ラグランジュ・ポイント
トロイ小惑星群は、木星のラグランジュ・ポイントにある。
ラグランジュ・ポイントは、フランスの天文学者ラグランジュが、1772年に証明した宇宙空間の3つの天体間における数学的関係である。
ラグランジュがこのことを発見してから、約100年後に彼の予言通りの関係をみたす天体 C(木星の軌道上をまわるトロイ小惑星群)が見つかった。
ラグランジュ・ポイントとは、1つの天体C の質量が他の2天体 A、B と比べて無視できるように小さく、共通重心のまわりに円運動を行う天体 A と天体 B の質量比が約1/26より小さい関係にあるとする。
B は事実上静止している A のまわりを公転しているとして、B の公転軌道上に C があり、それがB の前方または後方60度の角度にあるとすれば、C は B と完全に歩調をそろえてA のまわりを公転する。
A が太陽、B が木星、C がトロイ小惑星とすれば、完全にこの関係に適合する。
円軌道の2天体に対しては、ラグランジュ・ポイントが5点あり、そのうち3点は小さな摂動に対して不安定であるが、残りの2点は質量小の天体と同軌道で両側に60度離れた点で安定している。
この2点のうち1点にトロイ小惑星群がある。
小惑星の大部分は火星と木星間の軌道上のいわゆる小惑星帯に存在しているが、一部の小惑星は小惑星帯から外れて火星軌道の内側に入り込んでいる。
これらを地球近傍小惑星と呼び、軌道長半径と遠日点距離で3つの群に分類され、現在これらの小惑星は250個程度発見されている。
アテン群 軌道長半径1天文単位以下・遠日点距離0.983天文単位以上
アポロ群 軌道長半径1天文単位以上・近日点距離1.017天文単位以下
アモール群 軌道長半径1天文単位以上・近日点距離1.017天文単位〜1.3天文単位
西暦2000年に地球に接近したのはトータティスである。
アポロ群に属し、1989年1月に発見された小惑星である。公転周期は約3.97だから約4年毎に地球に接近することになる。
トータティスが1992年12月8日に地球から350万kmの地点を通過した時、アメリカのジェット推進研究所がトータティスに向けてレーダー波を発射した。
24秒後に戻ってきたエコーを受信して画像処理した結果、4kmと2kmの2つの塊が結合したような不規則な形をしていた。
その表面に直径700mの大きなクレーターがあることがわかった。
2000年10月に地球・月距離の30倍の距離、2004年9月にはもっと近づいて地球・月距離の4倍程度の距離に接近すると思われていた。
これだけ近づいてくると地球の重力の影響を受け、小惑星トータティスの軌道が変化するため地球に衝突することはない。
小惑星は平均して1年当たり3回ほど0.2天文単位以内の距離で地球に接近している。
天文学者の計算によれば、現在軌道がわかっているような小惑星が近い将来地球に衝突する危険はないようである。
小惑星が地球に接近し過ぎることは危険なことであるが、至近距離で観測できることで惑星の起源の謎を解明するための貴重なデータが得られる可能性がある、非常に重要な機会である。
地球上に残されているクレーターを分析した結果によると、過去に彗星や隕石の衝突が周期的に起きていることは確実と思われる。
これらの周期的な衝突の原因として、火星軌道と木星軌道の間の小惑星帯に多数存在する小惑星の一部が、地球に周期的に接近して衝突した結果クレーターができたとは考えにくい。
古生物の周期的変動が明白であるならば、天文学的な出来事が関係していることも考えられる。
地球の周期的変動の原因として、太陽と双子の仮想伴星(ネメシス)と仮想惑星(太陽系第10惑星)の存在を予想している人もいる。
約3,000万年の周期変動に対応するものとして、ネメシスの軌道周期3,000万年、軌道長半径9万天文単位、離心率0.7が仮定されている。
ネメシスがその周期により、太陽系に近づいてくると、太陽系の外周にあると仮定されている彗星の大集団オールト雲を刺激する結果、大量の彗星が太陽系の諸惑星に降り注ぎ多数のクレーターを形成するというものである。
太陽のような恒星が、伴星を伴うケースは多く見られるが、軌道周期が30万年を超えるものはほんのわずかしか見られない。
ネメシスの仮想軌道周期3,000万年はあまりにも長すぎるため、このような未知の惑星を仮想することに対して反論が多い。
また地球の古代史が示唆する数1,000万年の周期について疑問視する人もいる。
第10惑星が存在する可能性があると考えている人は、その質量が地球の1〜5倍、軌道長半径は50〜100天文単位(1天文単位は地球と太陽の距離)、離心率は0.1〜0.5と予想しているが、軌道傾斜角が25度〜90度程度と相当大きく傾いていると思われるため、実在していても発見するのがきわめて困難のようである。
古代メソポタミア粘土板古文書
シュメール語を解読できる世界に数少ない学者の一人ゼカリア・シッチンは、古代メソポタミアの粘土板古文書の中で、太陽系を描写している図形に12個の天体が刻まれている点に注目し解読している。
太陽系には、太陽と月以外に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の9個の惑星が存在している。しかし、古代メソポタミアの古文書には、太陽系に第10番目の惑星が存在していると記録されているようである。古代シュメール人達は第10番目の惑星が存在していることを知っていたのかも知れない。
ゼカリア・シッチンによる古文書の解読は単なる解読ではなく、現代天文学の知識と古文書の解読から得られた知識の整合性を保つように天文学者のアドバイスも入れて、現代の常識的知識で理解することに無理がないように配慮されている。
古文書の解読によると、第10惑星「マルドゥク」の公転周期は3,600年であり、太陽系に1番接近した時は小惑星の軌道に入るということである。
現在の小惑星の軌道には「ティアマト」と呼ばれた惑星が存在していた。この惑星に第10惑星マルドゥク自身ではなく、マルドゥクの衛星が衝突してティアマトは破壊され、小惑星が誕生したというものである。
地球の内側の諸惑星が、内惑星(水星、金星、地球、火星)であり、外惑星(木星、土星、天王星、海王星)とではその性質が根本的に違っている。
内惑星は地球型惑星と呼ばれ平均密度が3.9〜5.5の範囲にあるのに対して、外惑星は木星型惑星と呼ばれ平均密度は0.7〜1.76と著しく小さい。
これらの差異は太陽からの距離の差によって生じた成因と歴史の違いによると考えられている。このことは現代天文学でわかったことであるがシュメールの古文書にも記されているようである。
ゼカリア・シッチンの粘土板古文書の解読が正しいものかどうかは分からないが、興味ある解読である。