天国と地獄


インドでの旅はまるで地を這うようなもの。混沌の中に自分が沈む。ネパールにくれば、ホッとする。気を張らずに伸び伸び、安心。まるで、それは天国と地獄。

ヒマラヤ山脈
ネパール
タメルネパールの首都カトマンズには、外国人用の安宿が多いタメルという地区がある。そこには、日本、カナダ、フランス、アメリカ、世界各国からの旅行者がいる。俺もそこにチェックインした。海外旅行で守らなければならない基本事項さえ気をつけていれば、快適に過ごせる場所だ。

ネパール人はインド人と同じ顔をしているが、性格はいたって温厚で、ボラレルということがあまりないので、安心して買い物ができる。食べ物は、チベットや中国の影響もあり、カレーだけではなく、色々と食べられる。俺のお気に入りは、揚げ餃子とモモ(チベット風蒸餃子)。タメルのレストランでは、3日に1回は必ず食べていた。ダルバート ネパールのカレーも悪くない。ダルバートと言って、レンズ豆のスープとライスにおかずだから、カレーとは言わないかもしれないが。スープとご飯はお代わりし放題だから、おなか一杯食べられる。貧乏旅行者には、この食べ放題がなんとも魅力なのだ。おかずも店によっては、お代わりをくれるところもある。ヒンズー教だから、肉はほとんど食べないが、一度、水牛の肉を食べたことがあった。牛肉に比べるとちょっとしわいが、なかなかいけた。

アンナプルナネパールには、世界の屋根と言われるヒマラヤがある。カトマンズからバスで12時間位行ったところにポカラというヒマラヤトレッキングの拠点があるが、たとえトレッキングをしなくても、ホテルの窓から、ヒマラヤをボーと眺めて過ごすだけで天国気分が味わえる。

インド
国境ネパールとインドの国境。そこは、悪魔と天使の共存する場所。国境でビザ査定のため、バスが止まった。すると、もくもくと煙を上げるパイプを持ったインド人が乗り込んできた。ヒンズー語で何か言っているが、全く理解できない。しかし、そのパイプの中身は明らかにガンジャ(麻薬)だった。男はしばらくすると下りていったが、ネパールとインドの国境にある門が天国と地獄の境界線に見えた。

これは序章に過ぎない。危険は、いたるところに潜んでいるのだ。夜遅くインドのバラナシという所に着いた時のことだった。ここは、インド人には、聖地で、聖なる川、ガンガー(ガンジス川)で沐浴をすることが全インド人の夢だ。しかし、旅行者には、トラブルが絶えない場所で、ここで行方不明になる旅行者は後を絶たない。
リキシャバスから宿のある所までは距離があるので、ちょうど近くにいた日本人と一緒にリキシャという人力車で宿へ向かうことにした。事前の料金交渉は当たり前。「地球の歩き方」を参考に20ルピーで折り合いはついた。15分程で、リキシャは止まり、ここから宿までは道が細くリキシャが入れないので、歩いて案内するという。怪しいとは思ったが、土地感のない我々はついて行くしかない。細い路地をしばらくあるいた時、ここから先は君たちでも分かるから行ってくれと言う。料金の20ルピーを払おうとしたら、話が違う!20$だと言い始めた。やられた、と思ったがもう遅い。いや、確かに20ルピーだったと少し強めの口調で言うと、彼はおもむろにかがんでこぶしより少し大きい石を手にした。脅しに負けるか!と、警察で話をつけるぞ、と言って元の道を引き返した。途中、警察の場所を他の人にきいていたら、分かった、20ルピーでいいと言って彼がひいてきたので、すかさず20ルピーをつかませ、ホステルへ向かった。ホステルへ着くまで、彼が後ろから追ってきていないかと、ドキドキした。夜のバラナシは本当に注意してもらいたい!

インドで列車に乗った時のこと、隣に座っていた紳士風のインド人が言った一言がいつまでも耳の奥に残っている。「In India we accept everything.」(インドではすべてが「あり」なんだよ)まったくその通りだ。牛が道端で寝そべっている側を車やリキシャが通り、豪邸に住んでいる者もいれば、お金をくれ!と寄ってくる裸足の子供がいる。ガンジス川では、ヒンズー教の修行者をみかけ、ブッタガヤは釈迦の生まれ故郷。たとえ、奥地に半漁人がいると言われても、すぐには嘘だ、と言いきれない、そんな国だ。地獄と表現したが、人間の裸の心を直接感じられる国なのかもしれない。
靴事件(インド)

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