は獲物を両羽の中に隠し、草むらの繁みに低く姿勢を変えた。更に上空の何者かは執拗に接近してくるらしく、勝子は自分の頭も地面に臥した。 上空で飛翔しているものは勝子より力量が勝っているわけではない。それならば勝子は既に獲物を投げ出し、飛び去ってしまっている。勝子と同程度のものか、同じオオタカの類かもしれない。但し勝子は獲物の隠し方が若いオオタカや幼鳥よりも確りとしている。成鳥につれオオタカは細心で繊細な神経の持ち主になるのか、常に小心翼翼としていて、悪戯に餌取りの抗争を望まない。 だから勝子は必要以上にオーバーな仕草をしていることも考えられる。 しかし勝子は空腹なのだろうか。低姿勢のなか、胸の下にドバトを隠して、食事をしようと嘴を下に差し込む。 僕はその時になって始めて、レンズをブラインドの穴から勝子の姿に向けた。一番僕が緊張する時だ。 カメラのフアインダーに勝子が映る。同時にシャッターを切る。勝子はその物音でこちらを凝視する。だが今や勝子の最大の関心事は空腹を解決する目先の食事であり、それを妨害しようとする天空の何かである。 具体的に何も見えないブラインドの中はとにかくパスして、まずは食事が優先とばかりに上空を気にしながらも勢い良く嘴を動かし始めた。ドバトの羽毛が秋風に乱れ飛ぶ。 勝子は狂ったように食事をしている。僕はレンズを更に前方に突き出し、シャッターを切った。以前と同じ写真だがどうしてもシャッターを切ってしまう。この時がオオタカは一番警戒を解くときなので一番写真を撮り安い。 だが撮影した写真は全部同じような写真である。 だが本日の勝子は違っていた。 突然上空から何者かが直線的に飛び込んできた。 残念なことに僕はレンズ越しで勝子を見ているだけでその他は全然視界に入らない。ただ勝子がクルクルクルと啼きながら僕の正面方向に, 向かって飛び込んで来るではないか! 僕のカメラのフアインダーがその映像を捕らえた。僕はシャッターを3度ほど夢中で切った。確実な手ごたえがあった。引き続き勝子は僕のブラインドの右側5−6mのところに着地した。だがブラインドの中からは良く分からない。 レンズを思い切って右側に振って、勝子に焦点を合わせようとしたが、勝子の姿がなかなか入らない。躊躇している間に勝子はあっという間もなく飛び去ってしまった。 何者かが突然飛び込んできたのだがそれが何であるかは全くわからなかった。視界の狭いブラインドの中なので仕方がない。そのうち自然界の出来事なので再び同じことが繰り返されるに相違ない。 僕は正面から飛び込んで来た勝子の映像をデジカメで確かめた。それが下の写真である。勝子はどうして口を開け飛び出したのか? 慌てているようであり、恐怖に執り付かれているようでもある。 超弩級のオオタカの姿には程遠いが何故か人間臭さのあるオオタカの写真である。 今シーズン始めてのオオタカの写真だが3日間の空振りを差しひえても僕にとっては満足のある写真だ。 更にハードルが高くなった。 ハードルを越える意志が強くなければ行動はない。 06.12.01記 ![]() オオタカ 成鳥 ♀ 06.11.29 撮影 レンズ300ミリ シャッタースピード1200分の1秒 絞り開放 ASA200 §お願い!読後のご感想を野鳥掲示板かメールにて、書き込みお願い致します。 今後も全力投球して参りますが、これからどう展開して行くか、ご参考にしたいと思っております。ぜひ宜しくお願い致します。 なお、匿名でお願い致します。 戻り |