200309:16−9:18 北海道 Y町 シマフクロウ
今回、シマフクロウが今年2羽生まれたということで、お祝いを兼ねて道東入りをした。なにしろここのシマフクロウとの付き合いは長い。しかししつこく付きまとうこともしなかったし、又知人友人に得意がって場所を教えるようなこともしなかった。ましてWEBサイドやPCで沢山の未知数の方に告知するような破廉恥、厚顔なことをしたこともない。理由は今、日本で100羽足らずになってしまったこの絶滅に向かっている野鳥をそーとしておきたい強い気持ちが強かったことがある。毎年繁殖していることは、詳細に連絡いただいていたのでわかっていたが、今年は2羽生まれたと耳にしたときから行きたい気持ちになっていた。出来たら雛が川にでてくるころ、一番先に見たいと思い、現地の方と綿密に連絡を取り、
行くことは9月中旬とした。北海道に入ってから別の山間の川に入ってその川に生息しているシマフクロウの調査をしたりして、いよいよ雛のでる頃と見て9月16日その懐かしい川に向かった。カラフトマスが次から次と遡上していた。早速地元のTちゃんが昨日の状況を説明してくれた。親鳥は川面に下り、雛をよんでいるようだ。雛も裏山まできてシッーシッーシッーと良く鳴いているので、そろそろ今夜あたり前の川の枝に下りてくる頃だとのこと。いよいよ2羽のシマフクロウの雛が見られると思うと期待に胸が膨らんだ。
その雛の見ることができるまでになった2夜のことを今回は時系列に記してみたいと思う。
9月16日PM7:00 いよいよだと思うと、夕食も上の空の感じで済ませて、ブラインドの中に滑り込む。昨日までは台風 14号の余波があり、風が強かったが今夜は風が殆どない。テントから上空を見ると星がとても美しく輝いている。ラジオ の野球中継ではジャイアンツが今夜も負けそうで8連敗になりそうな雰囲気だ。ラジオのスイッチを消して目の前のシマ フクロウの飛来に備えて、カメラレンズをチエック。
9:00 雛の鳴き声もしないし、親の鳴き声もしない。 川面が青白く光り、カラフトマスの遡上していくうねりが見える。
9:30 親鳥オスが飛来。 マスを捕らえて、直ぐ口の中に放り込む。次にもう一匹川の中で泳いでいるマスを足で捕 らえ、口に咥えなおして裏山に持っていく。
11:30 裏山で親の鳴き声がしきりにすれど飛来しない。
12:00 第2回目の飛来。雛が裏山でしきりに鳴いている。
AM 1:00 第3回目の飛来、親のオスとメスが前後して川の中に入り、裏山に魚を運ぶ。運ぶと雛がしきりに餌をねだ る
鳴き声がする。
1:30 第4回目の飛来。
1:35 第5回目の飛来
1:45 第6回目の飛来
1:50 第7回目の飛来
1:55 第8回目の飛来
2:00 第9回目の飛来 以下筆記不可能なくらい飛来した。そして午前3:00にて今夜の雛の顔をみることはあきら めて宿に向かった。
9月17日 東京からA氏くる。今夜こそ雛が顔を見せるのではないかと思うとA氏のラッキーは尋常ではない。
6:30 第1回目の飛来
6:50 第2回目の飛来。 親鳥が川の中に入り、ゆっくりと、足でマスの動きを探っている。緩慢な動きは今までなか った。魚はこのように捕まえるのだと雛に教えているようだ。捕らえた魚を嘴で掴み直し、再び足の指で握りな おし、じーっとしている。裏山からは2羽の雛の餌を強請る鳴き声がしきりに聞こえてくる。しかし時々そちらに 視線を向けるだけで、再び静かに魚を足の指で握ったままにしている。しばらくそのままでいたが、やがて魚を いきなり飲み込んでしまった。いかにもここまで来なければ獲物はやらないよと言っているみたいだ。
9:30
第3回目飛来。同時に小雨が下りてきた。 リモコンで連動している8灯のストロボウは大丈夫だろうか?カメラ とレンズと合わせて、ビニールでホールドしているが心配になる。飛び去るとき、ストロボーは発光しているの で作動しているが、今夜の天候が不安になってくる。(8灯使用する理由は1灯あたりの光は弱めて、シマフク ロウに照射する光量はやさしくする計算にしている)
11:30 まず、親が飛来。次に雛が後を追うように飛来。親鳥は川に入りゆっくりと足で水中の魚をさがしている。雛鳥
は川岸の樹木の枝から親の動きを注目している。このとき初めて雛を見た。雛の顔は2つの目の周りが赤く猿 そっつくりだった。とうとう見ることが出来た。感動がだんだん大きくなってきた。親鳥は捕らえていた魚を自分 の口に放り込んだ。2羽の雛はヒューヒュー泣き餌を強請っている。30分後親鳥は再び魚を捕らえると裏山の 方に飛び去った。雛も慌てて親の飛び去った方向に飛んで行った。
12:20 雨はやみ、雛の鳴き声が裏山から聞こえてくる。もう来る頃だと思う。
1:00 雛の鳴き声。川のセセラギの音。静寂。 今夜は鹿の姿もない。
2:00 突然、雛が川の岸辺の樹木の枝に飛来してきた。猿のような赤い顔で川の水中の魚の動きを注視している。
それこそ真剣な顔つきで目線が魚を追っている。そして川の中に飛び込んだ! 失敗。
しかし親鳥はもうそこには来なかった。雛鳥が魚を捕らえる手助けはしなかった。どこか暗い木の枝から雛の 動きを見守っているに相違ない。
3:00 とうとう親鳥は姿を見せなかった。雛がその豊富な魚がいる川で巧みに魚を捕らえるようになるまではそこの 川におりることはない。雛が上手に魚をとるようになったとき、親鳥と別れるときになる。
雛は追われて別な川に移らなければならない。
考えれば厳しい自然の摂理を目の前で見たのだと思う。親鳥が雛にえさを運ばなくなった夜のできご とを目の前で見た。これは僕にとっても、A氏にとっても大きな大きな収穫だった。
次の夜も親は飛来して来なかったことを後でTちゃんからきいた。雛だけが川のマスを捕っていたとのこと。
時計を見ると午前三時を回っていた。秋の厳しい寒気に身体が冷え切っていた。 完

水中の魚の動きを注視している。突然飛び込んで、両足に2匹の魚を握っていることもある。
オショロコマやマスを捕らえることが多いが、たまに、大きなカラフトマスを捕まえることもあるが
岸辺に引き寄せることは大変なようだ。目の玉や内臓を少し食べるだけで、主食はオショロコマ
である。殆ど呑み込んでしまう。