事件ファイル



ガンガーの水辺
靴事件(インド)
夜行列車で起きたちょっとした事件だったが、日本人と現地人との間にある感覚ギャップを改めて感じさせられた事件だった。

列車インドからネパールの国境に向かうために夜行列車に乗らなければならなかった。とにかく列車に乗るのはいつも必死だ。まず、切符を買う場所が分からない。場所が分かって、買う順番待ちをしていると、どんどん横入りしてくる。だからこっちも負けずに横入りしてくる連中を押しのけて買わないと、切符はいつまでたっても手に入らない。やっとの思いで切符を手に入れ、プラットホームに向かう。しかし、待てど暮らせど列車は来ない。プラットホームを間違ってるんじゃないか!と心配になり、窓口へ向かうが、「駅員は20分程で戻ります」の張り紙!40分程待っていると、やっと窓口に駅員が現れた、と思ったら、人がワァーと殺到して、口々に質問をする。これに負けたら、一生、自分の乗る列車のことは分からない!人の波に飛び込んで、もみくちゃにされながら、「この列車はどうなってますか?」と聞くと、「あー、1時間遅れてます!」の一言。そんなことは、さっきから待っているから分かっている。一体、正確に何時ごろ到着するのか!!とさらに聞こうとしたが、もう、人の波の外だ。とにかく待つしかなく、また、プラットホームに戻る。
インド人は心得たもので、プラットホームにダンボールや自分の巻いているサロンを敷いて、眠っている。さすがだ!

寝台やっと、電車が来て、乗り込んで席についてホッと一息。しかし、もう、0時を回っていたから、すぐに2階の寝台に上がりこむ。2階寝台と言っても、日本の座席シートの上のクッション部分を鎖で天井から吊っただけのお粗末なもの。(←左) 寝るときは、バックパックを自分の側に置いて、チェーンでロックして寝ないと、盗まれる!また、ウェストポーチは必ず、自分の身に付け、T/Cやパスポート等の貴重品は服巻に入れて、直接、腹に巻いて寝る。盗難防止は万全のはずだった。ただ一つ、靴だけは、1階寝台の下に置いたままだった。なぜなら、その靴は、もう、かなりボロボロで、穴もあいていて、触ると病気が移るのでは、と思われるくらい汚れていたから。(多分、日本のホームレスの方がまともな靴を履いていると思う。)

しかし、その考えはインドでは通じなかった。朝、起きてみたら、靴は見事になくなっていた。それはかなりのショックだった。靴が盗まれたというショックより、あんな靴を盗んでいくインド人がいることの方がはるかにショックだった。

後々、よく思い返してみると、インドには裸足で歩いている人が、たくさんいる。その人達にとって、自分の足を覆ってくれる靴は、たとえそれがどんなにボロであっても、ありがたい物だったんだろう。
よく、旅行ガイドに、貧しい国では汚い格好をしていた方が安全、と書かれてあるが、その考えは果たして正しいか?いくら汚い靴でも、現地の貧しい人の中には靴というものを履いたことがない人もたくさんいる。そういう人にとっては、汚れて穴があいていようとも、靴は靴なのだ!いくら、汚い格好をしていようとも、旅行者はやはり旅行者。狙われる運命にある!自分の気持ちを引き締めなおす事件だった。
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