06.11.25  オオタカ 連戦連敗     かすみがうら市

 表題があまり、良くないかもしれない。だが実際に3回通って3回、撮影できずに空振りに終わってしまった。
ここで一区切りのつもりで、この悔しさを書くことにする。悔しさと言うよりもっと深い、やるすべのない、どうにもならないもどかしさとでも言うのだろうか。

3日空振りしてしまった敗因はなぜか?  冷静にチエックをしても良く分からない。ま、良くないときはこんなものかと思う。しかし心では、もうオオタカは眼前に絶対飛来しないのではないかと考える。相撲力士が初日に負けると、もうずーっと勝てないと考え込んでしまうのに似ている。
初日から連続3日間の空振りは僕にとって痛烈なカウンターパンチに等しい。

1ヶ月前、僕は中年のバーダーにフイルドに隣接した川原の土手で、車を止められた。彼は僕がこのフイルドでオオタカの撮影をしていることを知っていた。知っていたというより僕が此処に何回も通っていることをつき止めたようだった。
彼の用件はオオタカの撮影に一緒に同行したいと言う提案だった。僕は考えるまでもなく断った。

「2つのブラインドテントをこの平地の野原に張ってオオタカがまともに飛来して来るかどうか考えて見て下さい」と僕は断る根拠を述べた。
「それに今でも飛来してくる確率は悪いのです。」と僕。だが彼はこのフイルドにオオタカは沢山見られるし、その他の猛禽もいるこの里山の素晴らしさを言い始めた。

そこで僕ははっきりと言った。「それならあなたが此処で撮影すればよいでしょう。僕は別なところに行きますから。」
僕の強い言葉に彼は慌てて
「あくまで同行のお願いなのだから」と言って立ち去った。

その後、彼とフイルドで会ったことはない。だが明快に断ったつもりだが内心自分ひとり美味しいご馳走を食べているように思われて、いまいち心が晴れなかった。まして連戦連敗中なのである。
このような状態の中でちょっと気分が高揚するようなことがあった。

昨日、TVで大間町のマグロ一本釣り大会が映し出されていた。浜端広文氏65歳 七島啓一氏79歳 熊谷忠一氏65歳 この3人が大間町沖の津軽海峡でマグロ釣りの勝負を行った。期間は10日間、一番大きいマグロを釣った者が勝者になる。僕は元来釣りが好きで、しかも今月、大間町に行ってきたばかりで港の面影もまだ鮮やかに残っている。
その為かTVに釘つけになってしまった。
この番組ではマグロ釣りの仕掛けも詳細に紹介されていた。飛び魚やサンマそしてイカの擬餌針等が公開されていた。飛び魚の擬似餌で、海の中で生きた魚のように見せる工夫を惜しげもなく七島氏は説明する。

僕の予想では10日間で一人1−2本は釣れるかなと思って番組をみていた。ところがどうだろう。毎日彼らはボウズである。つまり連戦連敗である。早朝3時から出て行って日没まで頑張っても1匹も上げられないのである。
だが彼らの表情は屈託なく明るい。今日は駄目だが明日は大丈夫!と云った明るさがある。
彼らはおそらく大物を上げたときのイメージを常に持っているに相違ない。
毎日、漁場の釣り場を変えてマグロのあたりを狙う。ソラーに映し出された魚群を追ったり、或いは長年の研ぎ澄まされた勘を頼りにポイントで待つ。

生き餌のハマチやサンマをその日によって飛び魚の擬似餌に変えたり、手を変え品を変え毎日創意工夫をしている。2時間3時間かけて仏が浦や竜飛岬まで出かけていく。

彼らの漁師魂に僕は脱帽した。

僕はたかが3日間のボウズで、うじうじしていたが彼らはどうだろう?

彼らは連敗しているが毎日果敢に挑戦しているではないか。試行錯誤しながら次の展開を考えている。これだと思った!ヘミングウエーの老人と海の中でも老人(漁師)は呟く。毎日が新しい(Everyday is New Days) 明日は今日と違う全く別な新しい日なのだ。

彼らはを毎日漁場に出かける。TV局では出来るだけ面白く進行しようと進めているが彼らの素朴な言動に真実味が出ているし興味は尽きなかった。最終的に23Kgの超小型のマグロを吊り上げた七島氏が勝利したが、小さいけれど「マグロの顔を見て良かった」と素朴に喜んでいた笑顔が印象的だった。
僕は現在のところ連敗である。
だがもう一度基本に戻って彼らのように一つ一つ方法(モチーフ)を練り上げていきたい。オオタカも飛んでいるし、野山で啼いてもいる。近くに来ないのは何か原因が有るのだ。それを探り何回でもフイルドに出て行くことが重要なのだ。
「でもね。釣れないと困るんだけど」浜端氏の奥さんがこぼしていたがそれは何処の世界でも同じ。
だから考える。工夫を凝らす。毎日やり方を変える。真剣に考え抜く!
朝出港するときは
「今日は良いじゃ。でっけいマグロを釣り上げるぞ」 僕は彼らにエールを心から投げる。06.11.25記



ギン(老オオタカメス) 05.12 撮影



下北半島 大間崎にて (大間町) このマグロは240kg 等身台の大きさ 右手にウミネコ
 比較してください。この240kgのオオママグロの価格200万円ー300万円(時価)
 命がけの釣り業になることが分かる。

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